ペットショップを取り締まる規制の歴史

動物取扱業 その他
動物取扱業

2000年ごろから日本でも小型犬ブームが起こり、2005年の動物愛護管理法の施行から、それまで自由であった販売などが登録制になるなど規制がかけられるようになりました。時代はネット企業のバブル株式相場で、ミレニアムに向けて大きく盛り上がり、あっという間にしぼんだ時代でした。

それまで日本では家の屋外で番犬としての機能が中心であった犬の飼育が、ペットとしての家族の一員として家の中で飼うようになるなど欧米化していく契機でした。名犬ラッシーやフランダースの犬が人気を博したのは1970年代で、その当時は地方や郊外では実現可能であっても、都会の住宅地では散歩のいらないアライグマだったかもしれません。

2005年の開始から2019年の3回目の動物愛護管理法規制の歴史と、最近の動向規制の実現に伴うトラブルなどもお伝えします。手続きだけでなく、今後の法律の動向も合わせてお伝えしていければビジネスの方向性にお役に立てるのではと考えています。

ペットのうち犬に限定して説明していきます。

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日本でのペットの発展

日本でのペットの扱いは、番犬の扱いで庭や玄関先の屋外で飼育するものでした。ペットというよりも簡易な警備員といったものです。戸建てには番犬注意などの標識が過去の番犬の実体を物語っています。

それが都市部でのペットブームによって爆発的に数を増やし、近所の人や地域での揉め事の対象になってきたことで、環境庁が音頭を取って法律による規制や自治体による管理制度を開始しました。それが2000年頃からで既に20年ほどが経過します。

動物愛護管理法の2005年改正

アイフルのCMでチワワがブレークしたのが2002年で、日本ではそれから小型犬ブームが到来したといわれています。その原型になったのが、アメリカ映画の「キューティー・ブロンド(原題はLegally Blonde)」でヒロインがチワワを連れるなど、全米での世界的なブームが輸入された背景にあります。

それ以降に都市部でのブームによる販売数の拡大を受けて、3回の動物愛護管理法の改正がありました。

2005年改正では、動物取扱業(ペットショップは販売業)の規制について、それまでは届出制であったのが登録制となり、一段階厳しくなりました。大きくは3点の政策変更があります。

(1)「登録制」の導入

現行の届出制を登録制に移行し、悪質な業者について登録及び更新の拒否、登録の取消し及び業務停止の命令措置を設けました。登録動物取扱業者について氏名、登録番号等を記した標識の掲示を義務付けました。しかし、現在に至るも、登録だけであって許可ではないので、悪質な業者が介在していると非難があります。

(2)「動物取扱責任者」の選任及び研修の義務付け

事業所ごとに「動物取扱責任者」の選任を義務付ける。「動物取扱責任者」に、都道府県知事等が行う研修会受講を義務付ける。こちらも、登録には必要で、定期的な研修はありますが、質の面では担保されていないと言われます。

(3)動物取扱業の範囲の見直し

動物取扱業として、新たに、インターネットによる販売等の施設を持たない業を追加する。また、「動物ふれあい施設」が含まれることを明確化する。

参考:平成17年に行われた法改正の内容

動物愛護管理法の2012年改正

夜間(20時から8時)の展示販売が禁止され、24時間営業のペットショップは姿を消しました。また、インターネット販売が規制されました。当時の通販の拡大に乗じて拡大してきたなかで、家庭用薬と同じく規制がかかったサービスの一つです。

また、第一種の登録内容を定めて終生飼育や子犬の販売制限など義務を設定し、登録の拒否や取り消しなどの軽い罰則を設けました。

(1)犬猫等販売業に係る特例の創設

 現行動物取扱業を第一種動物取扱業とし、第一種動物取扱業者のうち、犬猫等販売業者について、犬猫等健康安全計画の策定、販売が困難となった犬猫等の終生飼養の確保、犬猫等の繁殖業者による出生後56日を経過しない犬猫の販売のための引渡し(販売業者等に対するものを含む。)・展示の禁止(第22条の5関係)などが盛り込まれました。

参考記事:第一種 動物取扱業 登録申請は行政書士へ

(2)動物取扱業者に係る規制強化

犬猫等を販売する際の現物確認・対面説明の義務付け、狂犬病予防法、種の保存法等違反を、第一種動物取扱業に係る登録拒否及び登録取消事由に追加されました。

参考:平成24年に行われた法改正の内容

動物愛護管理法の2019年改正

第二種動物取扱業の創設し、飼養施設を設置して動物の譲渡等を業として行う者に対し、飼養施設を設置する場所ごとに、取り扱う動物の種類及び数、飼養施設の構造及び規模、管理方法等について、都道府県知事等への届出を義務付けました。

参考記事:第二種 動物取扱業 登録申請は行政書士へ

第一種が営利で行う事業に対して、第二種とは非営利の譲渡会などを運営するNPO法人や動物愛護団体等を指します。

2019年改正では、飼育施設などの数値規制が導入され、犬猫の幼齢販売規制(いわゆる8週齢規制)が完全施行されました。この他にも、今度の子犬に対してマイクロチップの埋め込みを義務化するなど、個体を管理していく基盤が整いつつあります。

参考記事:犬や猫へ マイクロチップ登録 手続き

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動物病院開設

動物病院と獣医師免許

愛玩動物看護師

第一種 動物取扱業

第一種動物取扱業 と 動物取扱責任者

第二種 動物取扱業

第二種動物取扱業と保護犬の譲渡会

犬カフェ

ペットシッター

その最近の3回目の法改正の集大成にあたり、ペットショップで子犬を販売するビジネススタイルを改め、動物の健康を擁護しようとの意欲が見られます。そのために、飼育員が面倒を見れる繁殖犬の頭数を15頭に制限したり、一匹の母犬が埋める子犬の数を6匹、産める年齢を6歳に制限して、犬の健康にも留意しています。ただし、これが従来の経営として運営されてきたブリーダーには経営の危機になっているようです。

参考:令和元年に行われた法改正の内容

ペットの販売増には、安い子犬の供給が背景にありました。犬の権利を擁護して繁殖される子犬の数を絞っていけば価格の急騰となり、それが販売数の減少につながります。自然とブリーダーの飼育頭数も減っていき、ペット業界も適正規模に収まっていくでしょう。都会の散歩場所でも、場所によっては子どもよりも犬の方が多いと言われて久しいですが、犬が巷にあふれる状況も改善されます。

ペット業界、とりわけ生体販売の業界にとっては、この20年近く、規制強化の流れが続いており、逆風状態であるといえます。一方で、大型商業施設の一角で店舗を構えるペットショップは増えており、販売数はコロナ時の巣籠り需要期の勢いはないものの過去からの高水準を保っています。

海外とのペット文化との比較なども議論されています。ドイツ、イギリス、アメリカのような先進国では長い飼育の歴史の中で番犬ではなく、家族同様に扱うペットとしての飼い方が定着しており、それが文化となっています。日本はペット飼育の新興国で番犬からペットへの替わりかけの時期にあたりますが、その過渡期でペット事業者と動物愛護団体との間でせめぎ合いにあります。ペット事業は既に一兆円産業とも言われ、政治力も法律改正を押し返すほどにあります。

2024年の飼育犬を取り巻く状況

保健所ではなく、シェルターに引き取って老後を過ごす資金や施設も自治体等で必要になります。ボランティアに依存したシェルターだけでは足りないとNHKでは報道されていますし、飼育放棄にならない販売も見直すべきでしょう。

現在は自治体に対応を任せていますが、小規模な自治体では未対応になりがちなので、国で更なる体制を作らないと、自治体の取り締まりだけでは機能しません。番組では第二種動物取引業に当たる譲渡会での価格の不透明さで、寄付を求めるときの金額の妥当性など、他にも幅広い話題が取り上げられていました。

NHKクローズアップ現代

参考ニュース:NHKクローズアップ現在「さまよう繁殖引退犬 ペット業界の“異変”を追う

動物愛護法による規制の開始が6月からに迫っており、それに伴って繁殖用の犬たちが大量に不要になり、引受先にもあふれて山林に放棄されていると、NHKで報道がありました。段階的な繁殖犬の削減の予定でしたが、業界団体からの圧力で当初の予定が2年延期されるなど、本当に6月に実行されるのか業者は信じていない節があります。

最終的には、飼育員一人当たり15頭の制限が現状の飼育数の1/2以下とも言われ、本当に実行されたらビジネスとしては本業として経営できないとも言われています。ネットの情報では、人里離れたへき地で飼育の環境が整っていれば一人100匹以上の飼育もあるようです。

長期的な動物保護のために実行していくためには、引退犬のシェルターなどを増やして余生を見守る体制が必要とされます。ただし、ボランティア中心の現在の日本では規模が小さく、急増前でも全て引き取ることはできずに保健所で殺処分になることがありました。保健所は自治体任せになっているので、特別に予算が付かないと収容枠の関係ですぐに処分されるそうです。

さまよう繁殖引退犬の改善策

良質な環境で善良なブリーダーからの繁殖をするためには、子犬価格の上昇は避けられず、販売の頭数減少に伴うペット販売とその後のケアビジネスが縮小することへのインパクトも考慮しなければいけません。

一人の飼育員が管理できる繁殖用の犬の頭数を15に限定。事例ではこの二倍を飼育していたが、実際には一人で百匹も普通なようで、従業員を増やせば赤字になる、薄利の世界の厳しいビジネスを伝えていました。大量の繁殖犬の失業が出るのは避けられない状況で、子犬の販売価格を上げれば、飼育員を増やすことで一時的には解決できるとしても、買い手が付くのかペットショップ側が受け入れるかが問われます。将来の頭数削減で価格上昇となったら、ペットショップでの販売数は大幅減でホームセンター等もテナントが空いてしまうのは望まないことです。

一匹の繁殖数も生涯で6頭に限定し、しかも6歳までしか産めない制約も、小型犬であれば6から7倍の速さで成長する小型犬の寿命を思えば妥当な数値ですが、ビジネスと考える業者にとって、繁殖マシーンとしては一頭のコスト回収が高すぎるかもしれません。一頭の繁殖数が6に限定されると、繁殖犬のコストが1/6に割り振られて子犬価格の上昇が起こり、販売不振となれば早くに引退となるので、引き取り先があふれてしまうか廃棄コストが高くなる。

その結果が、大量の繁殖犬の引退や屋外への不法投棄となり捨てられていく。一時的な問題とすれば今後十年程度は保護シェルターなどを行政等で準備する必要があります。法改正によるショックを緩和するための予算が必要になり、通常のレベルでボランティアに依存するのは無理です。

なぜ法改正が必要なのか

2002年以降で3回の法改正もあり、ペットが都会の道路や公園でも人の子供以上の数と言われるほど増えてしまい、世話や人とのトラブル等から、犬の公園立ち入りを制限するなど益々ペットの飼い方や飼い主のモラルが問題となってきている。しかし、犬の繁殖がビジネスになっている、ペットショップやトリミングなども一大産業に育ち、業界団体の政治圧力も高まっています。

動物の健康のために必要

共存共栄のために、一時的な反動はあっても動物の健康を第一にしていかねばなりません。子犬の販売や、販売方法をはじめ、老後等の引き取り先など、基金を拡大して、シェルターや保護犬の普及促進をしていかないと、長期的なペット産業の維持は困難となるでしょう。

東京の公園でも早くから犬の立ち入り禁止としていたり、増えすぎた犬に対して拒否をしてきた区などもありますが、あまりに増加してきてペット愛好家とその他住人とで見直し協議しなければいけない事態も考えられます。警察に対しても騒音苦情の一つが犬の鳴き声であったりと、公的機関にも面倒かける機会が増えてきているのも事実で、そうしたトラブルを回避しつつ、海外のように共同生活をスムーズにできるためのルールづくりが今まさに行われている所です。

これまではペットショップやブリーダーなどの販売側への規制が中心でしたが、次には飼育者へも制約が加えられるかもしれません。完全に室内で飼う場合を除き、散歩などで公共の施設や一般道を活用し、また近隣や行動、施設で人と接する以上はマナーが浸透していないと争いの原因になります。買って来れば終わりでない、生き物だけに経験や歴史が積みあがっていくのが大切ですが、かつて自動車が急拡大して交通ルールなどの整備が間に合わずに年間1万人の死傷者が出ていた頃のように、飼い主にもルールが求められます。

今の日本では珍しいミックスが流行っておりますが、オランダでは、人間の都合で見た目だけの特徴を際立たせてしまうデザイン犬猫は、2009年からキャンペーンを始め、10年後の2019年に、ある一定の条件をクリアしないと繁殖が禁止となりました。これは、大変大きな成果です。人間の好みによる見た目優先の繁殖は、動物の呼吸のしづらさや頭痛やてんかんを引き起こすのです。「動物の福祉」を重視した方向転換を牽引したのです。

高齢の人がペットを飼う場合に、ご自身が亡くなられた後のペットの生活にも留意が必要です。死後事務委任契約を用意して、ペット関連業者に委ねることの検討も必要になるでしょう。

参考記事:ペット信託 とは?遺されるペットを 行政書士 が見守ります

海外では販売方法をはじめ、動物を飼うための資格を厳しく設定し、飼えることが飼育員としてのステイタスであるような意識があるようです。住環境や歴史も違う海外ですので、日本がすぐに到達はできませんが、法整備などを見ると混ざす目標は海外にあるように思われます。

動物取扱業 登録申請 は 行政書士 にご依頼ください

申請の代行を行っている行政書士にとっても、業界の状況や今後の動向は気になります。業界のことはお客様である皆様が詳しいでしょうから、法律の専門家である行政書士は、立法サイドの行政など規制の動向を予見し、皆様にお伝えしていきたいと思います。

行政の動きは立法を経ることが通常なので時間がややかかりますし、その前に意見公募などで業界の意見ヒアリングを行うなど事前に方向性が示されることが多いです。

起業される皆様が手続きだけでなく、その後の運用コストや今後の収益の環境などを踏まえて申請を決めていただけるように、しっかりと支えてまいります。

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参考記事:第一種 動物取扱業 登録申請は行政書士へ

日本での犬飼育はまだ20年程度の歴史しかなく、初めて買う人、もしくは二匹目がほとんどである事実です。現在は混とんとしているものの、方針が示されれば災害時においても整然と行動できる日本人ですので、犬の飼育も厳しき法律で拘束しなくても上手くやっていける期待があります。

しかし、子育てへの行政の支援が乏しいのと同様に、ペットへの管理予算も多くはなく、多くは自治体任せでボランティアに依存しています。2019年改正のような大きな繁殖に対する制限を変えるときには、一時的にも支援策が担保されていないと不法投棄などで一部地域に甚大な被害が生じたり、ボランティア活動などにも支障が出ます。

費用もドイツのように毎年税金を課して、財源に余裕を持ったり、繁殖の環境を良くして良質な飼育で妥当な子犬価格をつけることで

買う人の意識を改善して衝動買いをさせないなど、今後のペット行政は未知数なところがあります。

是非とも、今後の法律に沿った方向性で動物取扱業を立ち上げていただき、動物と人との共存ができる、真に共に歩めるペット業界を切り開いていただきたいと思います。そうした方々や企業を登録や届け出の申請でお手伝いできるのを楽しみにしております。販売も、保護犬を中心とした形式に変わっていく可能性もありますので、その後のケアなどで収益を出すスタイルが主流になることでしょう。そうした先を見据えた情報提供も、行政書士にお任せください。

飼育にかかわるトラブルが販売や飼育において解決しない事情から、環境省は「動物愛護管理法」(正式には、動物の愛護及び管理に関する法律)を制定し、すべての人が「動物は命あるもの」であることを認識し、みだりに動物を虐待することのないようにするのみでなく、人間と動物が共に生きていける社会を目指し、動物の習性をよく知ったうえで適正に取り扱うよう定めています。

登録申請は、複雑な手続きと多くの書類が必要となるため、専門的な知識が求められます。ここで、行政書士の役割が重要になります。行政書士は、このような申請手続きの専門家であり、動物取扱業者がスムーズに登録を完了できるようサポートします。

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