動物病院開業 には 獣医師免許証 が必須です

動物病院開業 その他
動物病院開業

ペット数の増加は日本全体では頭打ちと言われますが、ペットの高齢化や家族化に伴って大都市圏では、サロンや病院なども着実に増えてきています。最近の統計によると、日本では犬などのペットの数が子供の数を上回る傾向が見られ、ペットブームや少子化などの社会的要因が影響していると考えられます。人間の幼児向けの小児科病院が無くなり、空き店舗に 動物病院開業 することもあります。

動物病院には、獣医さんが必須です。そこで、獣医師の資格要件など許認可に特化した内容について、手続きのプロの立場で説明してまいります。動物病院開業の前提となるような説明から開業に至る状況に焦点を当てます。事務的な部分は行政書士にお任せください。

参考記事:動物病院開設届出は行政書士に代行

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動物病院数の推移

動物病院と呼ばれている飼育動物診療施設数(小動物対象)は2022年に12,616件にのぼっています。法律上では飼育動物診療施設と呼ばれますが、以下では動物病院と呼びます。

約10年前、2012年の10,741件から。2022年には12,616件と10年間で1,875件(17%)増加しています。過去5年間の数字はコロナの時期も入り抑制されている可能性もありますが、それでも15%増を維持しています。

動物病院もこれまでの小規模な簡単な診療所から、高度な装置や手術環境を備えた専門的な施設など多岐多様にわたります。確かに、夫婦で経営する個人の診療所っぽい小病院から、受付以外でも複数の獣医師や看護師を抱えて、ビル等で施術室も複数あるような大病院まで差別化が図られているようです。

看護師も、令和に入ってからは民間資格だったものが国家資格に切り替わり、産業として無視できない規模となったことで法的な面からも動物医療の拡大を支えていく方向にあります。

参考:飼育動物診療施設の開設届出状況(診療施設数):農林水産省

獣医師とは

獣医学の歴史は、非常に古くから続いています。動物との共生が始まった時から、動物の健康を守るための知識や技術は発展してきました。古代ギリシャでも、哲学者アリストテレス(紀元前384-322)は動物学の基礎を築き、多くの動物に関する研究を行ったと言われています。

日本でも牛や馬は農耕でも重宝され、一般的に食用となる前から家畜の飼育には高い関心がありました。20世紀以降の獣医学は高度な科学技術とともに発展し、小動物診療、大動物診療、エキゾチックアニマルの診療など専門分野も生まれています。

獣医師と医師との対比

獣医師と医師(人間の医師)には多くの共通点がありますが、それぞれの専門領域において異なる点も多くあります。以下に主要な相違点をまとめました:

獣医師医師(人間の医師)
対象動物(ペット、家畜、野生動物など)人間
教育獣医学部(獣医学課程)の修了が必要で、一般的には6年間の教育医学部(医学課程)の修了が必要で、一般的には6年間の教育
資格獣医師国家試験に合格し、実務修習を経て獣医師免許を取得医師国家試験に合格し、臨床研修を経て医師免許を取得
診療範囲さまざまな動物種に対応するため、広範な知識が必要専門分野が細分化されており、内科、外科、皮膚科、眼科など、多くの専門領域
規制と法律動物愛護法や畜産関連の法律など、動物に関する特有の規制や法律医師法や医療法など、人間の医療に関する規制や法律

どちらも高い専門知識と技術が求められる職業であり、動物や人々の健康を守る重要な役割を担っています。それぞれの分野での貢献が、社会全体の健康と福祉に大きく寄与しています。

資格制度など多くの点で要求されていることは似ていると言えます。ただし、動物は法的にはモノ扱いになるので、獣医師は農林水産省、医師は厚生労働省の管轄となるので、監督の厳しさは異なります。

獣医師の定義

獣医師は獣医療法により厳密に法律で定義されています。

獣医師は、飼育動物に関する診療及び保健衛生の指導その他の獣医事をつかさどることによって、動物に関する保健衛生の向上及び畜産業の発達を図り、あわせて公衆衛生の向上に寄与するものとする。

2 この法律において「飼育動物」とは、一般に人が飼育する動物をいう。

獣医師法 第1条

獣医師免許の日本における認可機関は農林水産省です。かつては家畜や軍馬の医療を中心に貢献してきましたが、現在でも公務員として活躍する場所は本省、全国の空港や海港に設けられた「検疫所」や「動物検疫所」などです。なお検疫所は厚生労働省、動物検疫所は農林水産省の所管になります。

現在では一般の民間企業や、市中の犬猫を中心とした家庭用小動物に従事する開業医や勤務医も増えてきました。

獣医師免許証 の取得

現在、獣医学を学べる大学は全国で17校あります。これらの学校教育法に基づく大学において、獣医学の正規の課程(獣医学科・6年制)を修めて卒業した者のみに獣医師国家試験を受験する資格が得られます。

①学士号取得: 日本では、獣医学部での4年間の学士課程を修了する必要があります。

②獣医師国家試験: 大学を卒業後、獣医師国家試験に合格する必要があります。

③実務修習: 試験に合格した後、指定された動物病院や獣医学研究施設で1年間の実務修習を行います。

④免許申請: 実務修習を修了した後、厚生労働省に免許申請を行い、獣医師免許を取得します。

これらのステップを踏むことで、獣医師としてのキャリアをスタートできます。

獣医師法 の対象動物

人間と違い、動物は人間以外の哺乳類、哺乳類以外にもいるため、獣医師法では飼育可能な動物に限定しています。鳥類も含まれるので、飼育される動物で、昆虫でないものといった具合です。

獣医師でなければ、飼育動物(牛、馬、めん羊、山羊、豚、犬、猫、鶏、うずら、その他獣医師が診療を行う必要があるものとして政令で定めるものに限る。)の診療を業務としてはならない。

獣医師法 第17条

政令では、その他として補足がされています。家畜以外でも、観賞王の小鳥は飼育の代表になります。江戸時代頃から家に鳥籠をつるす風流であったとされていたようです。

法第 17 条の政令で定める飼育動物は、次のとおりとする。

一  オウム科全種

二  カエデチョウ科全種

三  アトリ科全種

獣医師法施行令 第2条

獣医師法の対象にならない動物として、ウサギ、ハムスター、フェレットがあります。もちろん、獣医師による診療が行われております。

「業務としてはならない」というのは、獣医師以外が金をとって動物を診療してはいけません、ということです。対象外の動物を診察するのは可能です。同様に獣医師でない飼い主がある常識的な範囲で自分の動物の治療をするのは自由ですが、手術のような大規模な治療は虐待と見なされるかもしれません。

動物病院開業 必要書類と手続き

動物病院の定義

飼育動物の診療施設、のように法律では記載されています。病院は人間向け、動物には診療施設といった区分でしょうか。人向けですと診療所とか診療施設というと小規模な駐在所のようなイメージですが、動物病院も以前はそんな感じだったかもしれません。

 この法律は、飼育動物の診療施設の開設及び管理に関し必要な事項並びに獣医療を提供する体制の整備のために必要な事項を定めること等により、適切な獣医療の確保を図ることを目的とする。

獣医療法 第1条

 この法律において「飼育動物」とは、獣医師法(昭和24年法律第186号)第1条の2に規定する飼育動物をいう。

2 この法律において「診療施設」とは、獣医師が飼育動物の診療の業務を行う施設をいう。

獣医療法 第2条

診療施設開設届 の提出

診療施設を開設した者は、その開設の日から10日以内に、当該診療施設の所在地を管轄する都道府県知事に農林水産省令で定める事項を届け出なければならない。

当該診療施設を休止し、若しくは廃止し、又は届け出た事項を変更したときも、同様とする。

獣医療法 第3条

獣医師免許証の取得には、獣医学部(獣医学課程)の修了が必要で、一般的には6年間の教育、獣医師国家試験に合格し、実務修習を経て獣医師免許を得られます。

動物病院を開業する場合「獣医師免許証」は必須で、病院に少なくとも1人は獣医師が在籍している必要があります。

動物病院開業 届出に必要な書類

動物病院を開業するには、獣医師免許証を持っている方が都道府県知事に対して「診療施設開設届」を10日以内に提出する必要があります

診療施設開設届に必要な書類、以下の項目です。

  • 診療施設開設届
  • 平面図
    (寸法、縮尺ほか、図面に出入口、受付、診察室、X線室、手術室等を記入)
  • (放射線診療装置がある場合)エックス線装置備付届
  • 獣医師免許証の写し(獣医師全員分)
  • 定款 (法人の場合)

平面図等も、開設届に合わせて、行政書士に代行可能です。

参照:飼育動物診療施設の開設に関する届出 東京都

提出先は基本的に各都道府県の家畜保健衛生所となります。東京都23区の場合は東京都産業労働局農林水産部食料安全課動物薬事衛生担当となっています。

大切なことですが、診療施設開設届は開設前には提出できません。

開設前には提出できなくて、病院開設後に届け出たら書類不備で再提出になってしまう、なんてこともありえます。ですので、自分で書類等の準備をされる場合には、一般的なタイミングとしては、クリニックの内装工事が完了したタイミングで開設届を提出することが多いです。動物病院であっても提出後に保健所によって立入検査が入る場合も稀にあります。行政書士などの専門家にお任せいただければ、事前の確認申請なども用いて、確実に開業に間に合わせ致します。

届出が受理されると、受付完了通知が届きます。ただし、届出が遅れた場合、遅延理由書が必要です。様式は特に定まったものはありません。他の添付書類に加えて提出してください。若干の届出の遅れには治安理由書の提出で対応は可能ですが、長期にわたり届出の義務を怠った場合、罰則が科せられる場合がありますのでご注意下さい。

動物病院開業 その他の準備

病院の開業の手続きには、その他にも多くの作業があり、免許・登録費用といった書類の提出もその一部に過ぎません。行政書士は法律の手続き以外でも、他の専門家と連携をしてお客様の代行をいたしますので、資金調達、広告、宣伝、税金等の手続きなどは、ご要望に合わせて費用のお見積りをいたします。

いくつかの要因によって異なりますが、具体的には以下のような費用が考えられます:

  • 土地購入または賃借料:東京の都市部では高額になることが多いです。
  • 建物の改修・建設費:既存の建物を改修する場合と新たに建設する場合で費用が異なります。
  • 設備・装備費:医療機器、動物用の医療器具、治療用具などの費用。
  • 免許・登録費用:動物病院としての登録や免許取得にかかる費用。
  • 初期在庫費:薬品や医療用品の初期在庫。
  • 人件費:スタッフの採用と給与。
  • 広告・宣伝費:開業初期の宣伝や広告費用。

具体的な費用は、病院の規模や立地、設備の内容によって大きく変わるため、詳細な計画を立てることが重要です。また、医療や人事については専門家やコンサルタントに相談することもおすすめします。

参考:獣医療|農林水産|東京都産業労働局

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第一種動物取扱業 の登録

これは動物病院の形態によりますが、動物を預かる場合は第一種動物取扱業の保管業として登録を受けることが必要な場合があります。

参考記事:第一種 動物取扱業 登録申請は行政書士へ

第一種動物取扱業 の種別

例えば、手術等で一時的にでも預かる場合がある場合には、「2 保管」に該当する場合もあります。これは医療行為の一環と思われますが、預かり中の事故などで責任を問われる可能性もあります。

本業の医療の他に販売や、譲渡を仲介したりと、ペットのコミュニティーの中心にもなりうる病院だけに、色々な事業が飛び込んでくる場合がありますので準備していくのもいいでしょう。

第一種動物取扱業の取り扱い業は7種類に分けられます。

種別内容
1販売動物の販売や、それを目的とした繁殖、輸出入を行うペットショップ、ブリーダー
2保管動物の保管を行う一時的な預かりも該当する場合がある病院、ペットホテル、トリミングサロン
3貸出し動物の貸出しを行うペットレンタル
4訓練動物への訓練を行うペットトレーナー
5展示動物を見せる業であり、ふれあいの提供も含む動物園、ドッグカフェ、猫カフェ
6競りあっせん動物の売買をしようとする者をあっせんする会場を用いたペットオークション
7譲受飼養動物を譲受け飼養する老犬ホーム、老猫ホーム

参考:第一種動物取扱業者の規制

登録手数料は1種別につき15,000円で、2つ目以降は1万円づつ追加されます。

動物の愛護及び管理に関する法律第13条によって、第一種動物取扱業の登録は5年ごとにその更新を受けなければ、その期間の経過によって、その効力を失う旨定められています。

動物取扱責任者 の選任要件

第一種動物取扱業を取得するためには、下記全てに従い動物取扱責任者を選任する必要があります。

  • ひとつの事業所に1人置くこと
  • 常勤の職員であること
  • 他の事業所と兼任しないこと
  • 1年に1回、登録した市が開催する動物取扱責任者研修を受講できること
  • 心身の故障によりその業務を適正に行うことができない者として環境省令で定める者でないこと
  • 破産手続開始の決定を受けて復権を得ない者でないこと
  • 動物関連法規に違反して罰金以上の刑に処されていないこと

同一事業所内であれば、1人が複数の業種の動物取扱責任者を兼任することができます。

動物取扱責任者 の資格要件

動物取扱責任者の資格要件として、以下の4種類のうち1つに該当する必要があります。

  • 獣医師(国家資格)
  • 愛玩動物看護士(国家資格)
  • 資格+実務経験
  • 卒業+実務経験

病院の設置要件でもある獣医師であれば、動物取扱責任者にもなれます。

愛玩動物看護士(国家資格)も単独で該当します。

資格+実務経験、卒業+実務経験とは異なり、実務経験の条件はありませんので、特定業務の経験が無くても許可申請上の支障はありません。

動物取扱責任者
動物取扱責任者

参考:動物取扱責任者について 東京都保健医療局

動物病院開業 代行の手続きは 行政書士 にお任せ

動物病院の開設には獣医師免許証の保有者が最低一人は必須です。加えて、預かりにして手術等の医療行為もありうる場合に、地元の自治体によっては第一種動物取扱業の許可証も求められるかもしれません。必要な登録などは自治体や地域ごとになる場合もありますので、二度手間とならないように申請の状況等も調査して手続きを準備します。ただし、獣医師は実務経験などなくても無条件で動物取扱責任者となれますので、事前準備だけすれば済みます。

病院はペットサロンなどのような業態に比べると、獣医師免許証があれば実務等の要件は課されないので資格取得後にすぐ開業も可能です。ただし、多くの開業医も、他病院で全く勤務経験がない方は珍しいと思います。独立に必要なことはその経験から学べるはずですので、ご自身の知り合いなど専門家の方も絡めた体制を構築しましょう。

都心であればすべての費用が高くつくため、テナント、職員、設備などで大きく費用が掛かり、資金調達の必要性も出てくるでしょう。そうした行政手続きだけでなく、補助金や開業向けの新規融資制度を生かした資金繰りも行政書士はサポートいたします。

ご近所にはいくつも動物病院が立地しています。獣医師の先生が老若にはじまり、先生との相性、施設の新しさや、レントゲン他の機材の充実度、開業前の経験で動物園勤務もあったので犬猫以外にも柔軟に対応できるとか、差別化が厳しく犬仲間で話題になります。選択肢が豊富なのはありがたいことで、顧客サービスの向上にもつながっていそうです。

都心ではペットのサロンや病院が充実して、大型のスーパーやホームセンター、更には小型のドラッグストアなどでもペットフードなどが販売され、車のない高齢者でもペットを飼いやすい環境ができています。病院開業を考えている方は、ご連絡をお待ちしています。

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動物病院開設のみならず、会社設立や資金調達、契約書等の書類の作成なども行います。

参考記事:会社設立 ~ 株式会社設立

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