医薬品店舗販売業 は、処方箋薬局を備えたドラッグストアの勃興や、インターネット販売の普及と合わせて常に政治も絡んだホットな話題となってきました。その過程も辿りつつ、今なお高齢化や医療費膨張の課題を抱えつつ規制緩和の流れをご説明いたします。
医療系の許可の中でも最も安全性で厳しいのが医薬品で、特に最終消費者に対する販売業で色々と特徴があります。販売業は、薬局、店舗とインターネット、置き薬で昔ながらの配置、卸売の4種類に区分されます。化粧品や医薬部外品の多くが申請不要に比べると、安全性の観点から販売への規制が多く残りますが、その代わりに手続きの工夫次第では大きな起業の機会となります。
販売業者 の許可は、これを受ける事務所や製造所の所在地の都道府県知事が取り扱います。ここでは、断りが無いときには東京都での取り扱いについて説明します。
冒頭は、医薬品の概説と医薬品のインターネット販売の経緯や、最近の状況や今後の見通しから始めます。
登録販売者が薬剤師の補完 – 2009年
ドラッグストアや薬局をはじめ、医薬品を扱う小売業では、慢性的な薬剤師不足に悩んでいましたが、2009年の薬事法改正により解決されました。それ以降も、ネット販売や取扱品目、登録販売者の機能の拡大など、規制の緩和とビジネスの拡大が続いています。
医薬品は、大きくは処方箋薬と大衆薬などとも呼ばれ、2種類に分かれます。
- 医療用医薬品:医師に処方してもらう薬
- 一般用医薬品:医療用医薬品よりも効果が緩やかで、使用上のリスクが少ない薬
2009年に薬事法が改正、登録販売者を新設
医薬品の販売や製造は、人間の生命に関わるため、法令によって厳しく管理されています。2009(平成21)年6月の新制度の施行により、医薬品製造販売業と医薬品販売業に分類されました。
2009年までは医療用医薬品・一般用医薬品ともに、薬剤師による対面販売をしていました。薬事法の改正で、一般用医薬品は、薬剤師でなくても登録販売者によって販売できるようになり、情報提供は努力義務となったのです。登録販売者とは、一般用医薬品の販売資格を有する人を指します。
通常、薬剤師になるには6年間の大学教育と厳しい国家試験の合格が条件となり、極めて狭き門です。しかし、登録販売者は年1回実施される試験に合格すれば誰でもなれます。月に80時間以上勤務で2年以上の実務経験があれば正式な登録販売者として認められ、1人で店頭に立つことができます。
一般用医薬品の販売は登録販売者に任せられるため、薬剤師の業務負担が軽減しました。
コンビニでも一般用医薬品の取り扱いが可能に
一般用医薬品は第1類医薬品、第2類医薬品、第3類医薬品に分類されます。副作用や薬の飲み合わせなどのリスクの程度に応じて、販売時のルールや情報提供の必要性などが決められています。
① 第1類医薬品 :副作用や薬の飲み合わせなどのリスクから、特に注意を必要とする薬です。そのため、薬剤師による情報提供が義務付けられています。(例:H2ブロッカー含有薬、一部の毛髪用薬など)
② 第2類医薬品 :副作用や薬の飲み合わせなどのリスクから、注意を必要とする薬です。薬剤師または登録販売者から購入することができます。販売者からの情報提供は努力義務とされています。(例:主なかぜ薬、解熱鎮痛薬、胃腸鎮痛薬など)
③ 第3類医薬品 :薬剤師または登録販売者から購入することができます。リスクの程度は比較的低く、購入者から直接希望がない限り、情報提供には法的制限がありません。(例:ビタミンB・C含有保健薬、主な整腸剤、消化薬など)
一般用医薬品は、次のように区分する。
一 第1類医薬品 その副作用等により日常生活に支障を来す程度の健康被害が生ずるおそれがある医薬品のうちその使用に関し特に注意が必要なものとして厚生労働大臣が指定するもの及びその製造販売の承認の申請に際して第14条第11項に該当するとされた医薬品であつて当該申請に係る承認を受けてから厚生労働省令で定める期間を経過しないもの
二 第2類医薬品 その副作用等により日常生活に支障を来す程度の健康被害が生ずるおそれがある医薬品(第1類医薬品を除く。)であつて厚生労働大臣が指定するもの
三 第3類医薬品 第1類医薬品及び第2類医薬品以外の一般用医薬品
薬機法 第36条の7
第1類医薬品の販売や、医療用医薬品の処方は薬剤師が行わなければなりません。副作用などのリスクがあまり高くない第2類医薬品・第3類医薬品は、登録販売者が販売できます。
つまり、正式に認められた登録販売者がいれば、スーパーやコンビニでも第2類医薬品・第3類医薬品を販売できるのです。
インターネットで一般用医薬品販売 – 2014年
2014年には安全対策の強化や再生医療の実用化を目的に薬事法が改正され、それに伴い、略称は薬機法となりました。
2013年にインターネット通販2社が国を相手に、一般用医薬品(大衆薬)のネット販売権の確認を求めた最高裁で「ネット販売を一律に禁じる厚生労働省令の規定は改正薬事法に反し無効」として、2社の販売権を認めた判決が確定しました。
薬機法では、一般用医薬品のインターネット販売が可能になり、さらに規制緩和が進みました。以下で詳しく解説します。
一般用医薬品の一部が要指導医薬品に分類
法改正により、一般用医薬品の第1類医薬品のうち、一部が要指導医薬品に分類されました。主に、医薬用薬品から一般用薬品に移行したばかりのスイッチ直後品目や劇薬が、要指導医薬品に指定されています。花粉症薬や風邪薬が典型例です。
要指導医薬品は、薬剤師による情報提供義務があります。副作用などのリスクがないとは言いきれないので、医療用医薬品はもちろん、要指導医薬品も薬剤師が対面販売しなければなりません。
一般用医薬品のインターネット販売が可能に
これまでビタミン剤など第3類医薬品のみはネット販売が可能でしたが、法改正に伴い、第1類医薬品、第2類医薬品もネット販売が可能になりました。
なお、第1類医薬品をネット販売する際はいくつかの以下の点に注意が必要です。
●年齢、他の医薬品の使用状況等について、薬剤師が確認すること
●適正に使用されると認められる場合を除き、薬剤師が情報提供すること
●提供した情報を相手が理解したことを確認すること
また、一般用医薬品をネット販売する際は以下の条件を満たさなければなりません。
●実店舗があり、週30時間以上開店していること
●販売サイト内に店舗の正式名称や写真、専門家の氏名や勤務状況、許可証の内容、相談ができる連絡先を掲載すること
ただし、ネットだけが特別に厳しく規制されていた状況は改善され、大衆薬のネット販売を巡っては、利便性の観点から規制撤廃を求める声が強く影響しました。
薬局でも薬剤師不在で一般用医薬品の販売を許可
一般用医薬品の規制緩和は広がり、薬局においても登録販売者による販売が認められました。
しかし、医薬品を販売する薬局においては、薬剤師の駐在が義務づけられていました。言い換えれば、薬局では登録販売者が在籍していても薬剤師が駐在していないと、一般用医薬品の販売はできなかったのです。そのため、薬剤師が不在である場合、閉局せざるをえないのが現状でした。
また、調剤併設型ドラッグストアでは、薬局区画と店舗販売業区画に分け、併設許可を取っています。薬剤師が不在の場合は薬局区画のみ閉鎖し、店舗販売業区画で第2類医薬品・第3類医薬品を販売しています。この運用では薬局と店舗販売業の二重申請が必要になり、手間がかかることも課題でした。
その後、2017年に法改正し、薬剤師不在時にも営業できるよう規制緩和がされました。
ネットでほぼ全医薬品の販売可能へ – 2023年
ネット販売の規制緩和
厚生労働省は2023年11月に薬機法改正の結論を発表し、2025年以降に施行をめざします。これによって、緊急避妊薬など対面での情報提供が必要な一部の薬を除いたほぼすべての医薬品のインターネットでの販売が認められる予定です。
厚生労働省は30日、市販薬のネット販売を原則解禁する案などをとりまとめ、有識者検討会に提示した。年内に結論を出し、2025年以降に医薬品医療機器法の改正をめざす。
医師が処方する医療用医薬品から市販薬に移行した直後の要指導医薬品は対面販売の義務を原則撤廃する。ビデオ通話による服薬指導を条件としてネット販売を解禁する。
乱用のおそれのある風邪薬など一部の医薬品は20歳未満の大量購入ができなくなる。ネットで購入できても一部はビデオ通話による服薬指導が必須となる。
市販薬と呼ばれる一般用医薬品の区分も整理する。現在は薬剤師のみが販売できる1類と、薬剤師と登録販売者が販売できる2類、3類に分かれている。2類と3類の分類をなくし、販売者による区別とする。
市販薬を販売する際の情報提供は2類・3類の統合後、専門家の関与が必要ないものは医薬部外品に移し、その他は説明を努力義務とする。現状の1類については情報提供の義務を維持する。
処方箋なしで病院の薬が買える「零売(れいばい)薬局」も規制を強化する。「緊急時のみ」販売できることを法令で規定する。
市販薬のネット販売解禁 厚労省、一部は規制を強化 日経新聞2023年11月30日
薬の非対面販売を巡る規制は徐々に緩和が進んできました。既に市販薬と呼ばれる「一般用医薬品」や、医師が処方する「医療用医薬品」は薬局に行かずに購入できます。薬をコンビニエンスストアで受け取る実証実験や処方薬を最短30分で届けるなど、企業の間で利便性の高いサービスの開発も進んでいます。
- 医師が処方する医療用医薬品から市販薬に移行した直後の要指導医薬品は対面販売の義務を原則撤廃する。
- ビデオ通話による服薬指導を条件としてネット販売を解禁する。
つまり、医療用医薬品から一般向けに転用されたばかりの「要指導医薬品」は対面販売の義務が残っていました。要指導医薬品には第一三共の「ロキソニン総合かぜ薬」や、花粉症薬などが含まれます。厚生労働省はこれらの薬についてビデオ通話によるオンライン服薬指導を受けることを条件に、非対面での購入を認めます。
一般医薬品区分の簡略化
さらに、市販薬と呼ばれる一般用医薬品の区分も整理します。現在は薬剤師のみが販売できる1類と、薬剤師と登録販売者が販売できる2類、3類に分かれています。
- 2類と3類の分類をなくし、販売者による区別とする。
- 市販薬を販売する際の情報提供は2類・3類の統合後、専門家の関与が必要ないものは医薬部外品に移す
- その他は説明を努力義務とする。ただし、現状の1類については情報提供の義務を維持する。
複雑な分類や手続きも簡素化されていく方向で、厚生労働省などの業界団体との意向を反映させてきた規制が2025年に向けてまた変わりつつあります。インターネット販売の拡充や、医薬部外品の増加に伴う商品の拡大や店舗販売に特化しつつも医薬品を扱う事業者の支援など、そうした新しいネット起業家も行政書士が支援してまいります。
参考記事:フリーランス新法 ( 特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律 ) スタート
医薬品店舗販売業 に必要な許可・申請書類
医薬品販売業は4形態に分かれています。
●薬局
●店舗販売業:インターネット販売である「特定販売」はこの一部であり別途に記載
●配置販売業
●卸売販売業
4形態のうち、薬局は一つの独立した形態とされます。6年ごとに更新します。
薬局開設者又は医薬品の販売業の許可を受けた者でなければ、業として、医薬品を販売し、授与し、又は販売若しくは授与の目的で貯蔵し、若しくは陳列してはならない。ただし、医薬品の製造販売業者がその製造等をし、又は輸入した医薬品を薬局開設者又は医薬品の製造販売業者、製造業者若しくは販売業者に、医薬品の製造業者がその製造した医薬品を医薬品の製造販売業者又は製造業者に、それぞれ販売し、授与し、又はその販売若しくは授与の目的で貯蔵し、若しくは陳列するときは、この限りでない。
2 前項の許可は、6年ごとにその更新を受けなければ、その期間の経過によつて、その効力を失う。
薬機法 第24条
薬局の他、医薬品の販売業の許可を受けた者として、店舗販売業、配置販売業、卸売販売業の許可の3形態があります。
なお、窓口は都道府県の各自治体となっており、東京の事例としていますので詳細は問い合わせが必要です。
薬局
薬局とは薬剤師が常駐し、調剤業務や医薬品全般の販売業務を行う場所を指します。接客する場とは別に調剤室があり、調剤室以外での調剤は、薬剤師法の規定により原則認められていません。
処方箋にもとづいて調剤する薬局を、保険薬局と呼びます。薬局開設許可を得ていればドラッグストアでも薬局と呼べます。なお、病院・診療所の調剤所は、薬局開設許可を必要としません。
必要となる許可
●都道府県知事から得た薬局開設許可
薬局開設許可申請時に必要な書類一例(東京都の場合)
●薬局開設許可申請書
●平面図
●調剤及び調剤された薬剤の販売または授与の業務を行う体制の概要
●登記事項証明書
●管理薬剤師及び勤務薬剤師の薬剤師免許証の写し
●登録販売者の販売従事登録証の写し
など
医薬品店舗販売業
2009年施行の法改正で新たに設けられた区分で、薬種商販売業と一般販売業が店舗販売業に統合されました。調剤を行わない、薬店やドラッグストアを指します。薬局以外で消費者に一般医薬品を販売できるのは、この店舗販売業と配置販売業に限られています。
販売するのは要指導医薬品と一般用医薬品で、医療用医薬品は扱えません。また、薬剤師はすべての種類の医薬品を販売できますが、登録販売者は一般用医薬品のうち第2類・第3類医薬品のみ販売可能です。
必要となる許可
●店舗所在地の都道府県知事(所在地が保健所を設置する市または特別区の区域にある場合においては、市長または区長)から得た店舗販売業許可
参考までに、東京都大田区の新規申請の方法を紹介します。
店舗販売業の開設を予定している方は、施設の平面図(案)を持参の上、生活衛生課医薬担当に相談します。
構造設備基準および体制省令のいずれも満たす必要があります。
手数料は34,100円で、登録販売者が第2類医薬品または第3類医薬品を販売・授与する店舗の店舗管理者になるためには、以下のいずれかの要件を満たす必要があります。
店舗販売業許可申請時に必要な書類一例(東京都の場合)
●店舗販売業許可申請書
●平面図
●調剤及び調剤された薬剤の販売または授与の業務を行う体制の概要、医薬品の販売または授与を行う体制の概要
●登記事項証明書
●管理者または勤務薬剤師等の資格などを証明する書類
●薬剤師の場合は、薬剤師免許証の写し(登録販売者の場合は、販売従事登録証の写し)
●登録販売者を店舗管理者とする場合は、業務従事証明書・実務従事証明書・勤務状況報告書または業務従事確認書・実務従事確認書・勤務状況報告書
など
特定販売( 医薬品店舗販売業 のひとつ )
医薬品店舗販売業のうち、インターネット販売や郵便販売など、ほかの区分に分類できない販売方法の場合は、特定販売に区分します。店舗販売業許可を取得し、実店舗を構えていないとインターネットや郵送での販売ができません。販売できる医薬品は、一般用医薬品のみと制限があります。
インターネット販売を行う際は、保健所へ事前の届出が必要です。特定販売の詳細は次の章で記載しています。
医薬品販売 配置販売業
販売員が消費者の家庭に医薬品の入った箱(配置箱)を配置し、次回の訪問時に使用した分の代金を精算・集金する業態です。日本独自の医薬品販売の形態で、置き薬とも呼ばれます。
さらに経年変化による影響がないなどの一定基準を満たした一般用医薬品のみが、販売対象です。登録販売者は第一類医薬品の販売には携われませんが、薬剤師はすべての一般用医薬品を販売できます。
2009年の改正法により、薬剤師または登録販売者の資格を持たない販売員は、医薬品販売をできないことになりました。代金回収や、情報提供が不要な医薬品の補充などは行えます。配置販売を行うのは、薬剤師や登録販売者に限定されます。
必要となる許可
●都道府県知事から得た配置販売業許可
●配置従事者身分証明書
配置販売業許可申請時に必要な書類一例(東京都の場合)
●配置販売業許可申請書
●業務従事証明書
●実務従事証明書
●勤務状況報告書
●身分証明書交付申請
●配置従事届
など
医薬品販売 卸売販売業
医療機関や薬局などに医薬品を卸売りする業態で、倉庫が主体であるため一般消費者への店舗販売はしません。医療関係者以外に、直接医薬品を販売することは禁じられています。原則として営業所には、管理者としてすべての種類の医薬品を取り扱える薬剤師を置かなければなりません。
必要となる許可
●営業所の所在地となる都道府県知事の許可
卸売販売業許可申請時に必要な書類一例(東京都の場合)
●卸売販売業許可申請書
●平面図
●登記事項証明書
●管理者との使用関係を証する書類
●放射性医薬品を取り扱うときは放射性医薬品の種類及び放射性医薬品貯蔵設備の概要を記載した書類
●管理者の資格を証明する書類
●実務経験証明書
など
医薬品販売のために必要な資格
医薬品を販売できるのは薬剤師と登録販売者です。薬剤師または登録販売者に必要となる資格や勤務地、取り扱える薬の種類は以下のとおりです。
薬剤師
- 資格:大学の薬学部(6年制)を卒業し、国家資格を取得
- 勤務地:病院内の薬局・保険薬局
- 取り扱える薬の種類:医療用医薬品・要指導医薬品・一般用医薬品・全種
登録販売者
- 資格:年1回開催される筆記試験に合格すると資格を取得できる(学歴・年齢不問)
- 勤務地:ドラッグストア・薬店など
- 取り扱える薬の種類:第二類医薬品・第三類医薬品のみ
医薬品製造販売業に必要な許可
自社開発の医薬品や委託製造した医薬品を国内で販売する事業者(製薬会社)は、医薬品製造販売業に該当します。輸入した医薬品を販売することも可能です。
医薬品の製造には、医薬品医療機器等法により医薬品製造業許可が必要とされており、製造した医薬品の販売には医薬品製造販売業許可がなければなりません。医薬品製造販売業許可を受けた者は、市場に出ている当該医薬品に対し責任を負い、品質や安全管理を行います。
さらに、医薬品を製造販売するにあたって、取り扱う医薬品の品目ごとに製造販売承認を取得しなければなりません。これを取得すると厚生労働大臣により、医薬品として適当であることが証明されます。
必要となる許可
●医薬品製造業許可
●医薬品製造販売業許可
医薬品製造販売承認申請時に必要な書類一例(東京都の場合)
●医薬品製造販売承認申請書
●承認基準対比表
●外字表
●構造式図面
●装置図
●容器の図面
●実測値/安定性の添付資料
など
一般用医薬品の特定販売(インターネット販売)
医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律施行規則から、特定販売に関する一部の規則を紹介します。特定という名称にしても、このような規則にしても以下にインターネット販売を特別に扱い、利用を制限しようとしたかが分かります。
法第4条第3項第四号ロの厚生労働省令で定める事項は、次のとおりとする。
一 特定販売を行う際に使用する通信手段
二 次のイからホまでに掲げる特定販売を行う医薬品の区分
イ 第1類医薬品
ロ 指定第2類医薬品
ハ 第2類医薬品
ニ 第3類医薬品
ホ 薬局製造販売医薬品三 特定販売を行う時間及び営業時間のうち特定販売のみを行う時間がある場合はその時間
四 特定販売を行うことについての広告に、法第4条第2項の申請書に記載する薬局の名称と異なる名称を表示するときは、その名称
五 特定販売を行うことについてインターネットを利用して広告をするときは、主たるホームページアドレス及び主たるホームページの構成の概要
六 都道府県知事又は厚生労働大臣が特定販売の実施方法に関する適切な監督を行うために必要な設備の概要(その薬局の営業時間のうち特定販売のみを行う時間がある場合に限る。)
医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律施行規則 第1条第4項
一般用医薬品のインターネット販売は、許可を受けた薬局・薬店(店舗販売業)しか行うことができません。医薬品販売 店舗販売業の許可が必ず必要になります。あくまで実店舗の支店のようにインターネットでも販売しています、という形態です。さらに実際の店舗に貯蔵・陳列している製品しか販売できません。インターネット販売を行う際は、保健所へ事前の届出が必要です。
参照:一般用医薬品の特定販売(インターネット販売)モデル図 (東京都)
上図のように店舗販売業の一つとしてインターネット販売が位置付けられています。あくまで、購入者との対面販売が基本であるとの姿勢を崩していません。
販売用のホームページにも、以下のような規制をかけています。店舗でもどこかに表示してあるのか、全て薬剤師や登録販売者に聞けば分かるのでしょう。
インターネット販売用ホームページの整備
ホームページ掲載事項
実店舗の写真、製品陳列の状況、勤務している専門家の氏名など、必要な事項をホームページに掲載しなければなりません。
薬局・薬店の管理・運営関係
1 | 実店舗の写真 |
2 | 許可区分(薬局又は店舗販売業) |
3 | 許可証の記載事項(開設者氏名、店舗名、所在地、所轄自治体等) |
4 | 薬局・店舗の管理者氏名 |
5 | 当該店舗に勤務する薬剤師・登録販売者の別、氏名、担当業務等 |
6 | 現在勤務中の薬剤師・登録販売者の別、氏名 |
7 | 取り扱う一般用医薬品の区分 |
8 | 勤務者の名札等による区別に関する説明 |
9 | 注文のみの受付時間がある場合にはその時間 |
10 | 店舗の開店時間とネットの販売時間が異なる場合は、それぞれの時間帯 |
11 | 通常相談時及び緊急時の連絡先 |
要指導医薬品・一般用医薬品の販売制度関係
1 | 要指導・第1類から第3類の定義及び解説 |
2 | 要指導・第1類から第3類の表示や情報提供に関する解説 |
3 | 指定第2類の販売サイト上の表示等の解説及び禁忌の確認・専門家への相談を促す表示 |
4 | 一般用医薬品の販売サイト上の表示の解説 |
5 | 要指導医薬品・一般用医薬品の陳列の解説 |
6 | 副作用被害救済制度の解説 |
7 | 販売記録作成に当たっての個人情報利用目的 |
医薬品の表示関係
1 | 店舗での陳列の状況が分かる写真を表示 |
2 | リスク区分別の表示方法を確保 |
3 | サイト内検索の結果を、各医薬品のリスク区分についてわかりやすく表示すること |
4 | 医薬品の使用期限 |
ホームページアドレスの公開
販売を行うホームページのアドレス(URL)は、厚生労働省のホームページに掲載されます。
インターネット販売が可能な一般用医薬品
インターネットで販売が可能な、一般用医薬品には、副作用等の発生危険性等に応じリスク区分がされています。
一般用医薬品のリスク区分により、対応する専門家が異なります。
リスク区分 | 第1類医薬品 | 指定第2類医薬品 | 第2類医薬品 | 第3類医薬品 |
リスク程度の説明 | 特にリスクのが高い医薬品 | リスクが比較的高い医薬品 (第2類医薬品のうち、特に注意を要するもの) | リスクが比較的高い医薬品 | リスクが比較的低い医薬品 |
対応する専門家 | 薬剤師 | 薬剤師又は登録販売者 | 薬剤師又は登録販売者 | 薬剤師又は登録販売者 |
販売時の情報提供 | 義務 | 努力義務 | 努力義務 | 努力義務 |
なお、要指導医薬品(ダイレクトOTC、スイッチ直後品目、毒薬、劇薬)及び医療用医薬品のインターネット販売はできません。
このように、特にリスクのが高いとされる第1類医薬品は薬剤師が対応しなければならず、販売時の情報提供も義務とされます。
医薬品店舗販売業 許可申請 は 行政書士 にご依頼ください
今回の医療品においても、似たような性質を持つ医薬品、医薬部外品、化粧品、医療機器、再生医療等製品の5業種がおおよそ同じ体系で管理されています。その手続きを新規については紹介してきました。今後は、業界情報なども取り込んだ更新の方法などをお伝えしたいと思っています。
化粧品や、医薬部外品に比べると、医薬品の販売は実店舗での許可を必要とするため簡単には実現できません。ただし、2025年に向けて規制は緩和される方向にあります。第一類医薬品は薬剤師の応対が必要など、医薬品販売の店舗などの最も負担の重い規制は残りそうですが、一般医薬品の多くが事実上の店舗無しのネット専業でも扱えるようになりそうです。
参考記事:医薬部外品の許可申請は行政書士に
医薬部外品の記事にあるように、医薬部外品 とは、「医薬品」に当たらない「部外」品を指します。身体の外に使う薬という意味ではなく医薬品に準ずるものですが、リスクの高いとされる医薬品以外は、今後は医薬部外品の範疇になっていきそうです。こうした変化しつつある環境において、複雑な書類等も多い医療系の申請手続きを行政書士にご依頼ください。
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参考記事:会社設立 ~ 株式会社設立