犬カフェは軽食など喫茶としての機能もありつつ、動物とも触れ合える場所として認知されています。猫カフェがキャストのようにお店でお出迎えしてくれて、癒しや小動物に触れる場所になっている一方で、犬カフェはオーナーの珍しい大型犬を鑑賞し交流したり、保護犬の紹介の場として譲渡会の会場としても活用されています。猫に比べてサイズからも簡単に抱っこしたりとはいかず、犬はお散歩やドッグランなど環境を生かしたり、犬カフェは多様な展開を見せます。
カフェですので飲食店の開業許可が必要となるのに加えて、お店で飼育や預かりをしている犬がいる場合には第一種動物取扱業の手続きが必要です。しかし、サロンやドッグランなどに併設されているカフェなどでは、常に飼い主と犬とが同伴であれば許可が不要になる場合もあります。呼応した違いもお分かりいただけるように解説しました。
犬カフェの開業手続きから、譲渡会の会場としても活用できる手配について、行政書士の観点から解説します。
犬カフェとしていますが、ドッグカフェといわれる飼い犬と同伴で利用できる喫茶など飲食店も含めています。犬ランとは言わずにドッグランなので、区分けが分かりにくく、分けないようにして、猫カフェに対応させました。
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犬カフェ はいつから始まった?
日本では、ペットカフェは猫カフェが1998年に東京で初めてオープンした(諸説あり)と言われ、全国に広まりました。
猫は比較的室内でも飼いやすく、飼育にかかるスペースも犬に比べて少ないため、猫カフェの開店は比較的経営的に容易だったことが一因です。それまでは飲食店内に動物の持ち込みは禁止だったのが、厨房エリアに限定されるよう自治体の規制が緩和されてきたのも後押しをしました。
一方、犬カフェは猫カフェに比べて少し後発で、店舗数は多くはありません。犬は外での散歩や運動が必要であり、犬カフェほど手軽に店舗を開設することが難しいという側面もあります。性格もやや異なります。
気軽に触れられるペットカフェとしては、猫に軍配が上がりました。犬は散歩のニーズが高いので、屋外やテラスなどではペット同伴可能な店は多くなりましたし、カフェに限定されずに本格的なレストランなども含まれます。
カフェに限らず、宿泊でもペンションのようなところから、ホテルでも一部専用の建物ができたり一棟丸ごとペット可になったりと急速にペットの存在感が増しています。
日本でもハリウッド映画や日本のCMでチワワブームが起きたのは2000年頃といわれます。まだ小型犬のブームは長い歴史ではありませんが、日本ではその後の核家族化、高齢化によるペット増も相まって、犬文化が広まっています。
犬カフェ と ドッグカフェ の違い
ネコではキャットカフェはほぼ聞かないのに、イヌではドッグカフェが用語としてはむしろ主流です。以下が一般的な区分だと思います。
- 犬が比較的店内で自由に動き回れて、小型犬などを中心に触れたりできるのが犬カフェ
- 散歩の途中で寄るために飼い主が連れてくる、各席にはリードを繋ぐためのフックがあるなどがドッグカフェ
ドッグカフェは郊外店ではドッグランを併設しているカフェもあり、犬とひとしきり遊んだ後は休憩がてらお茶を飲むという時間も過ごせます。住宅地でも大規模な公園の周辺ではパン屋に併設したテラスや店内でも一緒に食べられたりします。オーナーさんの家族である看板犬がいるお店もあります。
犬カフェは犬が接客するというスタイルのカフェで、猫カフェの犬版であり、都心など繁華街にあってお通常は客さんの飼い犬は同伴できません。
こちらでは、2種類とも犬カフェで統一していますので、ドッグカフェの内容も含んでいます。
犬カフェ での犬の扱い
犬カフェの形態としては、一つには犬の管理者が経営者なのか客なのかの違い、二つには犬の目的がお店の提供するショーなのか、もしくは販売や譲渡等なのかの違いで分かれます。
動物愛護法で定義されている第一種動物取扱業の種別は、①販売、②保管、③貸出し、④訓練、⑤展示、⑥競り・あっせん、⑦譲受飼養の7種類の区分があります。
犬の管理者
種別は、全て業者からのレンタルである犬カフェの場合には、「保管」に該当します。
店のオーナーが自慢の犬を飼っていて、その犬を見せたり、交流をする目的でお店に出ている場合があります。めったに見かけない大型の珍しい犬種は、公園などでも他の飼い主からも目を引く人気者になれるほどで、飼い主たちが集まります。この場合には第一種動物取扱業の「展示」に相当します。
ペットショップの「展示」と変わらない感じですが、販売が目的ではなく、あくまで展示であり、店内のBGMや装飾のひとつのようなものと考えられます。
一方で、お客が連れてきて、客席で一緒にお店を利用するだけならば、お店の方で第一種動物取扱業の免許が必要かどうかは微妙です。カフェは動物が一緒に入れることを入り口等で示し、厨房等とは隔離するなど施設内での動物との区分けなどの対応は必要ですが、同意したお客だけ利用することになります。
犬の目的
オーナーの犬がカフェの看板娘になっているのなら、それは営業に貢献しているための「展示」です。
一方で、譲渡を目的として、譲渡会の会場として常時もしくは適宜利用されている犬カフェもあります。犬好きなオーナーが動物愛護の精神から協力することもあるでしょうし、もしくは保護犬の団体も公園内や近くのカフェ等を会場として利用することもあります。
このように、お店のオーナーの意向で有償で保護犬がいる場合には「展示」に該当するかもしれません。もしくは、一時的に預かって展示している場合などは、「保管」なども該当する可能性があります。
譲渡会としてカフェを全部や一部を貸し出して、保護犬の関係者が連れてきて譲渡会の活動をする場合には微妙です。オーナーの犬が日頃いるようなカフェは、既にオーナーの犬のために展示の許可があると思われますが、他の犬から追加で別途収益をもらうのであれば、「保管」の許可もあった方が無難でしょう。
なお、別料金で一定のお散歩を許可するようなサービスがついていれば、どちらが受け取るにしても「貸出し」になります。
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犬カフェ 開業に必要な二人の 責任者
犬カフェも含めた飲食店の開業には、店のジャンルを問わず食品衛生責任者の資格が必要となります。また動物を扱うカフェの場合、さらに動物取扱責任者の資格も取得しなければいけません。詳しく確認していきましょう。
飲食店なら必須の 食品衛生責任者
犬カフェに限らず、店内で調理をする飲食店を開業するときは『食品衛生責任者』を1人は店舗に置かなければなりません。保健所から飲食店の営業許可が下りる条件として、食品衛生責任者の設置が必要なためです。
各都道府県の食品衛生協会が実施する講習を受講すれば、食品衛生責任者の資格を取得できます。犬カフェの開業を決めたら、余裕を持って資格を取得しておきましょう。
猫との交流をメインとして飲食物を店内で調理しないケースなら、飲食店営業許可を取る必要はありません。資格がなくても販売できるのは、常温保存が利く飲料や食品に限られますが、飲み物程度でも十分に成り立ちますので開業時に悩むことはありませんが、調理場などの設備も絡みますので当初は準備だけはしておくのも可能です。
また、取り扱いに資格が必要な食品の種類は、法改正で変わることがあります。調べてもよく分からない場合は、保健所に相談すると確実です。
動物の扱いに欠かせない 動物取扱責任者
犬カフェの場合、営業形態に関わらず動物を扱うことになります。開業には『動物取扱責任者』を取得した上で、『動物取扱業』の届出をしなければいけません。
動物取扱責任者になるには、第一種動物取扱業の種別において次のような要件が定められています。
- 半年以上の実務経験を有している
- 又は、第一種動物取扱業に関する知識や技術に関して、1年以上教育する学校法人を卒業している
簡単に言うと、犬カフェのような動物を扱うお店で半年以上勤務するか、動物関連の専門学校に1年以上通ったり民間の専門機関で資格を取得したりすればよいということです。
『動物取扱業』の届出は、店舗のある自治体に対して行います。
飲食店営業 とは
食品に関する営業を始める際には、原則、「営業許可」か「営業届」が必要になります(一部の業種については許可・届出不要)。取り扱う食品や営業形態によって異なります。
営業届は、保健所への「営業届」が必要です。具体的には次のような営業が対象になります。
- 営業届業種の例
- 魚介類販売業(包装済みの魚介類のみの販売)
- 食肉販売業(包装済みの食肉のみの販売)
- 乳類販売業
- 野菜果物販売業
- 弁当などの食品販売業
- 集団給食(委託の場合、飲食店営業の許可になる場合あり)
- 海藻製造・加工業
一般営業施設での営業
表にある営業を行う場合には、営業許可を申請し、施設基準に合致しているかの確認検査を受け、「営業許可」を取得する必要があります。
分類は調理業、業種は飲食店営業になります。
喫茶店営業許可は2021年6月1日の食品衛生法改正により廃止され、飲食店営業許可に統合されました。英語と日本語だけの違いによる店名のイメージ差と思いきや、実はカフェと喫茶店の法的な区別は5年位前まではあリました。昔ながらの昭和風のレトロの喫茶店、今でも街中に少しは残ってますが、根拠となる業種も今風な喫茶店とは違っていたんですね。
カフェ施設の工事着工前に設計図等を持参の上、事前に生活衛生課へ相談します。
申請書類の提出
図面が確定したら、必要書類を用意し、申請してください。
- 営業許可申請書 1通
- 施設の構造及び設備を示す図面 1通(または業種数)
- 許可申請手数料(業種によって異なります。生活衛生課にお問い合わせください。)
- 食品衛生責任者の資格を証明するもの
- 登記事項証明書(法人申請で法人番号が不明の場合)
- 水質検査成績書(貯水槽使用水、井戸水使用の場合)
その後は、施設検査の打ち合わせで施設の確認検査の日時を地区担当者と相談します。地区担当者が施設の確認に伺います。施設基準に適合しない場合は許可されません。不適事項を改善して、改めて再検査を受けます。
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食品衛生責任者 とは
法令改正により、 2020年 から食品衛生責任者は国の 省令 (食品衛生法施行規則)に直接に定められた資格に格上げされました 。 さらには、営業者の責務として食品衛生責任者の意見を尊重することも法令に明記されました 。
食品衛生責任者は、食品を調理・製造・加工・販売する施設に必ず必要で、「食品衛生法に定められた営業許可」を受ける施設ごとに専任で配置することが義務付けられています。
1人が複数の店舗や施設を兼任することはできないので注意が必要です。
法第55条第1項の規定による営業の許可を受けようとする者は、次に掲げる事項を記載した申請書をその施設の所在地を管轄する都道府県知事等に提出しなければならない。
一 申請者の氏名(ふりがなを付す。)、生年月日及び住所(法人にあつては、その名称(ふりがなを付す。)、所在地及び代表者の氏名(ふりがなを付す。))
二 施設の所在地(自動車において調理をする営業にあつては、当該自動車の自動車登録番号)及び名称、屋号又は商号(ふりがなを付す。)
三 申請する営業の種類、形態及び主として取り扱う食品又は添加物に関する情報
四 食品衛生管理者又は食品衛生責任者の氏名(ふりがなを付す。)、資格の種類及び受講した講習会
五 施設の構造及び設備を示す図面
六 食品衛生上の危害の発生を防止するために特に重要な工程を管理するための取組又は取り扱う食品の特性に応じた取組の種別
七 法第五十五条第二項各号のいずれかに該当することの有無及び該当するときは、その内容
食品衛生法施行規則 第67条
食品衛生責任者は、自治体が管轄する公的資格であり、食品の製造販売を行う全ての事業所において配置しなければいけない有資格者です。毎年、営業許可の更新時に実務講習の受講が必須です。
似たような資格に、食品衛生管理者があります。厚生労働省が管轄する国家資格です。
食品衛生法第48条によって定められた特定の食品加工や添加物製造を行う事業所において、その製造又は加工を衛生的に管理させるため配置しなければいけない有資格者で、更新は不要。ただし講習会などへ積極的に参加し、法令の変更などを随時確認する責任があります。
犬カフェ での 第一種動物取扱業 と 動物取扱責任者
第一種動物取扱業 の開業手続き
第一種動物取扱業とは、社会通念上、 以下3点で業として認められる行為と定義されます。
- 有償・無償の別を問わず
- 反復・継続して事業者の営利を目的として
- 動物の取扱いを行う
動物愛護法で定義されています。①販売、②保管、③貸出し、④訓練、⑤展示、⑥競り・あっせん、⑦譲受飼養の7種類の区分があります。具体的な手続きは都道府県単位で、東京都ならば東京都動物の愛護及び管理に関する条例により登録が必要です。
①販売:ペットショップ
②保管:ペットホテル、ペットシッター
③貸出:ペットレンタル、撮影モデル派遣
④訓練:動物訓練、調教業者
⑤展示:動物園・水族館、乗馬施設、アニマルセラピー
⑥競り、あっせん:動物オークション
⑦譲受飼養業:老犬老猫ホームなど
第一種度物取引業を営もうとする者が、氏名や住所等に加えて、動物取扱責任者と、取扱う動物の種類や頭数、施設について提出します。
動物取扱責任者 の開業手続き
動物取扱責任者は事業所ごとに置かれ、第一種動物取扱業の種別ごとに必要です。ただし、一人の動物取扱責任者が複数の種別を担当できますし、第一種動物取扱業を提出する事業者が自分で一人で兼任しても構いません。
参考記事:第一種動物取扱業 と 動物取扱責任者 が分かる解説
犬カフェ 開業 と 譲渡会 の受け入れなら 行政書士 にお任せ
犬カフェとドッグカフェの違いから始まりました。犬と一緒にいられる同じようなカフェ業態だったのが、別物のように分化されて進化しています。店の犬と遊べる犬カフェ、自分の犬を連れていけるドッグカフェの大きな区分が一般的ですが、譲渡会の会場となり別の業態との橋渡しの役割も果たすなどペット向けサービスが融合しつつあります。
犬カフェを開業するのに必要な2つの許可、飲食店営業許可と第一種動物取扱業許可や、そのもとで任命する責任者の資格を説明してきました。更に譲渡会の会場としてオーナーのカフェを使う場合に、オーナーがお客として譲渡会を受け入れて営利として行うときにはどのような許可の種別が必要かを説明してきました。動物をカフェに迎えるのが営利なのか非営利なのかで許可が必要かどうかが分かれるなど、微妙な点があることも述べました。
ペットとしての犬の飼育数は全国では頭打ちと言われますが、都市部ではやや増加傾向ともみられますし、高齢のベテラン飼い主も多くなってきて保護犬を譲り受けている人も目につきます。
譲渡会が活発となり、救える命を助けられるように、行政書士も犬の譲渡環境の充実に貢献していきたく思います。
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開業支援も行政書士にご依頼ください
開業を控えたお客様もご活用ください。
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動物病院開設のみならず、会社設立や資金調達、契約書等の書類の作成なども行います。
参考記事:会社設立 ~ 株式会社設立