財団法人設立 は遺言・相続の切り札か?

財団法人設立 法人設立
財団法人設立

多額の資産はあるのに、継承する相続人がいない人にとって、 財団法人設立 が遺言・相続の切り札として脚光を浴びています。ここでは、財団法人とはどのようなものか、財団法人の設立手続などについて解説します。

その他の法人については、「 会社の種類 」をご参照ください。

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財団法人 とは?

財団法人 とは?

財団法人とは、ある特定の個人や企業などの法人から拠出された財産で設立され、これによる金利・配当金及びその他の運用益を主たる事業原資として運営する法人です。

公益法人制度改革に伴い、2008年12月より公益目的でなくても「一般財団法人」という財団法人を設立できるようになりました。

財団法人については、一般社団法人及び一般財団法人に関する法律によって規定されます。

 一般社団法人及び一般財団法人の設立、組織、運営及び管理については、他の法律に特別の定めがある場合を除くほか、この法律の定めるところによる。

一般社団法人及び一般財団法人に関する法律 第1条
財団法人設立
財団法人設立

財団法人の名称は厳格です。

一般社団法人及び一般財団法人に関する法律によって、法人名に必ず、「一般財団法人」という文字を用いなければならないことにとどまらず、財団法人は、その名称中に、一般社団法人であると誤認されるおそれのある文字を用いてはならないとされています。もちろん、一般社団法人でも一般財団法人でもない会社は、その名称又は商号中に、一般社団法人又は一般財団法人であると誤認されるおそれのある文字を用いてはならないとされます。

そして、法に違反する名称又は商号の使用によって事業に係る利益を侵害されたか、侵害されるおそれがある財団法人は、その利益を侵害するか侵害するおそれがある者に対し、その侵害の停止または予防を請求することができます。

それだけ、財団法人の名称は厳格なのです。

 一般社団法人又は一般財団法人は、その種類に従い、その名称中に一般社団法人又は一般財団法人という文字を用いなければならない。

2 一般社団法人は、その名称中に、一般財団法人であると誤認されるおそれのある文字を用いてはならない。

3 一般財団法人は、その名称中に、一般社団法人であると誤認されるおそれのある文字を用いてはならない。

一般社団法人及び一般財団法人に関する法律 第5条

 一般社団法人又は一般財団法人でない者は、その名称又は商号中に、一般社団法人又は一般財団法人であると誤認されるおそれのある文字を用いてはならない。

一般社団法人及び一般財団法人に関する法律 第6条

 何人も、不正の目的をもって、他の一般社団法人又は一般財団法人であると誤認されるおそれのある名称又は商号を使用してはならない。 2 前項の規定に違反する名称又は商号の使用によって事業に係る利益を侵害され、又は侵害されるおそれがある一般社団法人又は一般財団法人は、その利益を侵害する者又は侵害するおそれがある者に対し、その侵害の停止又は予防を請求することができる。

一般社団法人及び一般財団法人に関する法律 第7条
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財団法人設立 にあたって

一般財団法人の設立に際しては、設立者の全員で定款を作成し、記名押印します。

設立者は、遺言で一般財団法人を設立する意思を表示することもできます。この場合、遺言執行者が定款を作成し、記名押印します。行政書士が遺言書作成を支援して、遺言執行者に就任することもできます。遺言書自動作成サイトも参考になさってください。

参考:遺言書自動作成サイト「 遺言書AI

 一般財団法人を設立するには、設立者が定款を作成し、これに署名し、又は記名押印しなければならない。

2 設立者は、遺言で、次条第1項各号に掲げる事項及び第154条に規定する事項を定めて一般財団法人を設立する意思を表示することができる。この場合においては、遺言執行者は、当該遺言の効力が生じた後、遅滞なく、当該遺言で定めた事項を記載した定款を作成し、これに署名し、又は記名押印しなければならない。

一般社団法人及び一般財団法人に関する法律 第152条

財団法人設立 の流れ

財団法人設立 の流れ

  1. 一般財団法人の概要を決定する
  2. 定款を設立者が作成します。
  3. 登録用の印鑑を作成する。
  4. 公証人の認証を受ける
    定款の認証を受ける公証役場は、主たる事務所がある都道府県内であればどこでも大丈夫です。
    認証の費用は約5万円です。
       参考:全国公証役場一覧(日本公証人連合会)
  5. 財産の拠出
  6. 法務局にて登記申請
    登録免許税が必要です。
    登録免許税は6万円。

財団法人設立 定款作成

 定款は、一般財団法人の根本規則であり、一般財団法人の設立に際して必ず作成しなければならない書類です。定款には、法人の名称や目的、事務所の所在地、設立時社員の氏名など、絶対に記載しなければいけない事項というものがあり、この内、一つでも記載が欠けた定款は無効です。

 定款は一般財団法人の設立後の運営にも大きな影響を及ぼす書類です。定款原案の作成時は、他の一般財団法人の定款を参考にする、あるいは、行政書士に相談するなどされると良いでしょう。

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なお、一般財団法人の定款には株式会社や合同会社のように、収入印紙(4万円)を貼りつける必要はありません。紙で作成しても電子定款で作成してもどちらでも費用に変わりありません。

一般財団法人 定款記載事項

一般財団法人の定款には、次に掲げる事項を記載しなければなりません。

  1. 目的
  2. 名称
  3. 主たる事務所の所在地
  4. 設立者の氏名又は名称及び住所
  5. 設立に際して設立者が拠出をする財産及びその価額(財産の価額の合計額は、300万円以上)
  6. 設立時評議員、設立時理事・設立時監事の選任に関する事項
  7. (会計監査人設置一般財団法人であるときは、)設立時会計監査人の選任に関する事項
  8. 評議員の選任及び解任の方法
  9. 公告方法
  10. 事業年度

定款での禁止事項

  1. 評議員の選任及び解任の方法として、理事又は理事会が評議員を選任し、又は解任する旨定めること
  2. 設立者に剰余金又は残余財産の分配を受ける権利を与える定めること

設立時評議員・設立時理事の数

設立時評議員及び設立時理事は、それぞれ3人以上でなければなりません。

 一般財団法人の定款には、次に掲げる事項を記載し、又は記録しなければならない。
一 目的
二 名称
三 主たる事務所の所在地
四 設立者の氏名又は名称及び住所
五 設立に際して設立者が拠出をする財産及びその価額
六 設立時評議員(一般財団法人の設立に際して評議員となる者をいう。以下同じ。)、設立時理事(一般財団法人の設立に際して理事となる者をいう。以下この節及び第三百十九条第二項において同じ。)及び設立時監事(一般財団法人の設立に際して監事となる者をいう。以下この節、第二百五十四条第七号及び同項において同じ。)の選任に関する事項
七 設立しようとする一般財団法人が会計監査人設置一般財団法人(会計監査人を置く一般財団法人又はこの法律の規定により会計監査人を置かなければならない一般財団法人をいう。以下同じ。)であるときは、設立時会計監査人(一般財団法人の設立に際して会計監査人となる者をいう。以下この節及び第三百十九条第二項第六号において同じ。)の選任に関する事項
八 評議員の選任及び解任の方法
九 公告方法
十 事業年度

2 前項第五号の財産の価額の合計額は、300万円を下回ってはならない。

3 次に掲げる定款の定めは、その効力を有しない。
一 第一項第八号の方法として、理事又は理事会が評議員を選任し、又は解任する旨の定款の定め
二 設立者に剰余金又は残余財産の分配を受ける権利を与える旨の定款の定め

一般社団法人及び一般財団法人に関する法律 第153条

定款認証

作成した定款を、公証役場で認証を受けます。

おおむね5万円の公証人手数料が必要です。

参考:日本公証人連合会

財団法人 への 財産の拠出

設立者(もしくは、遺言執行者)は、公証人の認証の後遅滞なく、定款に規定した拠出する金銭の全額を払い込まなければなりません。

設立者が定めた銀行口座へ払い込みます。

財団法人の設立日

財団法人の成立日

法務局へ登記申請をした日(法務局へ書類を提出した日)が、一般財団法人の成立日です。 この日から、財団法人としての活動を行うことができます。

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財団法人の機関

財団法人には、評議員、評議員会、理事、理事会、監事を置かなければなりません。

 一般財団法人は、評議員、評議員会、理事、理事会及び監事を置かなければならない。

2 一般財団法人は、定款の定めによって、会計監査人を置くことができる。

一般社団法人及び一般財団法人に関する法律 第170条

評議員は、財団法人に特有の機関ですので、少し説明いたします。

評議員 評議員会

評議員は、3人以上必要で、一般財団法人や子法人の理事、監事、使用人を兼ねることができません。評議員の報酬額は、定款で定めなければなりません。

評議員の任期は、選任後4年以内に終了する事業年度に関する定時評議員会の終結の時まで。ただし、定款によって、4年を6年に伸長することができます。

評議員が欠けた場合、任期の満了又は辞任により退任した評議員は、新たに選任された評議員が就任するまで、なお評議員としての権利義務をもちます。裁判所は、必要があると認めるときは、利害関係人の申立てにより、一時評議員の職務を行うべき者を選任することができます。

評議員会の決議によって、理事や監事が職務上の義務に違反、職務を怠ったとき、心身の故障のため職務の執行に支障があるとき、理事や監事を解任できます。

評議員会の決議によって、会計監査人が職務上の義務に違反、職務を怠ったとき、ふさわしくない非行があったとき、心身の故障のため職務の執行に支障があるとき、理事や監事を解任できます。

評議員会の決議によって、定款を変更できます。

評議員会の決議によらなければ、一般財団法人は事業の全部の譲渡をすることはできません。

評議員会の議事については、議事録を作成しなければなりません。評議員会の日から10年間、議事録を主たる事務所に備え置かなければなりません。

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財団法人設立 は遺言・相続の切り札か

財団法人を遺言によって設立することもできます。

 設立者は、遺言で、次条第1項各号に掲げる事項及び第154条に規定する事項を定めて一般財団法人を設立する意思を表示することができる。この場合においては、遺言執行者は、当該遺言の効力が生じた後、遅滞なく、当該遺言で定めた事項を記載した定款を作成し、これに署名し、又は記名押印しなければならない。

一般社団法人及び一般財団法人に関する法律 第152条第2項

しかし、財団法人は今まで説明してきた通り、理事、監事、評議員を設置しなければなりません。遺言者の思いが実現できるか、遺言してから相続発生までに年月が流れてしまうと、不安定になってくるでしょう。まずは財団を用意しておいて、大半の金銭を、遺贈により提供するといった形が現実的かと思います。

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