医療法人設立 メリット・デメリット

NPO法人設立 法人設立
NPO法人設立

個人診療所を開設した後に、 医療法人設立 を検討されている方に向けて、 医療法人化 メリット・デメリットについて、行政書士の立場で説明いたします。

医療法人の設立は、国の厚生局、都道府県、自治体の保健所、法務局と数多くの行政窓口と関わる手続です。行政への申請書類作成を業務とする行政書士にお任せいただきたい分野です。

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医療法人 とは?

病院、医師・歯科医師が常時勤務する診療所、介護老人保健施設、介護医療院を開設しようとする法人を医療法人と称します。
法人の性質は、社団、もしくは、財団となります。社団たる医療法人が医療法人全体の大多数です。

病院、医師若しくは歯科医師が常時勤務する診療所、介護老人保健施設又は介護医療院を開設しようとする社団又は財団は、これを法人とすることができる。

医療法第39条

租税特別措置法を根拠とする特定医療法人、医療法を根拠とする社会医療法人という特別な類型もあります。

法人といっても、1人しか医師のいない「1人医師医療法人」が全体の医療法人数の8割超を占めますので、医療法人化で規模の拡大を図る狙いよりも、1人医師が節税対策の一環として法人成りしてるケースも多いかと思います。

経過措置型医療法人

平成19年(2007年)4月以降設立できる医療法人は、新法の医療法人のみとなりましたが、旧法の法人格も存続しているので注意が必要です。

旧法では、出資持分のある医療法人がありました。
社団医療法人であって、その定款に出資持分に関する定め(出資持分の払戻し、残余財産の分配に関する定め、など)を設けているものがありました。平成19年改正により、出資持分のある医療法人の新規設立はできなくなりましたが、既存の出資持分のある医療法人については、当分の間存続する旨の経過措置がとられており、これらを「経過措置型医療法人」、もしくは、「持分あり医療法人」と呼びます。

医療法人の責務

医療法人は、自主的にその運営基盤の強化を図るとともに、その提供する医療の質の向上及びその運営の透明性の確保を図り、その地域における医療の重要な担い手としての役割を積極的に果たすよう努めなければなりません。

医療法人は、開設する医療機関の規模等に応じ、その業務を行うに必要な資産を有しなければなりません 。

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医療法人 個人病院 との違い

医療法人と個人病院の違いは、最も基本的な点として「事業を行う人格が異なる」ということです。

個人病院では、事業を行う主体は開業医である医師個人です。つまり、医師個人が事業を営み、患者との契約や報酬なども医師個人に直接関連します。一方、医療法人では、別の「法人格」という人格が事業を運営します。医療法人では個人と法人が分かれており、法人格が事業を行う主体となるのです。

医療法人では契約や報酬など事業運営に関する要素は、明確に医師個人と法人で区別されます。

個人病院の売り上げや財産は、医師個人に帰属されます。診療所・個人病院の方が自由にお金を使えるでしょう。医療法人では売り上げや財産は法人に帰属するため、経営者である医師が勝手な利用することができません。

経営者には医療法人から給与が支払われます。医療法人化により、節税効果があるほか、診療所・病院以外の施設などが開設できるようになり、事業の拡大が可能になります。

医療法人 メリット・デメリット

メリット

【節税】個人開業医でいるよりも節税効果が高い

医療法人は、法人税の軽減や、寄付金に対する税制優遇など、多くの税制上のメリットを享受できます。これにより、経済的な負担を軽減し、医療サービスの向上や設備投資にリソースを振り向けることが可能となります。

医療法人成りのメリットとしてもっともよく言われるのが、個人開業医のままでいるよりも節税効果が高いということです。一定の事業所得(売上−経費)がある開業医の場合、個人病院のままでいるよりも、医療法人化した方が払うべき税金が安く収まるケースが多くあります。そもそも開業医では、売上から経費を差し引いた事業所得に対して、最大税率45%の所得税がかけられます。

所得税率
所得税率

出典:国税庁

個人の所得税は、所得金額が高くなるほど税率も高くなる累進性が強いため、所得が増えるほど納税額が高くなります。所得税以外に住民税も、同じ課税所得に対して10%かかるため、所得金額が4,000万円以上となると税率は55%と、半分以上も税金として支払うことになります。

医療法人化した場合は、法人税が課税されます。法人税は累進性が低く、所得800万円までは税率15%所得800万円超えてからは税率23.2%

開業医としての年間事業所得が1,800万円を超えている場合、医療法人化することで個人の所得に対して節税効果が得られます。

【退職金】役員として退職金が受け取れます

役員退職金は適正な範囲で医療法人の損金参入が認められます。

退職金には退職所得控除やハーフタックスなど所得税・住民税が軽減され手取りが多くなります。

概算経費社会保険診療報酬が5,000万円を超えたら医療法人化

社会保険診療報酬が5,000万円を超えている場合、医療法人化を検討しても良いでしょう。

社会保険診療報酬が5,000万円を超えると、「概算経費」の利用ができなくなります。概算経費とは、開業医に認められている特例措置で、実際に使った経費ではなく社会保険診療報酬の額によって決められた分を、経費として計上することのできるものです。実際にかかった費用よりも経費として多く計上することで、収益を減らし、課税額を抑えることができます。

社会保険診療報酬が5,000万円を超えたタイミングで医療法人化を考えるのもひとつの手です。

参考:確定申告書等の様式・手引き等(令和4年分の所得税及び復興特別所得税の確定申告分)より
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/shinkoku/tebiki/2022/pdf/042.pdf

【事業拡大】分院や介護事業所など複数の事業所を経営できる

医療法人化することで、分院の設立や介護事業施設などの経営をすることができるようになります。分院や複数事業所の展開をすると、売上自体を増加させることができます。

【社会的信用性の向上】資金調達や人材確保が容易に

法人格を持つことで、外部からの信用が向上し、ビジネスパートナーや患者からの信頼も増します。また、医療法人は公益性が高いとされ、地域社会との連携も強化される可能性があります。

医療法人の設立にあたっては、都道府県知事の厳格な審査を受ける必要があり、また個人資産と法人資産を明確に分離することも求められます。こうしたことで、金融機関からの融資を受けやすくなります。優秀な人材の採用・確保も容易になります。

【将来の備え】事業承継・相続対策ができる

個人経営のクリニック等では後継者問題が頭を悩ます要因となりますが、医療法人化することで、組織としての継続が可能となり、後継者問題を緩和することができます。

医療法人であれば、事業承継を行う際には、理事長の変更のみで承継することができます。一方、個人病院の場合、事業承継の際にはその事業規模や収益に応じて多額の相続税や贈与税が課されます。将来的に事業を子どもに引き継ぐことを考えているのであれば、医療法人化して事業継承や相続の対策をすることがおすすめです。

医療法人化をすると、退職金を受け取ることができるようになります。法人組織では、役員に退職金を支給する制度を設けることができるためです。退職金所得は一般的な給与所得よりも税率が優遇されているため、個人の所得税を抑えられることができます。

デメリット

医療法人としての手続きの煩雑性

  1. 設立の手間とコスト: 医療法人を設立する際には、多くの書類の提出や手続きが必要となります。これには専門的な知識と時間が要求され、初期コストも無視できません。
  2. 運営の複雑化: 法人として運営を行うため、経理や管理面での業務が増え、運営が複雑化します。これにより、専門的なスタッフの雇用や外部の専門家(例:税理士)との連携が必要となる場合があります。
  3. 情報開示の義務: 医療法人は、その運営に関する情報を一定程度公開する義務を負います。これにより、プライバシーや競業上の情報が外部に知られるリスクが生じます。
  4. 法的な制約: 医療法人は、特定の法的な制約を受けることがあります。例えば、利益の分配に関する制約や、事業活動に関する制約など、経営の自由度が個人経営に比べて限定される場合があります。

医療法人に出来ないこと

医療法人には非営利性がありますので、今まで個人事業で出来ていたことができないというデメリットもあります。

株式、FX投資などの投機的な資産運用は禁止されています。

特定の役員が使用する社宅の保有も禁止されています。

行政書士が 医療法人設立 をサポート

行政書士として、医療法人設立、診療所等開設手続を代行いたします。

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参考記事:医療法人設立

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設立後、毎年発生する 都道府県庁への事業報告や、認定申請も承ります。

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