行政書士は、 投資運用業 をはじめとした金融商品取引業の許可申請代理も承ります。行政書士 岡 高志は、銀行、証券、投資会社で投資実務にたずさわってきた経験も生かして、お客様と共にビジネスを前に進めてまいります。金融商品取引業の登録申請のうちでも、第一種金融商品取引業者と投資運用業者は最難関です。
投資運用業には4つの種類があり、各種の簡易版として5つ目に適格投資家向け投資運用業という種類があります。5つ目は独立してあるというよりは、4つの種類の導入の位置付けになります。後になって追加されました。だからといって手続きは簡略にはなっていません。主に、適格投資家向け 投資運用業の登録申請手続きをご案内してまいります。
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金融商品取引業 とは?
金融商品取引業とは、株式や債券などの販売・勧誘、投資運用に関する業務、投資に関してアドバイスする業務であり、投資家にとって最も密接に関わる存在といえます。しかし、根拠となっている金融商品取引法は、一般の方にはあまり馴染みのない法律です。
金融商品取引法
金融商品取引法とは、証券市場における有価証券の発行、売買その他の取引について定めた法律です。略して金商法(きんしょうほう)と呼ばれることも多いです。
金融商品取引法の前身となったのは1948年に制定された「証券取引法」という法律です。2006年に証券取引法が全面的に改正され、金融先物取引法など他の法律も統合されて金融商品取引法となりました。
適格投資家向け 投資運用業 とは
適格投資家向け 投資運用業 とは
適格投資家向け投資運用業は、投資運用業者の参入を促進する観点から、通常の投資運用業より緩和された登録要件の下で業務を行うことを可能とするものです。条件は以下のふたつになります。
① 権利者(投資家)を「適格投資家」などのプロの大口に限定
② 運用財産総額を 200 億円以下に限定
適格投資家向け 投資運用業 登録要件の緩和
具体的には、以下の2点において登録要件が緩和されています。
① 取締役会が不要(通常の投資運用業は取締役会設置会社又は取締役会設置会社と同種類の外国会社である必要があります)
② 最低資本金は 1,000 万円(通常の投資運用業は 5,000 万円)
さらに、適格投資家向け投資運用業の登録を行った者に対しては、販売において若干の優遇があります。本来は第一種金融商品取引業の登録が必要である投資信託・投資法人等の投資勧誘に関して、一定の例外が設けられております。
具体的には、適格投資家向け投資運用業の登録を受けている場合において、第二種金融商品取引業の登録で行うことが可能とされています(みなし第二種金融商品取引業)。
- 自己が投資一任契約に基づき運用権限の全部の委託を受けて運用する投資信託や投資法人に係る受益証券・投資証券等を、適格投資家のみに対して、私募の方法により勧誘を行う場合
投資信託の受益証券や投資法人の投資証券に関する「私募」とは、有価証券の新たな発行で、勧誘の相手方が①49 名以下に限定されているもの(少人数私募)や、②適格機関投資家又は特定投資家に限定されているもの(プロ私募)をいいます。私募に対して、投資信託のような多数の小口投資家に販売することは公募と言います。
投資運用業 登録申請
事前相談が最初の手続きになります。ここで必要な事項の確認が完了次第、登録申請書類の作成・提出を行います。
申請には、登録免許税として、15万円の納付が必要です。
第一種金融商品取引業および投資運用業は法人だけが申請可能で、個人が申請できるのは第二種金融商品取引業および投資助言・代理業のみになります。
投資運用業 の事前相談
事前相談は、申請者の想定している事業スキームや組織体制等について確認するとともに、法令・監督指針との整合性や提出書類の内容等について事前に一定の審査を行うことを目的として行うものとなります。
事前相談においては、
- 一般的に、まず事業スキームや組織体制等について説明
- 必要に応じてヒアリング等により具体的な内容を確認
- その際には、任意の資料(会社概要や事業スキーム図、組織図等)に基づき説明
- 法令や監督指針上の必要事項の確認のため、概要書等の書類を作成
- その記載内容に基づいてより詳細な事項の確認
概要書を、金融商品取引業に係る登録申請に当たって、法令上確認すべき事項や監督指針上の着眼点についての確認の際、対話を円滑に実施することを目的に作成されるものです。
事前相談における確認点は、登録業種や事業スキームによって異なります。
例えば以下のような事項があります
- 申請者の概要(資本金、役職員数、主要株主、主要取引銀行など)
- 申請を行おうとする経緯・目的、経営計画・収支計画
- 業務の内容・方法(事業スキーム、取り扱う金融商品の概要や運用期間、顧客属性、顧客勧誘説明の方法など)
- 業務体制(業務を的確に遂行するに足りる人的構成、社内規則の整備状況など)
- その他の法令・監督指針に定める各種義務・留意事項等に関する措置(業務執行態勢、勧誘・説明態勢、弊害防止措置・忠実義務など)
必要事項の確認後、登録申請書類のドラフトを作成して、必要な記載事項や添付書類の内容について確認いたします。
事前相談にかかる期間は、平均的には、概ね3~4か月程度となります。さらに、事業スキームの規模や複雑性などの様々な事情によって大きく異なる可能性があります。
投資運用業 の登録の要件
投資運用業とはファンド等を活用して有価証券又はデリバティブ取引に関する投資を行う場合、投資一任契約を結び有価証券又はデリバティブ取引に関する投資、投資信託委託業を営む場合 などに必要な登録です。
投資運用業を営むには、資産要件、人的要件などかなり厳しい要件をクリアする必要があります。
資産要件
資本金5000万円以上の株式会社であり、(すでに設立している会社は資本金5000万円以上でかつ純資産額も5000万円以上確保している必要があります。)かつ、取締役会を設置した株式会社であること。(取締役3名以上で取締役会を設置、監査役も1名置く必要がある。)
人的要件
資産運用部門、内部監査部門、コンプライアンス部門、管理部門等を独立して設置し、それぞれの部署に業務を行うに当たり十分な知識及び経験を有する役員もしくは担当者を設置する必要があります。
なお、知識及び経験は具体的には、それぞれの担当者や役員の職歴、資格等で個別に判断されます。特にコンプライアンス部門の責任者の要件が厳格です。
兼業規制
弊害防止の規制等をクリアする必要があります。
上記のように、投資運用業を営むには、資産要件、人的要件などかなり厳しい要件をクリアする必要がありますので、登録を進めるには、十分に準備をして手続きを進める必要があります。
投資運用業 の登録申請(申請書の提出)
事前相談において必要な事項の確認が完了次第、登録申請書類の作成・提出を行います。
申請には、登録免許税として15万円の納付が必要になります。
登録申請書には、各種添付書類を添付する必要があります。登録申請の際の主な添付書類は以下のとおりです。
添付する書類 |
登録申請者の誓約書 |
業務の内容及び方法を記載した書類 |
業務に係る人的構成及び組織等の業務執行体制を記載した書面 |
役員及び重要な使用人の履歴書 |
役員及び重要な使用人の住民票の抄本等 |
役員及び重要な使用人が破産者でないことの証明書等 |
役員及び重要な使用人の誓約書 |
特定関係者(親法人等、子法人等及び持株会社)の状況を記載した書類 |
金融商品取引業務に関する社内規則 |
不動産関連特定投資運用業を行う場合における業務遂行能力に関する事項を記載した書面 |
暗号資産及び金融指標の概要を説明した書類 |
定款 |
登記事項証明書 |
最終の貸借対照表(関連する注記を含む)及び損益計算書(関連する注記を含む) |
純財産額を算出した書面 |
主要株主の商号、名称又は氏名及び本店又は主たる事務所の所在地(個人にあっては、住所又は居所)並びに当該主要株主が保有する対象議決権の数を記載した書面 |
登録免許税領収書 |
行政書士 へのご依頼にあたって
投資運用業になりますと資本金や人的要件からも相当に敷居が高くなり、特に人的要件に伴う人件費、業界団体への加入、システム投資などで費用も膨らみますので、補助金での補填は企業や業態転換への誘因になります。
適格投資家向けの投資運用業も、他の投資運用業と申請の手続きで異なることはありません。緩和された登録要件の下で業務を行うことで、投資家などのプロの大口に限定し、運用財産総額を 200 億円以下に限定されます。他には、取締役会が不要であったり、最低資本金は 1,000 万円など負担も多少は軽減されます。また、販売においては、みなし第二種金融商品取引業として第一種金融商品取引業のファンド商品なども扱えます。
こうした利便性はありますが、金融商品取引法で最も厳しいと言われる登録申請書類の作成・提出を行います。登録申請書には、膨大な各種添付書類が必要になります。ぜひ行政書士にご依頼ください。