保護犬 の 譲渡会 と 第二種動物取扱業 が分かる解説

譲渡会 その他
譲渡会

譲渡会は、犬や猫などの動物を基本無償で譲り渡す場です。新しくペットを飼うときに、ペットショップやブリーダーから購入する以外に、動物愛護相談センターやボランティア団体が保護している動物を引き取る譲渡という選択肢があります。

譲渡会を行う主体は動物愛護の個人や仲間、NPO法人、ボランティア団体になります。譲渡会自体はペットショップでの販売に似ているところもあり、動物取扱業のうち非営利で無償を前提とするのが譲渡で必要な資格は第二種、営利での販売をするのがペットショップで資格は第一種になります。

第一種は規模に関わらず必ず許可が必要ですが、第二種では個人や小グループなどの小規模であれば許可不要など免除があります。飼養施設を設置したり、10匹以上の犬猫など一定頭数以上の動物を扱うような大規模な団体は、第二種動物取扱業の届出が必要になります。

個人や小グループで保護犬の譲渡を実施してきたのを、ある程度の規模に達してきたので第二種の登録をしてみたい、行政の譲渡会などを通じてさらに譲渡の機会を増やしたいなどのご要望があれば、行政書士が必要な許可の選定、自治体への手続きなどを代行します。新たに保護犬や老犬ホームなどの犬の引き取り手を探す団体を作り、譲渡会を自ら企画したい方も歓迎です。

参考記事:第一種 動物取扱業 登録申請

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譲渡会 とは

動物の飼育放棄をさせない、殺処分ゼロを目指しつつ飼い主も選ぶなど、譲渡は非営利で行います。ペットショップは営利追及が目的のために最も需要の高い子犬の時期に対象が集中します。そこで、飼いきれなくなってしまい手放されてしまった犬や、高齢になりペットショップ等から外れてしまった犬が新しい飼い主を求めるのが譲渡会になります。

犬の譲渡会というのも実は店頭販売に似たようなもので、ネットでもリアルでも存在します。

譲渡会には、ネットのような情報をやり取りする場という意味と、リアルに会場に集まって実際に動物に触れてみる場としての二種類があります。ネットもリアルも駆使して行うのが一般的になっており、ネットでお目当ての犬にあたりをつけつつも、それ以外の犬も見てみて比較するなど融合しています。

譲渡会
譲渡会

団体等による保護犬の引き取り先探しの機会でもありますし、稀には飼い主が飼っている犬を新しい飼い主に引き取ってもらうためのイベントでもあります。形態はいくつかありますが、一般的には以下のようなスタイルがあります:

オンラインマッチング

インターネットを通じて犬の情報を掲載し、新しい飼い主を募集します。ウェブサイトやSNSを利用して、犬の写真やプロフィールを紹介します。こうした情報を基に、譲渡会のようなリアルの場で実際の動物を見て判断する場合も多くあります。

譲渡会などのイベント会場での引き取り

特定の場所で開催されるイベントに参加し、実際に犬と新しい飼い主を引き合わせます。これにより、犬と新しい飼い主が直接会って相性を確認できます。

複数の団体が参加する大規模な譲渡会から、特定の人や地域に絞って単独で小規模に開催する会もあります。地元の公園やスーパーなどの敷地の一角などで、地元の交流会と絡めてみたりと多様です。

動物愛護団体の協力

動物愛護団体が主催する譲渡会に参加し、犬を引き取る新しい飼い主を見つけます。これにより、犬が安全に引き取られることが保証されます。

自治体でおこなわれている譲渡会や事前講習会など、譲渡に関する情報を掲載しています。あわせて、各自治体のリンク先を掲載していますので、詳しくはそちらをご覧ください。

参考:環境省_収容動物検索情報サイト

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保護犬 とは

動物愛護相談センターやボランティア団体にいる犬は、保護犬と呼ばれます。飼い主不明で保護されたり、やむを得ない事情により飼い主から引き取られたりした動物たちです。

参考:動物愛護相談センター 東京都ワンニャンとうきょう

保護される動物は、大人の犬がほとんどです。犬は、子犬のうちに飼い始めないと、飼い主になつかないということはなく、成犬であっても十分なつきます。また、成犬は、子犬と異なり、成長して体格や性格がある程度分かっているという利点もあります。

例えば、東京都動物愛護相談センターから譲渡を受けるには、以下のような条件があります。

  • 都内にお住まいの20歳以上60歳以下の方
  • 現在、犬や猫を飼育していない
  • 家族の中に動物に対するアレルギーを持つ者がいない
  • 家族全員が動物を飼うことに同意している
  • 最期まで責任を持って飼い続けることができる
  • 経済的、時間的に余裕がある
  • 動物に不妊去勢手術による繁殖制限措置を確実に実施できる
  • 集合住宅・賃貸住宅の場合は、規約等で動物の飼育が許されている

ボランティア団体でも、動物の保護や譲渡を行っています。

団体では、行政機関や飼い主から引き取ったり、飼い主不明となった犬や猫を保護したりしています。特定の犬種を専門に活動する団体、訓練士さんが始めた団体、動物病院を持っている団体等、それぞれが個性豊かに活動を行っています。

なお、東京都では、都の譲渡事業に協力する団体を譲渡対象団体として登録しています。2024年11月現在では47件です。

参考:東京都に登録された譲渡対象団体一覧

保護犬 はどこから来るの

保護犬は、それぞれ何らかの理由を抱えながら次の飼い主を待ちわびています。東京では東京都動物愛護相談センターのような公的な保健所のような施設から、民間のボランティア団体まであります。持ち込むのは、個人の飼育者やブリーダーなどになります。

飼い主個人からの保護

一般家庭からの保護:

もともとはペットとして飼われていたものの、飼い主側の理由で保護されるケースです。飼えなくなってしまう理由は、飼い主の急病や急死などやむを得ない場合もあります。

経済的な問題:

思っていたより飼育費用がかかり困窮してしまった、犬猫が病気になって医療費を捻出しきれなくなったなどの理由が挙げられます。

時間的な問題によるもの:

飼い主の仕事が急に忙しくなったり、親の介護が必要になったりすることで、犬猫のお世話時間が確保できなくなり、飼育が難しくなるケースです。

身体的な問題によるもの:

飼い主が高齢になってお世話する体力がなくなった、もしくは病気になったことでペットのお世話に手が回らなくなるケースです。

住まいの問題によるもの:

引っ越し先でペットが飼える物件が見つからないという事態も考えられます。ペット不可の住まいでこっそり飼ったとしても、鳴き声などが原因で発覚してしまうことも少なくありません。

ライフステージの変化によるもの:

独身時代からペットを飼っていたが結婚相手に受け入れてもらえなかった、生まれてきた子どもとペットの相性が悪かったなどの理由により、犬猫を手放すケースもあります。

ブリーダーやペットショップからの保護

一般家庭以外では、犬猫の繁殖や販売を行うブリーダーやペットショップ経由で保護されるパターンがあります。プロとして動物を扱っているところから保護施設に持ち込まれるのは、非常に無責任で残念としか言いようがない事実です。

この背景には、2013年の動物愛護管理法の改正が影響しています。改正前までは保健所で引き取ってもらえていましたが、改正後は保健所で引き取りを拒否できるようになりました。

資金的な問題:

売れ残りになってしまった犬猫が保護されるケースですが、子犬はブリーダーなどに引き取られることが多いようです。また、繁殖引退犬はブリーダーのもとで飼い続けられるのが理想ですが、事情があって飼えなくなり、保護犬になってしまうことがあります。

管理の問題:

個人のブリーダーなどにありがちな、計画の甘さから、さばききれないほど繁殖してしまった、売れ残りが増えてしまったという事情で動物が保護されるケースです。自分のもとで管理ができなくなり、お世話をするのも、誰かに譲り渡すこともできず、保護施設を頼るという悲惨な構図が見られます。

地域からの保護:

所有者不明として保護される「野良犬」がいます。さすがに街中では見なくなりましたが、郊外の森林などに廃棄するケースが多く、環境が良くて自然に繁殖すると数が増えるので一斉に保護されることが多いようです。

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第二種動物取扱業 とは

2013年の動物愛護管理法改正により、これら非営利で動物を取り扱う団体等に対しても飼育実態を把握し、行政が適切な指示を行えるよう届け出を行うことが定められ、新たに第二種動物取扱業が誕生しました。

それまでは「動物取扱業者」は一つしかなく、ペットショップやトリミングサロンのように営利目的で動物を取り扱う現在の第一種動物取扱事業者を指し、第二種に当たる公営の無料動物園や動物愛護団体のシェルターは対象外でした。

従来の動物取扱業者は「第一種動物取扱業者(営利)」、非営利で動物を取り扱う者は「第二種動物取扱業者(非営利)」と区分されました。第一種動物取扱業者は事前に自治体の審査を経て登録を受けなければ業を行うことができませんが(登録制)、第二種動物取扱業者に対しては特段の審査は行われず、現在行っている施設や取扱数を自治体に届け出れば足ります(届出制)。警察署や保健所、動物愛護センターなど一部の公的機関は届出対象外です。

ただし、個人で動物保護をする方の妨げとならないよう、取扱い数が少なければ届出を要しないことや、動物取扱責任者を選任する必要がないこと、更新の必要がないことなど、第一種動物取扱業者と比べて緩やかな規制となっています。

参考記事:第二種 動物取扱業 登録申請は行政書士へ

第二種動物取扱業者 で求められる非営利

第二種動物取扱業に該当するかどうかの判断基準は、無償かどうかではなく「非営利」かどうかです。

無償(無料)とは金品のような利益となるものを受け取らないことです。しかし、どこからを営利とみなすかは難しい所があります。

遊園地の無料動物ふれあいコーナーのように、そのコーナー自体は無料でも、そのコーナーがあることによって結果として遊園地の収益が上がるような場合は、動物ふれあいコーナーに営利性があるとみなされます。その場で体験料も兼ねて動物や魚のえさを飼う場合も微妙です。

つまり、無料でも営利性があって別の主体に収益が発生している場合がが存在します。この例の無料動物ふれあいコーナーは営利性がある(非営利ではない)とみなされ、第一種動物取扱業として展示業の登録が必要になることもあります。

一方で、実費として少額の金銭等を受け取る場合は、社会通念上、相手方が費用負担を行うのに合理性があり(例えば相手の求めに応じたことにより発生した交通費等)、受け取る金額が領収証や明細書で確認できる金額を超えないのであれば、いわゆる実費弁済として「金銭の授受があっても営利性はない」とみなされます。

保健所であれば犬の譲渡料は無料で、「登録料」などの事務手数料だけがかかることがほとんどです。一般的に保健所からの引き取り費用は10,000円以内で済むと考えられます。引き取り費用の他にも不妊・去勢手術を行う必要がありますが、自治体によっては補助金が出ることもあります。

譲渡会でボランティアからの引き取りであっても、実費がかかるのは当然です。また、組織の運営のための援助を寄付と称して求めたとしても、強要にならない限りは違反とは言えないでしょう。一部で寄付の要求が高額過ぎるとの批判もあります。

第二種動物取扱業 の種類

第二種動物取扱業として届け出る必要がある業種は次のとおりです。

譲渡し(ゆずりわたし)が、譲渡会のために必要な業種になります。譲渡のためのシェルターを有する動物愛護団体で、一定規模を取り扱う場合となります。

業種内容
譲渡し(ゆずりわたし)保護したり引き取ったりした動物を第三者に譲る業譲渡のためのシェルターを有する動物愛護団体
保管動物を預かり一定期間飼養した後、飼い主に返還する業一時保護のためのシェルターを有する動物愛護団体
貸出し動物を貸し出す業盲導犬を無償貸与する団体
訓練動物の預かりおよび訓練を行う業ボランティアの預かり訓練
展示動物を見せたりふれ合わせたりする業無料の動物園、ボランティアのふれあい体験やアニマルセラピーを行う団体

第二種動物取扱業 の届け出基準

非営利の活動であっても、飼養施設を有し、一定頭数以上の動物の取扱い(譲渡・展示・訓練等)をする者は、あらかじめ、飼養施設の所在する都道府県等への届出が必要になります。

 第二種動物取扱業者は、飼養する動物の適正な飼養を確保するため、飼養施設に必要な設備を設けると共に、逸走の防止、清潔な飼養環境の確保、騒音等の防止等が義務付けられ、不適切な場合は、都道府県等からの勧告・命令の対象になります。

なお、少頭数ごとに、個人の家庭で飼養を行っている場合については、届出の対象にはなりません。

 また「一定頭数以上」とは、馬・牛・ダチョウ等の大型の哺乳類又は鳥類及び特定動物については3頭以上、犬・猫・うさぎ等の中型の哺乳類・鳥類又は爬虫類については10頭以上、それ以外の動物については50頭以上飼養することを予定している場合が対象になります。

参考:第二種動物取扱業者の規制

第二種 譲渡し業 帳簿の備付け義務

令和2年6月1日から、第二種動物取扱業者のうち犬猫の譲渡しを業とする者に対して、帳簿の備付けが義務付けられました。

ペットを除く犬、猫の個体ごとに記載が求められます。保存期間は5年間です。

この項目を満たしていれば、様式は問いません。電磁的方法による保存も認められます。

また、施設訪問時、帳簿を確認することもあるようです。

記載事項

  1. 犬猫の品種等の名称
  2. 犬猫の生年月日(生年月日が不明な場合は、推定される生年月日)
  3. 犬猫の繁殖者の氏名(法人の場合は名称)及び登録番号(または所在地)※譲渡された犬猫で、繁殖を行った者が不明な場合は、この犬猫を譲渡した者の氏名(法人の場合は名称)及び所在地
  4. 犬猫を所有した日
  5. 犬猫を第二種動物取扱業者【ご自身】に譲渡した者の氏名(法人の場合は名称)及び所在地
  6. 犬猫を譲渡した日
  7. 犬猫を譲渡した相手方の氏名(法人の場合は名称)及び所在地
  8. 犬猫の譲渡しに際しての情報提供の実施状況(規則第10条の9第1号)
  9. 犬猫が死亡した日
  10. 犬猫の死亡の原因

立入検査・罰則など

必要に応じて都道府県等の動物愛護管理担当者が立入検査を行い、守るべき基準が守られていない場合や、動物の管理や施設が不適切と認められる場合などには、都道府県知事や政令指定都市の長が改善の勧告や命令を行います。

届出せずに業を行った場合や改善命令に従わなかった場合は、30万円以下の罰金に処せられます。

参考:第二種動物取扱業(譲渡し)のみなさまへ 東京都保健医療局

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保護犬 の 譲渡会 登録

譲渡会を切り口に保護犬を新しい飼い主に引き合わせる活動を説明し、それを支援する団体等の設立方法や、求められる登録手続きを紹介しました。

第二種動物取扱業は第一種と違い「許可」ではなく、「登録」ですので行政への手続きは簡単です。10年ほど前から始まった「登録」の制度で小規模であれば免除もされますが、10匹以上の犬などになると施設の概要等の登録が必要になりますので、手続きは行政書士にご依頼ください。

動物の新しい飼い主を探す機能は、譲渡でも販売でも同じであり、営利かどうかは必要な費用の額の差です。動物愛護ふれあいセンターのように税金で補われている場合を除けば、実費以外にも他の保護犬の飼育費用などで一定の寄付を要求するのも仕方ない面があると思います。飼い主は今後の飼育費用があるので無償であっても十分に援助になっていますが、譲渡をさらに進めていくにはどのような補助が必要なのか、費用を工面するならばドイツのように犬税を課すなど日本も検討すべきかもしれません。

第一種動物取扱業と第二種動物取扱業の違いは、2013年の動物愛護法改正時に、既存のボランティアベースの事業者は第二種として緩い規制もしくは無登録で、営利目的の第一種は許可制にして厳しくが実態では感じられます。実際には小規模の地元密着のボランティアが自宅などを用いて活動しており、事務や金銭の負担を強いるのは申し訳なく思えます。

第二種動物取扱業 登録申請は、都道府県、政令市の自治体にご自身で申請を持ち込むことも可能です。お忙しい場合には、行政書士が代行して書類の準備、登録申請のお手伝いをお任せください。

行政書士以外が報酬を受け取って、代わりに動物愛護法に基づく申請を行うと、行政書士法に違反することとなり、1年以下の懲役または100万円以下の罰金に処せられる可能性がありますので、ご注意ください。

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参考記事:会社設立 ~ 株式会社設立

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