「小林製薬」の「紅麹」の成分を含む健康食品を摂取した人が腎臓の病気などを発症した問題で、厚生労働省は公表されていた1人に加えて、2人目の死亡事例が報告されたと発表しました。サプリメント会社が多く広告CMを出しているようなワイドショーなどでも連日取り上げられ、多くの食品にも原料の一部として使用されているのが分かり、全国に波紋を引き起こしています。
小林製薬は対象となる製品の使用を中止するよう呼びかけています。この会社が自主回収を進めている健康食品に使用しているものと同じ紅麹原料が、子会社を通じて取引先に販売され、食品などに使われたことが分かっていて、食品メーカーなどが自主回収する動きが相次ぎました。
参考ニュース:小林製薬「紅麹」 厚生労働省が2人目の死亡発表 入院は106人に、NHK2024年3月27日
機能性表示食品の仕組みや、トクホで有名な特定保健用食品の認可手続きの違いにも触れつつ、薬機法とも関係する今回の健康被害を取り上げます。
トクホと機能性表示食品
機能性表示食品とは何でしょうか?
小林製薬は、この紅麹の成分を含む3種類の機能性表示食品の自主回収を進めています。似たような代表的な肩書きに、特定保健用食品(トクホ)がありますので、その成り立ちと機能性表示食品の誕生背景を探ってみましょう。
特定保健用食品(トクホ)
トクホは、1991年開始、科学的な根拠に基づいて、健康の維持および増進に役立つ効果が認められ、機能性の表示(例:「コレステロールの吸収を抑える」など)が許可されている食品です。国(消費者庁)が表示されている効果や安全性を審査し、許可を与えます。商品には「トクホ」マークが表示されます。
しかし、 トクホ申請には大規模な試験が必要で、研究コストが高いため、大手メーカーでないと取得が難しいことがあります。このために、もう少し承認への手間と費用の小さい機能性の表示が求められていました。
機能性表示食品
機能性表示食品は、2015年開始、事業者の責任において、一定の科学的根拠に基づいた機能性を表示した食品です。例えば、「おなかの調子を整えます」などの表示ができます。事業者は安全性と機能性の根拠を消費者庁に届け出し、申請が認可された情報は消費者庁のウェブサイトで公開されます。
トクホのように審査に莫大な費用がかからず、商品の開発から販売までのスピード面では事業者に優位性があり、中小企業にも道が開かれた制度です。
効果や安全性を国が審査する「特定保健用食品」や、すでに科学的な根拠が確認された栄養成分を一定の基準量含めば国が定めた表現によって機能性を表示できる「栄養機能食品」とは異なる制度となってます。
トクホは消費者庁のお墨付きがあり、今回のような機能性表示食品はない、ということですが、含有成分は認証されたとしても、その機能までもが容易に分かるものでしょうか? ましてや、持病等も抱えがちな高齢者が少量を長期にわたり継続的に接種することによる障害は簡単には安全とは言い切れないでしょう。
原料の紅麹
紅麴は、蒸した米に紅麴菌を混ぜ入れ、発酵させたもの。発酵で赤い色素が生まれる。伝統的に、中国の酒や沖縄の「豆腐よう」などを作るのに使われてきたとされます。日本人は、味噌や醤油にしても発酵食品が好きで、それが長寿の源とも言われます。普段は目にしない紅麹だけに、さらに赤くて強力で健康によさそうと思っても不思議ではありません。
牛肉の熟成肉ステーキが流行ったことがありましたが、熟成も発酵の過程ですので似ています。ブームが起きて、どの店でも始めるようになり、肉の扱いが不慣れであったのか腐っている肉を調理して提供した客が食中毒を起こしました。本来の熟成は低温でじっくり時間をかけて行うなど、かなり熟練の技術で管理しないと放置してただ腐っただけになるように、発酵も適切に行わないと意図しない物質が発生したり、もしくは腐ったりすることがあるかもしれません。食品は扱いが難しいものです。
日本の健康食品ブーム
「小林製薬」の「紅麹」の成分を含む健康食品を摂取した人が腎臓の病気などを発症した問題で、厚生労働省は、2024年3月26日に行った会社への聞き取り調査の結果、これまで公表されていた1人に加えて、2人目の死亡事例が報告されたと発表しました。
「通常、微生物を扱う企業では、雑菌が外から入らないように厳重に防護しているが、今回の製品が作られた工場で長年、何事もなかったのに、なぜ突然、あるロットだけで有害物質が混入してしまったのか、想定しない事故なのか、人為的なミスなのか、その経緯の検証が必要だ」との証言があります。紅麹自体の問題だったのか、それとも製造上のミスだったのか、検証が待たれます。
そして、「紅麹は古くから食品の着色料として使われていて、その色素自体には危険性はない。問題は今回のサプリメントなのでもし摂取した人で尿が出にくくなったり、体がむくんだりするような症状があれば、すぐに医療機関を受診してほしい」と会社側では話しています。
およそ30年前にトクホが誕生した時から、健康食品に国がその効能に認証を与えてもいいのか、との疑問が医療業界からはあったそうです。医薬品ほどではなくとも、医薬部外品程度、もしくはそれ以下の機能に行政がお墨付きを与えることになるから、医療業界として看過できなかったのも頷けます。ただし、当時はここまで市場に普及するとの想定が無かったのか、宮中御用達のような公的なお墨付きを国民が欲するとは思わなかったのか、事業者の商魂たくましく、効果があるとされる成分を混ぜるだけで「キリン メッツ コーラ」のようなコーラにまでトクホ商品まで氾濫しています。
トクホは保健用食品であり、審査が厳しいので効果はともかく成分に微妙な原料は使いにくいと思われます。今回の紅麹も発酵させるためには品質のばらつきや予想外の物質の精製などのリスクもあるのでしょう。機能性食品はその点で自社の工場管理に信頼があり、訴えることができる効能が高ければ製品化する意欲がわきます。納豆のような発酵食品が好きな国民性ですから、 紅麹サプリ も人気がでそうです。
手作り化粧品は大丈夫? トクホ申請 も頼りになるのは 行政書士
薬機法申請 も頼りになるのは 行政書士
報道が過剰に思える部分がありますが、紅麹の成分の特定やサプリ製品の腎疾患等との関連性の有無の確定には至っていないと考えられます。しかしながら、天然成分とはいえ加工されたものを、特定の成分として長期にわたり摂取するのは危険があるとの教訓も踏まえつつ、亡くなった方のご冥福と、健康被害にあわれた方々の回復をお祈りしております。
今回は機能性表示食品として消費者庁が担当していますが、厚生労働省の薬機法の規制にしても、こうした意図せざる影響で健康被害を防止することが主な目的です。薬用の化粧品などでも似たような被害が発生する危険がありますので、商業的に販売等を行う場合には薬機法などの内容をしっかりと理解し、必要あれば製品に含まれる詳細な成分を分析し、製造販売業や製造業の許可を取ることで何かの事件があっても行政の監督下であったと言えるような体制づくりが必要です。
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参考記事:会社設立 ~ 株式会社設立