すべての人に社会的に平等な機会を提供し、障がいを抱える人たちが自立して生活するための支援事業である障害福祉サービス。 居宅介護支援事業 などの障害福祉サービスを開業する際はもちろん、行政に申請して指定を受ける必要があります。
申請には各種書類を整え、事前相談や書類審査を経て指定を受けることになります。
これらの煩雑な作業は行政書士に依頼するのがオススメです。
この記事では、障害福祉サービスの中でも「居宅介護支援事業」に焦点を当て、事業開始の流れを解説していきます。
居宅介護支援事業 とは?
居宅介護支援事業 とは
居宅において、入浴、排せつ及び食事等の介護、調理、洗濯及び掃除等の家事並びに生活等に関する相談及び助言その他の生活全般にわたる援助を行う事業です。
居宅介護支援事業 の対象者
障害支援区分が区分1以上である者
ただし、通院等介助(身体介護を伴う場合)を算定する場合にあっては、次のいずれにも該当する支援の度合であること
(1) 障害支援区分が区分2以上に該当していること
(2) 障害支援区分の認定調査項目のうち、次に掲げる状態のいずれか一つ以上に認定されていること
・「歩行」 「全面的な支援が必要」
・「移乗」 「見守り等の支援が必要」、「部分的な支援が必要」又は「全面的な支援が必要」
・「移動」 「見守り等の支援が必要」、「部分的な支援が必要」又は「全面的な支援が必要」
・「排尿」 「部分的な支援が必要」又は「全面的な支援が必要」
・「排便」 「部分的な支援が必要」又は「全面的な支援が必要」
居宅介護支援事業 事業所の指定申請
居宅介護支援事業 事業所の指定申請の流れ
障害福祉サービスは多岐にわたり、事業の内容によって申請の要件や指定までの流れも違います。
ここからは、居宅介護支援事業所の指定申請の流れを紹介していきましょう。
平成30年度より、居宅介護支援事業所の事業者指定権限が都道府県から、市区町村に移行しました。
指定権限を持つ市区町村によっても要件は違います。
以下に東京都大田区の事業者指定の流れを一例としてご紹介します。
実施事項 | 時期 | |
① | 事前相談 | 指定希望日の3か月前の月末まで (例:指定希望日が6月1日の場合、事前相談は3月31日まで) |
② | 指定申請書類の提出 | 指定希望日の前々月末 (例:指定希望日が6月1日の場合、指定申請書類は4月30日まで) |
③ | 書類審査 | 指定希望日の前月 |
④ | 事業者指定通知書の送付 | 指定希望日の前月末 |
⑤ | 事業所の開設 | 原則1日の指定 |
参考:大田区ホームページ
申請先によって、手順は若干違ってきますが、いずれにしても、申請までの綿密なスケジューリングも必要です。不備なく書類を揃えるのにも手間がかかるでしょう。このような手続きは、行政書士が代行いたします。
居宅介護支援事業 申請必要書類
居宅介護支援事業 事業所の指定申請の必要書類を確認していきます。
- 指定居宅介護支援事業者指定申請書
- 居宅介護支援事業者の指定に係る記載事項
- 登記簿謄本
- 従業者の勤務体制及び勤務形態一覧表
- 就業規則の写し、組織体制図、雇用契約書の写し又は誓約文
- 介護支援専門員証の写し
- 介護支援専門員一覧
- 事業所の平面図
- 外観及び内部の様子がわかる写真
- 運営規程(料金表含む)
- 利用者からの苦情を処理するために講ずる措置の概要
- 関係区市町村並びに他の保健医療・福祉サービスの提供主体との連携の内容
- 誓約書
- 介護給付費算定に係る体制等に関する届出書
- 社会保険及び労働保険の加入状況に係る確認票
居宅介護支援事業 新規指定申請の際はここに注意!
指定事業者は人員、設備及び運営基準に従い、居宅介護支援の提供をしなければなりません。これらの基準を十分に基準を理解したうえで、指定申請及び開設後の事業運営を行うことが必要です。
また、介護保険の各事業を申請するには、法人格を有する必要があります。
参考記事:会社設立 いろいろな種類の中からまずは選択してください
会社設立費用についてのお見積もりはチャットでお示しします。
指定申請書の受付は、指定の確約ではありません。指定申請書の受付後、指定要件の確認(審査)を行った後、指定通知書が交付されます。審査の結果、申請書類の受付後であっても申請書類の記入内容の補正等が必要な場合もあります。必要な補正がなされない場合や、指定要件を満たしていない場合は、指定されないこともあります。また、必要な場合には指定通知書の交付前に現地調査が行われる場合もあります。
居宅介護支援事業 指定後の手続
居宅介護支援事業所の指定を受け、事業を開始した後にも、さまざまな届出や手続きが発生します。
以下に手続きの例をご紹介します。
変更届の提出
指定を受けた内容に変更が生じたときは、変更届出書の提出が必要です。
加算届の提出
居宅介護支援事業所を運営するうえで、加算届はとても重要なポイントです。各種加算を算定するためには、加算届の提出が必要です。
居宅介護支援事業 における特定事業所集中減算に係る届出書の作成
居宅介護支援事業所は、毎年度2回、判定期間ごとに居宅介護計画に位置付けたサービスについて、紹介率が最高である法人の名称等について記載した「居宅介護支援における特定事業所集中減算に係る届出書」を作成する必要があります。
廃止・休止・再開の届出
事業所を廃止・休止する場合は廃止又は休止日の1ヵ月前まで、再開した場合は再開後10日以内に届け出る必要があります。
指定更新
6年の有効期間満了前に更新手続きを完了する必要があります。完了しない場合、指定の効力を失ってしまいます。
このように居宅介護支援事業を開始した後も、さまざまな手続きが発生します。
日々の業務の中で、書類の作成や加算の算定に手が回らないこともあるでしょう。これらの手続きは、関連法律や行政の情報に精通した専門家である行政書士に任せるのがオススメです。
居宅介護支援事業 の4つの社会的意義
その1 地域への貢献
居宅介護支援事業所は、障がい者の在宅での生活を支援する重要な役割を果たします。地域のニーズに応えることで、社会へ貢献することもできるでしょう。地域で暮らす人たちの在宅生活を支えることで、生活の質を向上させることができます。
その2 多様化する社会を支える
近年、居宅介護支援の需要はますます高まっています。そのため、居宅介護支援事業所を運営することで、多様化する社会を支えながら、事業を発展させていくことができます。
その3人材育成の機会につながる
居宅介護支援事業所を運営するためには、専門スタッフや管理職などの専門的な人材が必要です。事業所の運営に携わるスタッフは、専門知識や技術を磨くことができるため、人材育成の機会としても有益です。
その4地域との連携が育まれる
居宅介護支援事業所は地域と密接に関わる事業です。地域の医療機関や福祉団体などと連携を深めることで、より効果的な支援が提供できるようになるでしょう。地域のネットワークを活用することで、利用者にとってより充実したサービスを提供することができます。
居宅介護支援事業所を始めることは、地域社会への貢献だけでなく、人材育成の機会、地域との連携強化など、多くのメリットがあります。地域のニーズに応えながら、事業の発展を図るためにも、居宅介護支援事業所の設立を検討する価値は大きいでしょう。
障害福祉サービス 全般について
前述した居宅介護以外にも、障害福祉サービスには様々なものがあります。ここからは、それぞれのサービスの内容と対象者について解説します。
重度訪問介護
重度の肢体不自由者又は重度の知的障害・精神障害により行動上著しい困難を有する人で、常に介護を必要とする方に、入浴、排せつ、食事の介護、家事援助、コミュニケーション支援、外出時の移動介護などを行います。
同行援護
視覚障害により、移動に著しい困難を有する人に、移動に必要な情報の提供(代筆・代読を含む)、移動の援護等の外出支援を行います。
行動援護
行動する際に生じる危険を回避するために必要な援護、外出時の介護を行います。
重度障害者等包括支援
介護の必要性がとても高い方に、居宅介護等複数のサービスを包括的に行います。
重度の障害者(児)に対し、居宅介護、重度訪問介護、同行援護、行動援護、生活介護、短期入所、自立訓練、就労移行支援、就労継続支援及び共同生活援助を包括的に提供します。
短期入所(ショートステイ)
介護者が病気の場合などに、短期間、夜間も含め施設等で入浴、排せつ、食事の介護などを行います。
居宅においてその介護を行う者の疾病その他の理由により、障害者支援施設、児童福祉施設その他の施設等への短期間の入所を必要とする障害者(児)につき、短期間の入所をさせ、入浴、排せつ及び食事その他の必要な保護を行います。
療養介護
医療と常時介護を必要とする人に、医療機関への入院とあわせて、機能訓練や介護、日常生活の世話などを行います。
主として昼間において、病院において行われる機能訓練、療養上の管理、看護、医学的管理の下における介護及び日常生活上の世話を行います。また、療養介護のうち医療に係るものを療養介護医療として提供します。
生活介護
常時介護を必要とする人に、入浴、排せつ、食事の介護などを行うとともに、軽作業などの生活活動や、創作活動の機会を提供します。
障害者支援施設その他の施設において、主として昼間において、入浴、排せつ及び食事等の介護、調理、洗濯及び掃除等の家事並びに生活等に関する相談及び助言その他の必要な日常生活上の支援、創作的活動又は生産活動の機会の提供、その他の身体機能又は生活能力の向上のために必要な援助を行います。
施設入所支援
夜間や休日、入浴、排せつなどの介護や、日常生活上の支援を行います。
主として夜間において、入浴、排せつ及び食事等の介護、生活等に関する相談及び助言、その他の必要な日常生活上の支援を行います。
訓練等給付
訓練等給付とは、障害者が地域で生活を行うために提供される訓練的支援で、機能訓練や生活訓練、就労に関する支援などがあります。
自立訓練(生活訓練)
知的障害者・精神障害者に対し、日常生活に必要な訓練、相談及び助言等を行い、生活能力の維持・向上を図ります。
就労移行支援
一般企業等への就労に向けて、就労に必要な知識・能力の向上のために必要な訓練などを行います。
生産活動、職場体験その他の活動の機会の提供その他の就労に必要な知識及び能力の向上のために必要な訓練、求職活動に関する支援、その適性に応じた職場の開拓、就職後における職場への定着のために必要な相談、その他の必要な支援を行います。
就労継続支援A型
一般企業等への就労が困難な人に、雇用契約に基づく就労の機会を提供し、知識や能力の向上のために必要な訓練などを行います。
生産活動その他の活動の機会の提供、その他の就労に必要な知識及び能力の向上のために必要な訓練、その他の必要な支援を行います。
就労継続支援B型
一般企業等への就労が困難な人に、就労の機会を提供し、知識や能力の向上のために必要な訓練などを行います。
通常の事業所に雇用されることが困難な障害者のうち、通常の事業所に雇用されていた障害者であって、その年齢、心身の状態その他の事情により、引き続き当該事業所に雇用されることが困難となった者、就労移行支援によっても通常の事業所に雇用されるに至らなかった者、その他の通常の事業所に雇用されることが困難な者につき、生産活動その他の活動の機会の提供、その他の就労に必要な知識及び能力の向上のために必要な訓練、その他の必要な支援を行います。
就労定着支援
一般就労に移行した人に、就労に伴う生活面の課題に対応するための支援を行います。
生活介護、自立訓練、就労移行支援又は就労継続支援を利用して、通常の事業所に新たに雇用された障害者の就労の継続を図るため、企業、障害福祉サービス事業者、医療機関等との連絡調整を行うとともに、雇用に伴い生じる日常生活又は社会生活を営む上での各般の問題に関する相談、指導及び助言等の必要な支援を行います。
自立生活援助
一人暮らしに必要な理解力・生活力等を補うため、定期的な居宅訪問や随時の対応により日常生活における課題を把握し、必要な支援を行います。
居宅において単身等で生活する障害者につき、定期的な巡回訪問又は随時通報を受けて行う訪問、相談対応等により、居宅における自立した日常生活を営む上での各般の問題を把握し、必要な情報の提供及び助言並びに相談、関係機関との連絡調整等の自立した日常生活を営むために必要な援助を行います。
共同生活援助(グループホーム)
夜間や休日、共同生活を行う住居で、相談、入浴、排せつ又は食事の介護その他生活上の援助を行います。
地域移行支援
入所・入院中の障害者が退所・退院するための支援を行います。
障害者支援施設等に入所している者、精神科病院に入院している精神障害者、保護施設・矯正施設等に入所している障害者につき、住居の確保その他の地域における生活に移行するための活動に関する相談その他の必要な支援を行います。
地域定着支援
地域で居宅において単身等で生活する方への支援を行います。
居宅において単身等で生活する障害者につき、常時の連絡体制を確保し、障害の特性に起因して生じた緊急の事態等に相談その他必要な支援を行います。
障害福祉サービス開始の手続きを行政書士に依頼する5つのメリット
ここまででご紹介したような障害福祉サービスを開始する際は、様々な手続きが必要です。要件の確認や申請書類の作成など、煩雑な手続きをスムーズに進め、最適なサービスを受けるために、行政書士に依頼することをオススメします。以下では、そのメリットについて詳しくご紹介します。
メリット1. 専門知識と経験
行政書士は法律や行政手続きに関する専門知識を有しています。障害福祉サービスの事業開始の手続きも複雑であり、正確な知識が求められます。行政書士に依頼することで、適切な手続きを最適な方法で進めることができます。
メリット2. 手続きの効率化
行政書士は手続きのプロフェッショナルであり、効率的かつ迅速に手続きを進めることが可能です。書類の作成や提出など、煩雑な作業を行政書士に任せることで、事業主様は他の業務に専念することができ、より効果的に時間を使うことができます。
メリット3. 適切なサービスの選定
行政書士はクライアントのニーズを理解し、最適な障害福祉サービスを選定するサポートをいたします。制度やサービスが日々変わる中で、行政書士は最新の情報を把握しています。
メリット4. 要件確認や書類作成のサポート
障害福祉サービスには、さまざまな要件があります。行政書士はさまざまな要件の確認や申請省類の作成に対応できる経験とスキルを有しており、必要なアドバイスを行います。
メリット5. 無駄な負担の軽減
事業を開始する際、事業主様は申請業務のほかにも多くの業務を抱えていることでしょう。行政書士に手続きを依頼することで、余計なストレスや負担を軽減できます。
まとめ
障害福祉サービスの手続きを行政書士に依頼することは、専門知識や経験を活かし、利用者にとって最適なサポートを提供することにもつながります。障害福祉サービスの開業をお考えの際は、まずは見積もりから!
会社設立 も合わせて 行政書士 へご依頼ください
障害福祉サービスの手続きだけでなく、会社設立も行政書士がお手伝いいたします。
会社設立費用についても、申請ALL.comで、お見積もりを無料でお示しします。