特別国際種事業者登録 古物商として象牙製品の販売を行う場合の義務

特別国際種事業者登録 古物商
特別国際種事業者登録

古物商であって象牙製品を取り扱う場合は、特別な登録が必要です。すなわち 特別国際種事業者登録 が必要です。特別国際種事業者として象牙製品の販売を行う際の登録プロセスについて、詳細に解説します。

特別国際種事業者として登録することは、国際的な取引規制に準拠し、責任ある事業運営を行う上で欠かせません。この記事を通じて、特別国際種事業者としての登録要件、必要書類、申請プロセスなどを明確にし、皆様の事業運営にお役立ていただければと思います。

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参考記事:古物商許可

特別国際種事業者 とは

特別国際種事業者とは、絶滅の危機に瀕している野生動植物の種を取り扱う事業者のことを指します。この定義は、特に象牙のような貴重な素材を扱う事業者に適用され、国際的な取引を行う際には、厳格な規制と基準に従う必要があります。これらの規制は、絶滅の危機にある種の保護を目的とし、不法な取引を防止するために国際社会によって設けられています。

特別国際種事業者として活動するためには、国際的な取引規制に従うことが求められます。この規制の主要な枠組みとしては、絶滅のおそれのある野生動植物の国際取引に関する条約(ワシントン条約)があります。ワシントン条約は、絶滅の危機に瀕する野生動植物の保護と持続可能な利用を目的としており、加盟国は条約で定められた規制に従う義務があります。

日本においても、特別国際種事業者は国内法に基づく登録が必要です。この登録は、事業者が適切な管理体制を整えており、国際的な基準に従った取引を行っていることを保証するものです。登録を受けるには、事業者は環境省の定める一定の要件を満たす必要があり、その一環として、取引される動植物の種類、数量、取引の目的などの詳細な情報を提供する必要があります。

特別国際種事業者としての登録は、一般財団法人自然環境研究センターが窓口となります。

また、特別国際種事業者として登録することは、環境保全に対する意識の高さを示すことにもつながります。これは、環境に配慮したビジネスモデルを推進する現代の市場において、非常に重要な要素です。顧客は、責任ある方法で取引された商品を求めており、事業者はこのニーズに応えることで、自社のブランド価値を高めることができます。

最後に、特別国際種事業者としての登録は、持続可能な発展を目指す国際社会の一員としての役割を果たすことを意味します。事業者は、自らのビジネス活動が国際的な基準と環境保護の要請に沿っていることを示し、社会全体の持続可能な発展に貢献していることを示すことができます。

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特別国際種事業者登録 申請プロセス

絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律に基づいて、特別国際種事業者として登録を申請することになります。

取引の態様等を勘案して政令で定める特定器官等であってその形態、大きさその他の事項に関し特定器官等の種別に応じて政令で定める要件に該当するものの譲渡し又は引渡しの業務を伴う事業(「特定国際種事業」)を行おうとする者は、あらかじめ、次に掲げる事項を、環境大臣及び特定器官等の種別に応じて政令で定める大臣に届け出なければならない。
一 氏名又は名称及び住所並びに法人にあっては、その代表者の氏名
二 特定器官等の譲渡し又は引渡しの業務を行うための施設の名称及び所在地
三 譲渡し又は引渡しの業務の対象とする特定器官等の種別
四 前三号に掲げるもののほか、環境大臣及び特定国際種関係大臣の発する命令で定める事項

絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律 第33条の2
特別国際種事業者登録 フロー
特別国際種事業者登録 フロー
  1. 事前準備: 申請プロセスの第一歩は、必要書類の準備と事業計画の明確化です。
    申請者が、法人であるか、個人であるか、
    象牙を扱う施設が、一つか、複数か、
    象牙は一切所有していない、象牙製品等はあるが全形象牙はないか、象牙製品等はないが全形象牙はあるか、象牙製品等および全形象牙が両方あるか。
    によって、対応が変わります。
    ※全形を保持した象牙(全形象牙)の譲渡し等を行う場合は、個体等登録制度による象牙それ自体の「登録」が必要です。
  2. 書類の作成: 特別国際種事業者登録申請書には、事業者の基本情報、事業所の情報、役員の情報などを記載します。
  3. 申請書の提出: 完成した申請書は、自然環境研究センターへ郵送で提出します。
  4. 審査プロセス: 申請書類が提出された後、自然環境研究センターにて審査が行われます。
  5. 登録免許税・登録手数料の支払い: 登録に際しては、登録免許税90,000円と登録手数料33,500円がかかります。支払い方法は、書類審査後、郵送で連絡されます。概ね1か月以内に金融機関で支払います。支払証明として、登録免許税と登録手数料の領収書のコピーを提出しないと、支払いが完了していても登録できません。
  6. 申請の承認または拒否: 入金が確認できたところで登録通知書が郵送されます。登録通知書が届くと登録完了となり、正式に取引を開始できます。

特別国際種事業者登録 後の義務

特別国際種事業者として登録を完了した後、事業者は一定の義務と責任を負います。これらは、絶滅の危機に瀕している野生動植物の保護と持続可能な取引の確保を目的としています。以下に、主要な義務と責任を概説します。

特定国際種事業を行う者(「特定国際種事業者」)は、その特定国際種事業に関し特定器官等の譲受け又は引取りをするときは、その特定器官等の譲渡人又は引渡人の氏名又は名称及び住所並びにこれらの者が法人である場合にはその代表者の氏名を確認するとともに、その特定器官等に第三十三条の二十三第二項の管理票が付されていない場合にあっては、その譲渡人又は引渡人からその特定器官等の入手先を聴取しなければならない。
2 特定国際種事業者は、環境大臣及び特定国際種関係大臣の発する命令で定めるところにより、前項の規定により確認し、又は聴取した事項その他特定器官等の譲渡し等に関する事項を書類に記載し、及びこれを保存しなければならない。

絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律 第33条の3

  1. 特別国際種事業を行おうとする者は、あらかじめ一般財団法人自然環境研究センターの登録を受けなければなりません。
    特別国際種事業者に関する登録番号等の情報は、一般財団法人自然環境研究センターのウェブページで公表されます。
  2. 特別国際種事業者は、象牙製品等の取引を行う都度、取引内容を記録し、これを5年間保存しなければなりません。
  3. 特別国際種事業者は、特別国際種事業に関して象牙製品等の陳列又は広告をするときは、その目的、場所、形態は問わず、登録番号等を公衆の見やすいように表示しなければなりません。
  4. 特別国際種事業者は、2018年6月1日以降に象牙製品等の分割等により、重量が1kg以上であり、かつ、最大寸法が20cm以上である象牙製品等を新たに得た場合は、管理票を作成しなければなりません。また、当該象牙製品等を譲渡し又は引渡しをする場合は、当該管理票とともに行い、譲渡し又は引渡しを行った特別国際種事業者は当該管理票の写しを、当該象牙製品等を譲渡し又は引渡しをした日から5年間保存しなければなりません。
  5. 特別国際種事業者は、環境大臣及び経済産業大臣の求めに応じて取引記録を提出する必要があります。報告徴収は、定期的なものの他、必要に応じて行う可能性があります。環境省及び経済産業省が、施設への立ち入りや書類等の検査を行う場合があります。
  6. 5年ごとに登録の更新が必要です。登録更新手数料32,500円がかかります。更新申請をしないまま登録満了日を過ぎると、登録は自動失効します。登録事項の変更又は廃止の届出特別国際種事業者は、登録の内容に変更があった場合又は事業を廃止した場合は、その日から起算して30日以内に一般財団法人自然環境研究センターに届け出なければなりません。事業内容や管理体制に変更があった場合は、速やかに環境省に報告し、登録情報の更新を行う必要があります。これには、事業所の移転や取引される種の変更などが含まれます。

これらの義務と責任は、特別国際種事業者としての社会的な責任と環境へのコミットメントを示すものです。事業者は、これらの義務を適切に履行することで、法的な要件を満たすとともに、社会的な信頼を維持し、持続可能なビジネスモデルを推進することができます。

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よくある質問とその回答(FAQ)

特別国際種事業者登録についてのよくある質問とその回答を一般財団法人自然環境研究センターのサイトから引用します。

  • 【取扱量と事業規模】
    Q. 製品の⼀部に象⽛が施された製品を扱っています。年間⽣産量はわずかで、商売自体も小規模です。事業者登録しないといけませんか?
    A. 取引量、事業規模にかかわらず、象⽛製品を取り扱う場合は事業者登録が必要です。
  • 【事前登録】
    Q. 現在、象⽛製品等を取り扱っていませんが、今後取り扱う可能性があります。取引が発⽣した時点で事業者登録をすればよいのでしょうか?
    A. 象⽛製品等を取り扱う前に、あらかじめ事業者登録が必要です。
  • 【マンモスの⽛】
    Q. 象⽛ではなくマンモスの⽛でできた製品のみを扱っています。この場合も、事業者登録が必要でしょうか?
    A. 象以外の⽛でできた製品の取扱いについては事業者登録の必要はありません。ただし、種の保存法により譲渡し等が規制されている⽣き物の⽛もありますのでご注意下さい。
  • 【⼀時預り】
    Q. 象⽛製品を⼀時的に預かってその修理を⾏う場合、事業者登録は必要ですか。またその作業は、象⽛以外の部分を修理するものですが、その場合でも事業者登録は必要ですか?
    A. 有償無償を問わず、象⽛製品を預かって作業を⾏う場合は事業者登録が必要です。⼀部だけ象⽛が使われている製品や、象⽛以外の部分を修理したりする場合であっても事業者登録が必要です。
  • 【受注販売】
    Q. 顧客から注文を受け、その都度外部の業者に商品製作を委託し、販売しています。そのため手元に象⽛の在庫はありませんが、事業者登録が必要ですか?
    A. 象⽛製品の在庫の有無にかかわらず、象⽛製品にかかわる取引を⾏っているのであれば、事業者登録が必要です。委託する業者、受託する業者ともに事業者登録が必要となります。
  • 【複数施設の登録】
    Q. 象⽛取引を⾏う施設が複数あります。施設ごとに登録申請をする必要がありますか?
    A. 事業者登録は、事業者単位の登録となります。そのため複数の施設を所有していても施設ごとに申請する必要はありません。ただし事業者の情報として、「特別特定器官等の譲渡し⼜は引渡しの業務を⾏うための施設」にまとめて登録する必要があります。
  • 【実店舗がない場合】
    Q. 自宅において象⽛製品を製造・卸売りしています。店名は特になく個人名で商売をしていますが、「特別特定器官等の譲渡し⼜は引渡しの業務を⾏うための施設」の施設の名称や所在地はどのように登録すればよいですか?
    A. 施設の名称は個人名称を、施設の所在地は自宅住所を記載してください。なお、インターネット上で店舗を構えている場合は、その名称と公表している所在地を登録してください。
  • 【催事の施設登録】
    Q. 主に⾻董市や展示会などの催事に出店して象⽛製品等を扱っているため、実店舗を持っていません。催事の名称や住所を「特別特定器官等の譲渡し⼜は引渡しの業務を⾏うための施設」として登録する必要がありますか?
    A. ⾻董市や催事のような事業者が所有する場所ではなく、かつ、短期間に限って営業するような場合、その場所は「特別特定器官等の譲渡し⼜は引渡しの業務を⾏うための施設」に該当しないため施設として登録することができません。施設の名称と住所は、在庫を保管する場所や作業する場所(ご自宅や事務所など)を登録してください。
  • 【屋号での事業者登録】
    Q. 事業者名称を個人名ではなく、屋号や雅号で登録することはできますか?
    A. 事業者名称は屋号や雅号、ビジネスネームなど、戸籍名以外の名前で登録することはできません。なお、施設名称を戸籍名以外や屋号で登録することは可能です。
  • 【変更届け出】
    Q. 事業者登録している内容(住所、代表者など)が変わりました。どうすればよいですか?
    A. 変更した日から30日以内に変更届を提出する必要があります。届出様式はホームページに掲載していますので、それを提出してください。
  • 【施設の追加・廃止】
    Q. 新たに象⽛を取り扱う店舗を開店しました。また、これまで登録している店舗のうち、⼀部の店舗が今後閉店する予定です。届出はどのようにしたらよいでしょうか?
    A. 施設の追加・廃止は変更届をもって届出する必要があります。変更した日から30日以内に変更届を提出してください。
  • 【代替り】
    Q. 個人事業主として事業者登録をしていた⽗が亡くなりました。後継者である⼦息等が事業者登録を引き継ぐことはできますか?
    A. 親⼦間であっても事業者登録を引継ぐことはできません。事業者登録は譲渡したり相続することができませんので、後継者となる⽅は、新たに事業者登録をする必要があります。
  • 【法人成り】
    Q. 個人事業主として事業者登録をしていましたが、このたび法人化しました。個人から法人への変更手続きは必要ですか?
    A. 個人事業主から法人成りした場合、それまでの事業者登録を引継ぐ(譲渡する)ことはできません。そのため変更手続きではなく、新たに法人として登録をする必要があります。なお、法人で事業者登録を始める代わりに個人での登録を終了する場合は、個人の登録については廃止届を提出願います。
  • 【個人成り】
    Q. 法人として事業者登録をしていましたが、このたび法人を解散します。象⽛の在庫が残っているので、個人事業者として引き続き象⽛製品を販売する予定です。法人から個人への変更手続きは必要ですか?
    A. 法人事業主から個人成りした場合、それまでの事業者登録を引継ぐ(譲渡する)ことはできません。そのため変更手続きではなく、新たに個人として登録をする必要があります。なお、法人の在庫を個人で引き継ぐ場合は、法人解散前に個人の登録を完了し、在庫を引き継いだのち、法人の登録についての廃止届を提出してください。
  • 【法人格変更】
    Q. 有限会社を経営しており、この度、法人格を株式会社に変更する予定ですが、変更手続きは必要ですか?
    A. 変更届の提出が必要です。変更があった日から30日以内に⾏う必要があります。
  • 【法人の事業の譲渡】
    Q. 法人として事業者登録を⾏っています。象⽛の取扱い事業を他法人に譲渡することを検討中ですが、事業者登録も併せて譲渡することが可能ですか?
    A. 事業者登録を譲渡することはできません。譲渡先が事業者登録法人ではない場合は、事業の譲渡前に事業者登録を⾏ってください。事業の譲渡後は、譲渡元法人は廃止届を提出してください。
  • 【法人の合併】
    Q. 法人として事業者登録を⾏っています。他法人と合併し、新しい法人の立ち上げを検討中ですが、事業者登録を新法人へ引継ぐことは可能ですか?
    A. 事業者登録を引継ぐことはできません。新設した法人で新たに事業者登録をする必要があります。法人の新設後は、合併前の法人は廃止届を提出してください。
  • 【任意団体】
    Q. 象⽛⼯芸品の製造者団体(任意団体)ですが、団体名で事業者登録ができますか?
    A. 任意団体での事業者登録はできません。個人もしくは法人での登録申請が必要となります。
  • 【無登録事業者との取引】
    Q. 事業者登録をしていない業者から象⽛製品等の取引依頼が来ました。どうすればよいでしょうか?
    A. 無登録事業者であることを承知の上で依頼を引き受けた場合、受けた側にも法律違反の責任が及ぶ可能性があります。
  • 【事業者の公表】
    Q. 個人事業主です。個人名や自宅の公表は控えてもらえますか?
    A. 特別国際種事業者の住所は、法律に基づく公表事項となり、非公表にすることはできません。
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特別国際種事業者登録 行政書士報酬の見積

ここまで、特別国際種事業者としての登録プロセスの重要な側面を詳細に解説しました。登録プロセスは複雑であり、多くのステップと要件が含まれていますが、これらを適切に理解し実行することが事業の成功に不可欠です。

特別国際種事業者としての登録は、法的義務だけでなく、社会的責任と環境保護へのコミットメントを示す重要なステップです。事業者は、登録を通じて、持続可能な取引の推進者としての役割を果たし、社会的な信頼を獲得することができます。

最後に、この分野は常に変化しており、法的要件や市場の動向に敏感である必要があります。適宜、専門家の助言を求め、最新の情報に基づいて行動することが推奨されます。

この記事が、特別国際種事業者としての登録プロセスをスムーズに進めるための有用なガイドとなり、事業者の皆様の成功に貢献することを願っています。

特別国際種事業者登録にあたっては、行政書士による代理申請も可能です。ぜひご依頼ください。

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