必要にかられて 古物商許可 を取得した後に、警察署とのやりとりが多くて辟易とされている方も多いのではないでしょうか。古物商許可取得後は、標識の掲示の義務のほか、盗品売買を防止するための様々な義務があります。
古物営業法にもとづいて、かんたんに 古物商許可取得後の義務 についてまとめます。ご参考になれば幸いです。
確認と申告(古物営業法第15条)
確認義務
古物商は、古物を買い受け、交換、売却、交換の委託を受けようとするとき、
相手方の真偽を確認するため、次のいずれかの確認が必要です。
- 相手方の住所・氏名・職業・年齢の確認をすること。身分証明書の提示も受けること。
- 相手方から住所・氏名・職業・年齢が記載された文書の交付を受けること。
- 相手方から住所・氏名・職業・年齢の電磁的方法による記録であって、これらの情報についてその者による電子署名が行われているものの提供を受けること。
電子署名とは、電子署名及び認証業務に関する法律(平成十二年法律第百二号)第二条第一項に規定する電子署名をいい、当該電子署名について同法第四条第一項又は第十五条第一項の認定を受けた者により同法第二条第二項に規定する証明がされるものに限ります。
次に掲げる場合は、確認が不要です。
- 対価の総額が1万円未満の取引をする場合(古物営業法施行規則第16条)
ただし、自動二輪車・原付(部品を含む。)、ゲームソフト、DVD、書籍については確認が必要です。 - 自己が売却した物品を当該売却の相手方から買い受ける場合
もしも、古物について不正品の疑いがあると認めるときは、直ちに、警察官にその旨を申告しなければなりません。
相手方とは、会社であっても、その担当者個人の確認を行ってください。
なお、相手が古物商許可を得ているか確認は不要です。特段、相手方の古物商許可証を確認することはありません。
古物商は、古物を買い受け、若しくは交換し、又は売却若しくは交換の委託を受けようとするときは、相手方の真偽を確認するため、次の各号のいずれかに掲げる措置をとらなければならない。
古物営業法 第15条
一 相手方の住所、氏名、職業及び年齢を確認すること。
二 相手方からその住所、氏名、職業及び年齢が記載された文書の交付を受けること。
三 相手方からその住所、氏名、職業及び年齢の電磁的方法による記録であつて、これらの情報についてその者による電子署名が行われているものの提供を受けること。
四 前三号に掲げるもののほか、これらに準ずる措置として国家公安委員会規則で定めるもの
2 前項の規定にかかわらず、次に掲げる場合には、同項に規定する措置をとることを要しない。
一 対価の総額が国家公安委員会規則で定める金額未満である取引をする場合(特に前項に規定する措置をとる必要があるものとして国家公安委員会規則で定める古物に係る取引をする場合を除く。)
二 自己が売却した物品を当該売却の相手方から買い受ける場合
3 古物商は、古物を買い受け、若しくは交換し、又は売却若しくは交換の委託を受けようとする場合において、当該古物について不正品の疑いがあると認めるときは、直ちに、警察官にその旨を申告しなければならない。
確認の義務免除
売却時は相手方の確認義務はありません。
買受時に古物営業法第15条第2項第一号で定められた相手方の確認義務が免除される 対価の総額が国家公安委員会規則で定める金額未満である取引をする場合 とは、1万円未満 で買い受ける場合です。
ただし、自動二輪車・原付(ともに部品も含む)、家庭用ゲームソフト、CD・DVD、書籍については、1万円未満であっても相手方の確認義務があります。
帳簿への記載(古物営業法第16条)
帳簿の記載義務
取引の都度、次に掲げる事項を、帳簿に記載し、または電磁的方法により記録をしておかなければなりません。
- 取引の年月日
- 古物の品目・数量
- 古物の特徴
- 相手方の住所・氏名・職業・年齢
- 相手方の確認方法
古物商許可 帳簿の例
帳簿は、最終の記載をした日から3年間営業所に備え付けなければなりません。
古物商は、売買若しくは交換のため、又は売買若しくは交換の委託により、古物を受け取り、又は引き渡したときは、その都度、次に掲げる事項を、帳簿若しくは国家公安委員会規則で定めるこれに準ずる書類(「帳簿等」)に記載をし、又は電磁的方法により記録をしておかなければならない。ただし、前条第二項各号に掲げる場合及び当該記載又は記録の必要のないものとして国家公安委員会規則で定める古物を引き渡した場合は、この限りでない。
古物営業法 第16条
一 取引の年月日
二 古物の品目及び数量
三 古物の特徴
四 相手方(国家公安委員会規則で定める古物を引き渡した相手方を除く。)の住所、氏名、職業及び年齢
五 前条第一項の規定によりとつた措置の区分
帳簿記載の義務免除
売却時は帳簿記載義務は原則ありません。
ただし、自動二輪車・原付は金額に関わらず、帳簿記載義務があります。
さらに、自動車、美術品、時計・宝飾品類を1万円以上で売却する時は、帳簿記載義務があります。
買受時、古物営業法第15条第2項で定めた 対価の総額が1万円未満 の場合は、帳簿の記載義務も免除されます。
ただし、自動二輪車・原付(ともに部品も含む)、家庭用ゲームソフト、CD・DVD、書籍については、1万円未満であっても帳簿記載義務があります。
品触れ(古物営業法第19条)
警視総監、道府県警察本部長、警察署長(「警察本部長等」)は、必要があるとき、古物商に対して、 盗品の品触れ を書面により発することができます。
古物商は、品触れを受けたとき、当該品触れに係る書面に到達の日付を記載し、その日から6月間これを保存しなければなりません。
ただし、情報通信技術を活用した行政の推進等に関する法律の規定により電子情報処理組織を使用して行われた品触れについては、到達の日付を記載することを要しません。
古物商は、品触れを受けた日にその古物を所持していたとき、または品触れに相当する古物を受け取ったときは、その旨を直ちに警察官に届け出なければなりません。
盗品・遺失物の回復(古物営業法第20条)
古物商が買い受け、交換した古物のうちに盗品又は遺失物があった場合、
被害者・遺失主は、古物商に対し、これを無償で回復することを求めることができます。
ただし、盗難・遺失の時から1年を経過した後においては、この限りでありません。
古物取引では、盗品には大変気をつけなければなりません。
許可証の携帯(古物営業法第11条)
古物商が、行商または競り売りをするときは、許可証を携帯していなければなりません。
仮設店舗営業の届出
古物の売買のために営業所以外の場所に作った臨時の売店などを仮設店舗といいます。仮設店舗において古物営業を営む日の3日前までに仮設店舗営業届出書を提出しなければなりません。
仮設店舗営業を行うには、古物営業許可証の記載が行商となっていることが必要です。
古物商許可 標識の掲示(古物営業法第12条)
標識の掲示
営業所、仮設店舗、古物市場ごとに、公衆の見やすい場所に、国家公安委員会規則で定める様式の標識を掲示しなければなりません。
標識の様式
材質 金属、プラスチック、これらと同程度以上の耐久性を有するもの。
色 紺色地に白文字
サイズ 縦8cm x 横16cm
「○○○商」の「○○○」の部分には、取り扱う古物の区分
下欄には、古物商の氏名、名称を記載
参考:警視庁
インターネットでの古物取引
インターネットで取引をするときは、許可業者の氏名または名称、許可をした公安委員会の名称、許可証番号をインターネット上に記載しなければなりません。
古物商許可 番号検索 (古物営業法第8条の2)
公安委員会は、インターネットを介した古物商についての情報をインターネット上に公開しています。
検索される古物商の情報は、氏名・名称、URL、許可番号 となります。
ホームページのトップページに、以下のように記載します。
OOOO公安委員会 第OOOOOO号 株式会社OOOOO
もしくは
古物営業法に基づく表示
と表示して、クリックすると以下の記載が表示される方法でも構いません。
OOOO公安委員会 第OOOOOO号 株式会社OOOOO
変更の届出(古物営業法第7条)
古物商は当初の許可申請事項を変更しようとするときは、届出書を提出しなければなりません。
許可証の返納(古物営業法第8条)
古物商は、古物営業を廃止したときは、遅滞なく、許可証を返納しなければなりません。
古物商が死亡した場合は、同居の親族・法定代理人
古物商である法人が合併により消滅した場合は、存続法人の代表者
が許可証返納に義務を負います。
古物商の許可要件
古物商許可 については、業務案内「古物商許可」をご参照ください。
古物商許可申請にあたっては行政書士にご相談ください。