高速取引とは、プログラムを用いて自動で高速・高頻度な有価証券の売買やデリバティブ取引を指します。取引手順などが組み込まれたプログラムにもとづき、1秒間に数千回もの高頻度な自動売買が行われます。 高速取引登録 が必要です
近年では市場取引に占める割合も高くなり、市場のかく乱要因にもなりかねないとして、現在は禁止されている行為ではありませんが、いくつかの規制が金融商品取引法で定められています。
したがって高速取引を行う人や団体は内閣総理大臣の登録を受け、「高速取引行為者」として認可されなければなりません。違反者は、「3年以下の懲役か 300 万円以下の罰金、またはその両方」が科せられる程です。
申請書類については、高速取引行為者が採用する取引戦略の基本的な仕組みを把握するために必要な事項が分かりやすく記載されている必要があるなど、金融業界にしなければ分かりにくい内容を含みます。また、役員の要件でも金融界特有の制約があります。
複雑な手続きと多くの書類が必要となるため、登録申請には専門的な知識が求められます。ここで、行政書士の役割が重要になります。行政書士は、このような申請手続きの専門家であり、スムーズに登録を完了できるようサポートします。
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高速取引登録 と登録数の動向
2017年5月に金融商品取引法が改正(2018年4月施行)され、株式等の高速取引行為を行う者に対する登録制が導入されました。高速取引行為とは、金融商品取引法第2条第41項に定める行為を指します。
この法律において「高速取引行為」とは、次に掲げる行為であつて、当該行為を行うことについての判断が電子情報処理組織により自動的に行われ、かつ、当該判断に基づく当該有価証券の売買又は市場デリバティブ取引を行うために必要な情報の金融商品取引所その他の内閣府令で定める者に対する伝達が、情報通信の技術を利用する方法であつて、当該伝達に通常要する時間を短縮するための方法として内閣府令で定める方法を用いて行われるもの(その内容等を勘案し、投資者の保護のため支障を生ずることがないと認められるものとして政令で定めるものを除く。)をいう。
一 有価証券の売買又は市場デリバティブ取引
金融商品取引法 第2条第41項
二 前号に掲げる行為の委託
三 前号に掲げるもののほか、第一号に掲げる行為に係る行為であつて、前二号に掲げる行為に準ずるものとして政令で定めるもの
高速取引行為者は、金融商品取引法第2条第42項に定める者を指します。登録制の導入後、登録が進み、高速取引行為者数は足元50社程度で推移。2023年9月末時点では、52社。2023年7月~9月では、新規登録は2社、廃業は0社。
(定義)
この法律において「高速取引行為者」とは、第66条の50の規定により内閣総理大臣の登録を受けた者をいう。
金融商品取引法 第2条第42項
高速取引行為者登録一覧の52社のうち、日本の住所を登録しているのは ダルマ・キャピタル株式会社 だけで、残りは海外となっています。毎年の報告義務もあるため、外国籍の会社というよりは、シンガポールが多いように名目上の拠点を海外に設けているだけかもしれません。
高速取引を行う人や団体は内閣総理大臣の登録を受け、金融商品取引法における高速取引行為を行う「高速取引行為者」として認可されなければなりません。
金融商品取引業者等及び取引所取引許可業者以外の者は、高速取引行為を行おうとするときは、内閣総理大臣の登録を受けなければならない。
金融商品取引法 第66条の50
高速取引 とは?
高速取引とは、プログラムを用いて自動で高速・高頻度な有価証券の売買やデリバティブ取引を指します。高頻度取引とも言われますし、英語表記のHigh Frequency Tradingの略であるHFTと呼ばれることもあるように高頻度の方が忠実かもしれません。
取引手順などが組み込まれたプログラムにもとづき、1秒間に数千回もの高頻度な自動売買が行われます。この取引手順は、金融商品の過去の価格の動きを統計的に分析し、割高なものを売り、割安なものを買う、といったものが一般的です。
しかし、元来はタイムラグに目を着けたのが高頻度取引を行う取引業者でした。この業者は一般の投資家よりも高速な取引システムを証券会社との間に構築しており、投資家の注文が入ったことを察知するとそれに先回りするように同じ銘柄に注文を入れ、取引を成立(約定)させてしまいます。このようにして、高頻度取引業者は一般の投資家の注文が処理されている間に、タッチの差で同じ銘柄を先に手に入れます。
取引所も対策を行い、このような高速取引は現在は禁止されている行為ではありませんが、いくつかの規制が金融商品取引法で定められています。
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高速取引登録 制度
高速取引を行う人や団体は内閣総理大臣の登録を受け、「高速取引行為者」として認可されなければなりません。
違反者は、「3年以下の懲役か 300 万円以下の罰金、またはその両方」という重い刑事罰が科せられます。
「高速取引行為者」として認可されるには、登録申請書と添付書類を内閣総理大臣に提出する必要があります。なお、登録拒否要件に該当する場合は、認可を受ける事が出来ません。
また外国法人や外国に住所がある個人が認可を受ける際は、国内における代表者・代理人の設置と調査協力要請に応ずる旨の保証の2点が求められます。
内閣総理大臣に認可されると、高速取引行為者登録簿に登録され、一般に公開されます。
高速取引行為者の業務に関する規定
高速取引行為者には、業務に対しても様々な規制があります。
▼業務管理体制の整備義務・名義貸し
高速取引行為者は、業務を正しく行うために、業務管理体制の整備を求められます。具体的には社内規則や研修の設定、組織や設備の管理が求められます。 また、他者に業務を代わりに行ってもらう名義貸しも禁じられています。
▼業務の運営に関する規制
プログラムの異常な動作で金融商品市場の機能に支障を及ぼさないようにしなくてはなりません。また、高速取引行為が公益に反したり、投資者の保護に支障をきたす状況も避けなければなりません。
▼取引記録・事業報告書
高速取引行為の実態を把握するため、高速取引行為者は取引記録を作成・保存することが求められています。また、事業計画報告書を毎年内閣総理大臣に提出する義務があります。
高速取引行為者の監督
高速取引行為者には、内閣総理大臣の命令により以下のような対処が求められる場合があります。
▼廃業届出
高速取引行為者が合併や破産、解散したときは、30日以内に内閣総理大臣に届出を行う必要があります。
▼業務改善命令
高速取引行為者の業務が公益や投資者保護を害していると見られた場合、内閣総理大臣により業務の方法や運営の改善を行うよう命令が下されます。
▼監督上の処分
高速取引行為者は不正な手段により登録が行われたり、業務の結果支払い不能になりそうな場合に、業務停止命令が下る事があります。また役員の解任命令が下される場合があります。
▼報告の聴取及び検査
内閣総理大臣が公益や投資者保護のために必要と判断した場合、高速取引行為者は業務や財産に関し、報告や資料の提出を行う必要があります。また、業務や財産の状況や、帳簿書類などに対して検査が行われる場合もあります。
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登録申請書の添付書類
事前の審査において重点が置かれる一つは、高速取引行為に係る業務に関する法令等を遵守させるための指導に関する業務を統括するコンプライアンス担当者、加えて業務を管理する責任者の履歴書などの経歴です。実績のある人を採用する一方で、説得力のある履歴書の作成をサポートいたします。
前条の登録を受けようとする者は、次に掲げる事項を記載した登録申請書を内閣総理大臣に提出しなければならない。
一 商号、名称又は氏名
二 法人であるときは、資本金の額又は出資の総額
三 法人であるときは、役員の氏名又は名称
四 主たる営業所又は事務所の名称及び所在地
五 高速取引行為に係る業務を行う営業所又は事務所の名称及び所在地
六 他に事業を行つているときは、その事業の種類
七 その他内閣府令で定める事項2 前項の登録申請書には、次に掲げる書類を添付しなければならない。
一 第66条の53各号(第二号から第四号まで、第五号ニ及び第六号ハを除く。)のいずれにも該当しないことを誓約する書面
二 高速取引行為に係る業務の内容及び方法として内閣府令で定めるものを記載した書類
三 法人である場合においては、定款及び法人の登記事項証明書
四 その他内閣府令で定める書類3 前項第三号に掲げる書類を添付する場合において、定款が電磁的記録で作成されているときは、書類に代えて電磁的記録を添付することができる。
金融商品取引法 第66条の51
法人・個人共通
- 申請者の誓約書
- 業務方法書
- 人的構成及び業務執行体制を記載した書面
- 高速取引行為に係る業務に関し、法令等を遵守させるための指導に関する業務を統括する者の履歴書
- 高速取引行為に係る業務を管理する責任者の履歴書
- 純財産額を算出した書面
申請者が法人の場合
- 定款
- 法人の登記事項証明書
- 役員の履歴書
- 役員の住民票の抄本(マイナンバーの記載が無いもの)
- 役員の婚姻前の氏名を証する書面
- 役員の身分証明書(市区町村が発行)
- 役員の誓約書
- 最終の貸借対照表及び損益計算書
- 国内における代理人の住民票の抄本
- 国内における代理人の婚姻前の氏名を証する書面
申請者が個人の場合
- 申請者の履歴書
- 申請者の住民票の抄本(マイナンバーの記載が無いもの)
- 申請者の婚姻前の氏名を証する書面
- 申請者の身分証明書(市区町村が発行)
- 貸借対照表及び損益計算書
- 国内における代理人の住民票の抄本
- 国内における代理人の婚姻前の氏名を証する書面
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体制審査の項目
金商法第66条の53第3号に規定する高速取引行為に係る業務を適確に遂行するに足りる人的構成を有しない者であるか否かの審査にあたっては、登録申請書、同添付書類及びヒアリングにより、以下の事項を確認するものとなっています。
内閣総理大臣は、登録申請者が次の各号のいずれかに該当するとき、又は登録申請書若しくはこれに添付すべき書類若しくは電磁的記録のうちに虚偽の記載若しくは記録があり、若しくは重要な事実の記載若しくは記録が欠けているときは、その登録を拒否しなければならない。
一 第29条の4第1項第一号イからハまでのいずれかに該当する者
二 他に行う事業が公益に反すると認められる者
三 高速取引行為に係る業務を適確に遂行するに足りる人的構成を有しない者
四 高速取引行為に係る業務を適確に遂行するための必要な体制が整備されていると認められない者
五 法人である場合においては、次のいずれかに該当する者
イ 役員のうちに次のいずれかに該当する者のある者
(1) 心身の故障により高速取引行為に係る業務を適正に行うことができない者として内閣府令で定める者
(2) 第29条の4第1項第二号ロからリまでのいずれかに該当する者ロ 資本金の額又は出資の総額が、公益又は投資者保護のため必要かつ適当なものとして政令で定める金額(1,000万円:金融商品取引法施行令第18条の4の9)に満たない者
ハ 外国法人であつて国内における代表者又は国内における代理人を定めていない者
ニ 外国法人であつてその主たる営業所若しくは事務所又は高速取引行為に係る業務を行う営業所若しくは事務所の所在するいずれかの外国の第189条第1項に規定する外国金融商品取引規制当局の同条第2項第一号の保証がない者六 個人である場合においては、次のいずれかに該当する者
イ 第29条の4第1項第二号ロからチまで若しくはリ又は前号イ(1)のいずれかに該当する者
ロ 外国に住所を有する個人であつて国内における代理人を定めていない者ハ 外国に住所を有する個人であつてその主たる営業所若しくは事務所又は高速取引行為に係る業務を行う営業所若しくは事務所の所在するいずれかの外国の第189条第1項に規定する外国金融商品取引規制当局の同条第2項第一号の保証がない者
七 純財産額が、公益又は投資者保護のため必要かつ適当なものとして政令で定める金額(0円:金融商品取引法施行令第18条の4の10)に満たない者
金融商品取引法 第66条の53
分かりやすく説明すると、以下のようになります。
- 経営者が、その経歴及び能力等に照らして、高速取引行為者としての業務を公正かつ的確に遂行することができる十分な資質を有していること。
- 常務に従事する役員が、高速取引行為の公正かつ的確な遂行に必要となるコンプライアンス及びリスク管理に関する十分な知識・経験を有すること。
- 高速取引行為を行う者として、高速取引行為の取引対象となる有価証券等に関する知識及び経験その他高速取引行為に係る知識及び経験を有する者が確保されていること。
- 高速取引行為に係る業務の適確な遂行に必要な人員が各部門に配置され、内部管理等の責任者が適正に配置される組織体制、人員構成にあること。
- 高速取引行為に係る投資判断等を行う部門とは独立してコンプライアンス部門(担当者)が設置され、その担当者として必要とされる知識及び経験を有する者が確保されていること。
- 高速取引行為に係る業務について、例えば、次に掲げる体制整備が可能な要員の確保が図られていること。
a.帳簿書類・報告書等の作成、管理
b.リスク管理
c.電算システム管理
d. 法人関係情報管理
e.売買管理
f.内部監査
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高速取引登録 申請代行は行政書士へ
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高速取引行為者の登録は、業者にとって重要なステップです。このプロセスを通じて、業者は法律を遵守し、高品質なサービスを提供する能力があることを示します。しかし、登録申請は複雑で時間を要するプロセスであり、専門的な知識が必要です。
行政書士は、この複雑な申請プロセスを専門的にサポートします。行政書士は法律手続きの専門家であり、申請書類の準備から提出、更新プロセスまで、事業者を全面的に支援します。行政書士のサポートにより、事業者は時間と労力を節約し、ビジネスの成長に集中することができます。
高速取引行為者の登録申請に関して不安や疑問をお持ちの事業者様、またはこれから業界に参入を考えている方々は、ぜひ行政書士にご相談ください。行政書士は、申請プロセスをスムーズに進めるための専門的なアドバイスを提供し、業者の成功をサポートします。
登録後は、適切な業務運営と法令遵守が継続的に求められます。また、定期的な更新プロセスを通じて、業者はその資格と信頼性を維持します。行政書士は、これらの遵守事項の管理と更新プロセスのサポートを通じて、業者が業界の基準を満たし続けることを助けることができます。
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参考記事:会社設立 いろいろな種類
参考記事:会社設立 ~ 株式会社設立
フィンテック企業等に対するイノベーション支援事業補助金
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東京都内の設立10年未満のフィンテック企業が補助対象者
補助金額 上限300万円 補助率 3分の2
金融分野におけるイノベーションの創出に向けた実証的取組に要する経費が対象になります
募集期間は、令和7年1月31日(金)まで
ただし、本事業に係る東京都の予算限度額に達した場合、受付は締め切られます。
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