経営革新計画 は、経営の向上を目指して「新たな取り組み」を行うための事業計画です。中小企業が計画書を作成する過程で自社の現状を分析し、目標達成に向けて「いつ」「誰が」「何を」すべきなのかを明確にします。中小企業等経営強化法に基づき、中小企業庁が経営の向上を図るために推進して策定されました。
新商品・サービスの開発、新たな生産・販売方式の導入など、新事業活動に取り組む中小企業・小規模事業者の方が、中小企業等経営強化法に基づき 経営革新計画 を作成し知事の承認を受けると、計画期間中、政府系金融機関による低利融資や信用保証の特例など幅広い支援メニューを利用することが可能となります。
その一つが、経営革新計画が認定されているとものづくり補助金の申請において加点されて採択がうけやすくなる、という利点になります。ものづくり補助金の加点項目のなかに経営革新計画の認定が含まれているのです。
参考記事:ものづくり補助金 2024年の大幅な変更
地元である神奈川県の制度融資のうち、長期低利の「経営革新支援融資」も利用可能です。
会社のあるべき将来を考え、必要な計画を策定して書類にまとめるだけで有利な条件を引き出す絶好の機会です。これまでも補助金採択実績がある行政書士の立場で、補助金申請に加点要素となる経営革新計画の策定も支援いたします。
参考記事:経営革新計画 補助金申請への メリット
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この記事では、神奈川県を対象に作成しています。全国で自治体ごとに応募は可能です。
経営革新計画 に係る承認申請の主な流れ ~ 神奈川県
神奈川県では、随時受付を行っており締切りはありません。
申請案件により差がありますが、これまでは最初にご相談されてから申請・審査を含めて、承認までに概ね2ヶ月程度かかっています。申請にあたっては、必ず商工会・商工会議所等の申請相談窓口に事前予約した上で、申請書(原案)等の確認や助言を受けるのが必要です。
県への承認申請書類の提出については、申請相談窓口を通して電子ファイルにて提出します。
なお、申請相談窓口への相談や申請書類の提出にあたっては、必ず申請企業の代表者または計画内容を説明できる役員や従業員の方が求められています。専門家同席の可否については、事前に申請相談窓口に確認できます。
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経営革新計画 とは
経営革新計画は、中小企業が「新事業活動」に取り組み、「経営の相当程度の向上」を図ることを目的に策定する中期的な経営計画書です。
計画策定を通して現状の課題や目標が明確になるなどの効果が期待できるほか、国や都道府県に計画が承認されると様々な支援策の対象となります。
経営計画とは、現状から将来のあるべき姿に到達するための「道しるべ」となるものです。経営計画は、絶えず変化する環境の中で会社が現在よりも高い水準の目標を設定し、その目標を実現するために、何をするべきかが明確になっています。それによって、自社のあるべき姿を具体的に示し、着実にその姿に到達するために「経営計画」を作成する必要があるのです。
「中小企業等経営強化法」とは?
中小企業等経営強化法では、「経営革新計画」、「経営力向上計画」等を規定しています。中小企業の生産性向上等を図るための
様々な取組を支援しています。
この法律は、中小企業等の多様で活力ある成長発展が経済の活性化に果たす役割の重要性に鑑み、創業及び新たに設立された企業の事業活動の支援、中小企業の経営革新及び中小企業等の経営力向上の支援並びに中小企業の事業継続力強化の支援を行うことにより、中小企業等の経営強化を図り、もって国民経済の健全な発展に資することを目的とする。
中小企業等経営強化法 第1条
なお、2020年10月1日に施行された「中小企業成長促進法」において、生産性向上に向けた取組を支援する計画制度が整理統合され、成長段階に応じた体系に簡素化されました。
- 中小企業等経営強化法に基づく、新たな事業活動に取り組む「経営革新計画」、基礎体力をつける「経営力向上計画」
- 地域未来投資促進法に基づく、地域全体の活力向上を目指す「地域経済牽引事業計画」
神奈川県 の 経営革新計画 の承認企業一覧
令和元年以降の神奈川県の承認企業が年毎に一覧で掲載されています。
神奈川県は、令和元年から59件、151件、87件、58件と推移し、直近の令和5年は68件となっています。
経営革新計画 の申請対象
県内に本店の登記(個人事業主の場合は、県内に住民登録)がある、下記表の従業員基準を満たす特定事業者、そのグループ、組合等が対象となります(ただし、非営利法人・医療法人・学校法人等は対象外です)。
なお、申請に当たっては1年以上の既存事業での事業実績が必要となります。
特定事業者の対象
(1)特定事業者として経営革新計画の対象となる会社及び個人の基準
下表の従業員基準に該当する会社及び個人 主たる事業を営んでいる業種と従業員基準 (常時使用する従業員の数)
主たる事業を営んでいる業種 | 従業員基準(常時使用する従業員の数) |
製造業等 | 500人以下 |
卸売業 | 400人以下 |
サービス業(下記以外) (ソフトウェア業、情報処理サービス業、旅館業) | 300人以下(500 人以下) |
小売業 | 300人以下 |
(2)特定事業者として経営革新計画の対象となる組合及び連合会
特にないのは、事業協同組合、事業協同小組合、協同組合連合会、水産加工業協同組合、水産加工業協同組合連合会、商工組合、商工組合連合会、商店街振興組合、商店街振興組合連合会になります。
直接又は間接の構成員の2/3以上が中小企業者であるのは、生活衛生同業組合、生活衛生同業小組合、生活衛生同業組合連合会、酒造組合、酒造組合連合会、酒造組合中央会、酒販組合、酒販組合連合会、酒販組合中央会、内航海運組合、内航海運組合連合会、技術研究組合になります。
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経営革新計画 の 申請要件
経営革新計画は、中小企業が「新事業活動」に取り組み、「経営の相当程度の向上」を図ることを要件としています。
神奈川県の場合には、研究開発期間がある場合に最大8年が選択可能です。
(1)新事業活動に取り組む計画であること
これまで行ってきた既存事業とは異なる新事業活動に取り組む計画であること。
(2)経営の相当程度の向上を達成できる計画であること
経営指標の目標伸び率を達成できる計画であること。また、その数値目標を達成可能な実現性の高い内容であること。
神奈川県の場合には、研究開発期間がある場合、最大8年(ただし事業期間は3年、4年、5年のいずれか)を選択できます。
研究開発期間を考慮する点が、東京都などと異なっており、長期にわたる研究成果等を考慮する姿勢がみられます。
具体的には、計画実施内容、経営目標について、以下の基準を満たすものであること、計画の実施内容・資金計画について適切であることなどが必要です。
なお、海外展開による新事業活動は、申請する事業者が経営を実質的に支配していると認められる海外子会社と共同で行う事業、又は海外支店を設置して申請する事業者が直接海外で実施する事業のみになります。単なる駐在員事務所は支援対象外です。
(1)新事業活動の事業内容
「新事業活動」は申請する事業者にとって自らのアイデアによる新たな取組(本格的な売上をまだ計上していない)であって、国の定める「基本方針」(下記のとおり)に合致した内容になります。
新規事業とは、以下 の5 つを指します。
・新商品の開発や生産
・新役務(サービス)の開発や提供
・商品の新たな生産方式や販売方式の導入
・役務(サービス)の新たな提供方式の導入
・技術に関する研究開発及びその成果の利用その他の新たな事業活動
なお、当該事業者にとって新たなものであれば、既に他社において採用されている技術・方式を活用する場合についても対象とされます。ただし、同業他社(地域性の高いものは同一地域における同業他社)において、既に相当程度普及している技術・方式の導入については対象外です。
ただし、業種ごとに同業の中小企業で既に相当程度普及している技術・方式等の導入については対象外となります。
(2)計画期間(研究開発期間+事業期間)が3~8年間
- 計画期間(研究開発期間+事業期間)が3~8年間
- 事業期間(計画期間のうち研究開発を除く新事業活動を実施する期間)が3~5年間となっている。
なお、計画期間は年単位とし、事業期間又は研究開発期間のいずれかとなるため、計画期間中にいずれにも属さない空白期間や研究開発期間と事業期間が重複する期間は設定できません。
(3)経営革新による経営の向上の程度を示す指標(経営指標)
経営指標が以下の3-5年基準を満たしているのも条件になります。
付加価値額で年平均3%以上、給与支給総額で1.5%以上の水準となります。
(1) 付加価値額の向上
企業全体の付加価値額(=営業利益+人件費+減価償却費)、又は従業者一人当たりの付加価値額(=付加価値額÷従業者数)のいずれかについて、直近期末の実績に対し、以下の計画目標となっている。
・事業期間が3年の場合は、計画終了時において目標伸び率が9%以上
・事業期間が4年の場合は、計画終了時において目標伸び率が12%以上
・事業期間が5年の場合は、計画終了時において目標伸び率が15%以上
(2) 給与支給総額の向上
企業全体の給与支給総額(役員報酬+給料+賃金+賞与+各種手当。ただし福利厚生費、退職手当は含めず)について、直近期末の実績に対し、以下の計画目標となっています。
・事業期間が3年の場合は、計画終了時において目標伸び率が4.5%以上
・事業期間が4年の場合は、計画終了時において目標伸び率が6%以上
・事業期間が5年の場合は、計画終了時において目標伸び率が7.5%以上
そして、計画終了時には、上記(1)および(2)のそれぞれが正の値であり、また、経常利益が黒字であることを求めています。
経営革新計画 の申請書類
提出書類とファイル形式が下記の通りに指定されていますので、実物をご参照ください。
A)経営革新計画に係る承認申請書(様式第1、別表1~5)
基本として申請書も別表も形式は、WORD形式となっています。
ただし、別表3の作成にあたって、「別表3作成用ツール(EXCEL ファイル)」を利用した場合は当該ファイルをあわせて提出も認められ、この場合 WORD ファイルの別表3は空欄とできます。
組合等でなければ、別表5は不要です。
- (様式第1)経営革新計画に係る承認申請書
- (別表1)経営革新計画
- (別表2)実施計画と実績(実績欄は申請段階では記載する必要はない。)
- (別表3)経営計画及び資金計画
- (別表4)設備投資計画(経営革新計画に係るもの)運転資金計画(経営革新計画に係るもの)
別表5は、組合等の複数企業が参加するグループによる共同申請する場合のみ記載になります。通常の申請(企業単独での申請)の場合は提出不要です。
(別表5)組合等が研究開発等事業に係る試験研究費に充てるためその構成員に対して賦課しようとする負担金の賦課の基準
B)添付書類の5種類
ファイル形式は全てPDFになります。
①最近2期間の決算書:
貸借対照表、損益計算書(販売費及び一般管理費内訳書、製造原価報告書を含む)
※実績1年あるものの確定申告前の場合は要相談になります。
②(法人)定款:
最新のもの・登記簿謄本と異なる項目がある場合は、変更時の議事録添付が必要です。
③(法人)登記簿謄本(履歴事項全部証明書)、(個人事業者)住民票:
住民票は本人住所確認のために用いるため、本籍地・マイナンバー等の記載は省略できます。
④営業許可書等:
行政庁の許可や届出等の必要な業種や事業の場合は必要です。
⑤会社案内又は経歴書:
なお、海外展開支援を受ける場合には追加で必要になります。
⑥(海外子会社等の)株主一覧及び役員一覧等:
これで以上のように、申請相談窓口を通じて、次のAとBの書類を電子ファイルにてご提出します。
- 経営革新計画に係る承認申請書(様式第1、別表1~5)
- 添付書類の5種類
なお、電子申請システムでの申請にはGビズIDアカウントがあると便利です。GビズIDに未登録であれば、申請も代行いたします。
参考記事:GビズID とは? 電子申請で行政書士報酬もお得に!
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神奈川県の 経営革新計画 申請相談窓口
経営革新計画の承認申請をされようとする方は、申請書(原案)を作成の上、必ず下記の申請相談窓口に相談します。実質的に市町村の商工会議所が第一次の窓口になっています。
ちなみに、東京都など、全国の都道府県の問い合わせ先の一覧はこちらです。
参考:都道府県問い合わせ先一覧
神奈川県の各商工会または商工会議所が管轄する市町村にある事業者の方であれば、会員でなくてもご相談に応じています。
代表的な商工会・商工会議所は以下の通りです。各市町村ごとにございます。
〒231-8524横浜市中区山下町2
産業貿易センタービル8階
045-671-7450
〒210-0007川崎市川崎区駅前本町11-2
川崎フロンティアビル3階
044-211-4111
下記の中小企業支援機関においても、ご相談に応じております。神奈川県内にある全ての事業者の方が可能です。
〒231-0015 横浜市中区尾上町5-80
神奈川中小企業センタービル9階
045-633-5132
〒231-0015 横浜市中区尾上町5-80
神奈川中小企業センタービル4階
045-633-5200
毎年の経営革新計画承認件数が、都道府県ごと、年度別に内訳として見ることができます。
神奈川県は、平成11年からの累計で2,622件とさほど多くなく、最近では令和5年でも68件と利用数が少ない状況です。東京都隣接の埼玉県が1,000件を超えて全国の1/4を占める第一位になっています。
神奈川県 の 経営革新計画 支援メニュー
支援を受けるに当たっては、計画の承認を受けた後、各機関等において申請手続きと審査が必要になります。審査において優先されることが期待され、経営革新計画の承認は資金調達などで有利に働きます。
中小企業等経営強化法により承認された「経営革新計画」を実施する中小企業者等には、次のような支援メニューが用意されています。なお、支援メニューについては計画期間中のみご活用いただけます。
(1)政府系金融機関等による低利融資
日本政策金融公庫の低利融資を利用できます。
<日本政策金融公庫の「新事業活動促進資金」の場合>
- 限度額 7億2千万円(運転資金は2億5千万円)
- 融資期間 20年(運転資金は7年)以内
神奈川県の制度融資のうち、長期低利の「経営革新支援融資」を利用できます。
- 限度額 8千万円(設備資金・運転資金)
- 融資期間 10年(運転資金は7年)以内
(2)中小企業信用保険法の特例
承認を受けた経営革新計画を行うため必要な資金について、通常の保証限度額とは別に、同額の別枠を設けています。
参考となる通常の保証限度額は、普通保証2億円、無担保保証8千万円(うち無担保無保証人保証2,000万円)ですが、研究開発費用を対象とする新事業開拓保証について、限度額が通常の2億円から3億円に引き上げられます。
(3)中小企業投資育成株式会社法の特例
資本金が3億円を超える株式会社についても、投資育成会社の投資事業の対象となることができます。
(4)(地独)神奈川県立産業技術総合研究所の減免制度
(地独)神奈川県立産業技術総合研究所に依頼される方は、手数料及び使用料について、軽減申請(半額)ができます(上限あり)。
(5)海外展開に伴う資金調達支援
国内中小企業者が、外国関係法人等(海外子会社等)も関連して新規事業を展開する場合に、外国関係法人等の現地金融機関からの資金調達や国内中小企業者の海外子会社等への投資を支援します。
(6)国の補助金等の加点
国の補助金等では、ものづくり補助金をはじめ、経営革新計画の承認企業に対して加点を行っているものもあります。
特許関係料金の軽減については、国の制度改正により、経営革新計画の承認の有無にかかわらず、原則として、中小企業は軽減措置が受けられるようになりました。
行政書士 岡 高志とのオンライン・Zoomによる有償相談サービスも提供しております。
神奈川県 で 経営革新計画 の 補助金申請 は 行政書士 にお任せください
中小企業の活性化に向けた「経営革新計画」をご理解いただけたでしょうか。会社のあるべき将来を考え、必要な計画を策定して書類にまとめるだけで有利な条件を引き出す絶好の機会です。中小企業は、少ない経営資源をやりくりしながら、戦略的に重要な事業活動を行っています。経営資源をどのように調達して、どのように活用していくかイメージは湧いてきましたか?
中小企業の事業主の方にとって補助金はのどから手が出る出るほど欲しいこともあるでしょう。公的な援助を有利に導く手段として経営革新計画の承認を得ることが、それによって補助金への加点を活用することが重要な経営材料になるものと思います。ものづくり補助金を視野にいれた資金調達計画なども合わせて検討していきましょう。
参考記事:ものづくり補助金 行政書士が申請を代行
承認に向けては既存事業の強みを生かして新事業を計画しなければいけませんし、新商品・新サービス開発で経営向上を図るための説得材料も必要です。文章作成で減点とならないよう、特徴を分かりやすく解説した資料の作成を行政書士は得意としています。
神奈川県は東京都と隣接しており、ビジネスの中心となる横浜市や川崎市が鉄道などの交通でも密接すぎるくらいです。東京と同様に神奈川県独自の融資制度なども整っており、こうした地元の中小企業支援を活用して、神奈川県の地域発展や都心への進出などが実現可能です。
参考記事:経営革新計画 の 補助金申請 に 東京都 から申込むチャンス
絶えず変化する環境の中で会社が現在よりも高い水準の目標を設定し、その目標を実現するために、御社が何をするべきかが明確になっています。それによって、自社のあるべき姿を具体的に示し、着実にその姿に到達するために「経営計画」が公的にも承認されることになれば、経営革新を実施するために必要な資金は獲得しやすくなるでしょう。
経営革新計画 の 作成費用
経営革新計画 の 作成費用として、
行政書士報酬 10万円(消費税別)をいただきます
経営革新計画を作成するべきかどうかわからないといった方のために
行政書士 岡 高志とのオンライン・Zoomによる有償相談サービスも提供しております。30分で11,000円。まず相談したいといった場合に、ご活用ください。
金融機関出身の行政書士
行政書士 岡 高志 は、 東京大学法学部を卒業以来、銀行で融資営業、証券会社や投資会社で事業再生投資に従事しました。一般に行政書士は法律に詳しいだけで、数字には明るくないと思われがちです。私は、仕事で財務分析をしてきたことに加えて、積極的な事業再生計画も描いてきましたので、一見のお客様の事業に対しても相応な事業計画書を作成できることが強みです。銀行の担当者として、融資審査のポイントも理解しています。