民泊 消防法の手続きをかんたん解説

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民泊 をはじめとした 旅館業 を新規開設するにあたっては、消防法の規定に伴い所轄の消防署での手続が必要です。なれない手続きを民泊の専門家として解説します。

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消防法とは

消防法の目的

火災を予防し、警戒し及び鎮圧し、国民の生命、身体及び財産を火災から保護するとともに、火災または地震等の災害による被害を軽減するほか、災害等による傷病者の搬送を適切に行い、もつて安寧秩序を保持し、社会公共の福祉の増進に資することを目的とします。

消防法と民泊

消防法施行令の別表第一 5項 イに、 旅館、ホテル、宿泊所その他これらに類するもの と定められており、民泊施設も同様に防火対象物に位置付けられます。

ちなみに、その他事務所は 15項
建物が複合用途になり、一部、民泊に供する場合は、建物全体としては、 別表第一 16項 イに該当します。

建物が、戸建住宅なのか、アパート・マンションなど共同住宅であるかによって、消防法の対応は異なります。

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戸建民泊の消防法のポイント

(特定小規模施設用) 自動火災報知設備 の設置

延べ面積が300m²未満で階数が2以下の場合
簡易な自動火災報知設備( 特定小規模施設用自動火災報知設備 )の設置が必要です。

特定小規模施設用自動火災報知設備 とは

特定小規模施設用自動火災報知設備とは、通常の自動火災報知設備のように配線で接続する方式ではなく、下記の特徴を有する無線式の連動型警報器付感知器です。

  • 電池式の感知器は、電源の配線工事が不要です。
  • 感知器同士が無線通信を行うものは、感知器間の配線工事が不要です。
  • 感知器自体が警報音を発するため、音響装置の設置が不要です。
  • 全ての感知器が連動して警報音を発する場合、受信機の設置が不要です。
  • 受信機や中継器を設置せず、感知器のみの場合、工事には消防設備士の資格が不要で、工事に着手する前の届出も不要なことがあります。(設置工事完了後の届出は必要です。)

特定小規模施設用自動火災報知設備の設置前に、特例等適用申請書を提出します。

設置後は、消防用設備等(特殊消防用設備等)設置届出書を提出します。

※ 建物の延べ面積が300m²以上の場合は通常の自動火災報知設備の設置が必要となります。

自動火災報知設備
自動火災報知設備

誘導灯の設置

誘導灯の設置が必要です。

建物に不案内な人でも、火災時に速やかに避難口や避難方向が確認でき、パニックにならずに屋外まで避難することができるようにするための設備です。階段や出入口に設置します。

配線工事が必要です。

誘導標識は、原則として誘導灯の代わりにはなりません。

建物に不案内な人でも、避難口までの避難経路が明確にわかるなど避難に支障が生じない場合は、誘導灯の設置を免除することもできます。

誘導灯の設置前に消防用設備等(特殊消防用設備等)設置計画届出書を提出します。

設置後は、消防用設備等(特殊消防用設備等)設置届出書を提出します。

防炎物品の使用

カーテン、じゅうたんなどを用いる場合は、防炎性能を有する防炎物品を使わなくてはなりません。

消火器の設置

消火器
消火器

次のいずれかに当てはまる場合、消火器の設置が必要です。

建物の延べ面積が150m²以上
地階・無窓階・3階以上の階で床面積が50m²以上

消火器は、各階ごとに全ての部分から歩行距離20m以下となる位置に設置します。

消火器 標識
消火器 標識
  • 通行・避難に支障が無く、使用に際して容易に持ち出すことができる場所に設置します。
  • 消火器に記載された使用温度範囲に適する場所に設置してください。
  • 消火器付近の見やすい位置に「消火器」の標識を掲示します。
    (英語やピクトグラムも併記されていると、日本語がわからない方も安心)

設置後は、消防用設備等(特殊消防用設備等)設置届出書を提出します。

消防用設備等の点検報告

消火器や自動火災報知設備などの消防用設備等が火災時にその機能を発揮することができるよう、防火対象物の関係者に対し、定期的な点検の実施と、その結果の消防長又は消防署長への報告を義務づけています。

機器点検

6カ月に1回実施

外観確認や簡易操作により判別できる事項についてのみ行う点検

総合点検

1年に1回実施

消防用設備等を実際に作動させること等により 総合的な機能の確認を行う点検

報告

点検結果を、維持台帳に記録するとともに、3年に1回、消防署に報告しなければなりません。

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マンション・ビルでの民泊の消防法のポイント

(特定小規模施設用) 自動火災報知設備 の設置

以下のいずれかの条件に当てはまる場合は、民泊部分のみに特定小規模施設用自動火災報知設備
を設置することで足ります。

  • 建物の延べ面積が300m²未満(原則2階建て以下)
  • 建物の延べ面積が300m²以上500m²未満で民泊部分の面積が建物の延べ面積の10%以下の場合や10%を超えかつ300m²未満の場合(原則2階建て以下)

特定小規模施設用自動火災報知設備の設置前に、特例等適用申請書を提出します。

設置後は、消防用設備等(特殊消防用設備等)設置届出書を提出します。

※ 条件に当てはまらない場合は、通常の自動火災報知設備の設置が必要となります。

誘導灯の設置

以下の全ての要件に該当する場合は、誘導灯の設置が免除されます。

  • 民泊を行う住戸の床面積が100㎡以下。
  • 民泊を行う住戸内の廊下に非常用照明装置の設置または各宿泊室に携帯用照明器具を設置。
  • 全ての宿泊室が以下のいずれかに該当すること。
    ア.直接外部または避難上有効なバルコニーに至ることができる。
    イ.2以上の居室を経由せずに玄関に通じる廊下に至ることができ、かつ、一の居室を経由する場合でも当該経由する居室に非常用照明装置の設置または宿泊室に携帯用照明器具を設置する。

条件に当てはまらない場合は、誘導灯の設置が必要です。

建物に不案内な人でも、火災時に速やかに避難口や避難方向が確認でき、パニックにならずに屋外まで避難することができるようにするための設備です。階段や出入口に設置します。

配線工事が必要です。

誘導標識は、原則として誘導灯の代わりにはなりません。

防炎物品の使用

カーテン、じゅうたんなどを用いる場合は、防炎性能を有する防炎物品を使わなくてはなりません。

消火器の設置

共同住宅の場合は、通常、廊下などに歩行距離20m以下となるように設置されているため、
住戸(民泊部分)に消火器を設置する必要はありません。

消防用設備等の点検報告

消火器や自動火災報知設備などの消防用設備等が火災時にその機能を発揮することができるよう、防火対象物の関係者に対し、定期的な点検の実施と、その結果の消防長又は消防署長への報告を義務づけています。

機器点検

6カ月に1回実施

外観確認や簡易操作により判別できる事項についてのみ行う点検

総合点検

1年に1回実施

消防用設備等を実際に作動させること等により 総合的な機能の確認を行う点検

報告

点検結果を、維持台帳に記録するとともに、3年に1回、消防署に報告しなければなりません。

参考:総務省消防庁

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その他の注意ポイント

工事が必要な場合は、防火対象物工事等計画届出書

その後、防火対象物使用開始届出書 を消防署に提出しなければなりません。

消防署への申請にあたっては、自治体によりますが、郵送や電子申請も可能です。東京都の消防署は対応しています。

参考:東京都消防庁「申請様式」

さすがに、初回の相談は消防署窓口を訪問してください。

この記事に書いた内容は全ての手続きを網羅できてはいません。それぞれの消防署で相談された内容に従ってください。

旅館業民泊許可申請手続きについてはこちらの記事で解説しています。参考になさってください。

参考記事:旅館業 許可申請手続き

参考記事:特区民泊 大田区国家戦略特別区域外国人滞在施設経営事業 の申請手続き

特区民泊 の 課題

特区民泊 により、民泊ビジネス への参入障壁が下がっていますので、近隣トラブル、治安問題といった民泊の課題にも光が当たります。

近隣トラブル

民泊の近隣トラブルとして、宿泊者が近隣住民との間で、騒音やごみ廃棄などのトラブルを引き起こすことがあるといわれます。

ところで、旅館業法において、旅館の営業に関与する根拠は公衆衛生。すなわち、宿泊者の健康、安全、衛生の確保です。旅館業においては、このような近隣トラブルは規制対象にはなりません。 どうして、民泊でことさらに取り上げられるのでしょうか。

旅館・ホテルは建築基準法によって、一定の地域に限定されています。一定の不特定多数の者が集積し、静謐な住宅環境が害されることを避ける趣旨でしょう。民泊がどの程度周辺の静謐な住宅環境を害することとなるのか、という実質的な弊害に着目した議論が必要となるでしょう。

治安問題

治安問題として、宿泊者が誰かがわかっていないと治安維持の観点から問題だといわれます。
しかし、宿泊者名簿を整備したからといって治安問題はクリアされるのでしょうか。
ホテル,旅館でも、従来偽名での宿泊は事実上容易に可能であることをどう考えるかという問題もあります。

特区民泊 専門家としてのメディア掲載

行政書士岡高志は、民泊が盛んな東京都大田区で区議会議員を務めてきたこともあり、特区民泊専門家として各種メディアでも発信しております。ご参照ください。

日本初の民泊条例、地域振興と資産活用のためのルール作りを(政治山)

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