農地転用について 太陽光パネル の一時転用やソーラーシェアリングを解説

太陽光パネル 建設業/不動産関連
太陽光パネル

山林や農地に 太陽光パネル が設置される景色が目立ってきました。野放図な設置であるとして、批判されるケースもありますが、農業者の立場からは、有意義な選択であるとして検討が盛んです。ただ、太陽光パネルの設置のためには、農地法の規制があります。太陽光パネルの設置のために農地転用を行うことはできますが、条件があり手続きが必要になります

農地転用の専門家である行政書士の立場で、農地への太陽光パネルの設置やソーラーシェアリングについて詳しくまとめます。

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太陽光パネル 設置に農地転用が必要な理由

太陽光パネル 設置

農地は、食料生産を目的とした重要な土地です。農業以外の目的に利用するには国や地方自治体の許可が必要となります。

太陽光パネルの設置でも、農地を他の目的で利用するために農地転用の手続きが必要になります。

農地転用とは農地から農地以外に使用するための手続きです。農業保護政策により無断で農地を農地以外の目的に利用することは禁じられており、太陽光パネルを設置するためには宅地などの地目に変更する必要があります。

農地を転用、または農地を転用するために権利の移転をおこなう場合、都道府県もしくは農林水産大臣が指定する市町村長の許可が必要です。

申請せずに太陽光発電を設置すると3年以下の懲役または個人の場合、300万円の罰金(法人では1億円の罰金)を課せられる可能性があります。

営農型発電設備

農地に支柱を立てて営農をしながら上部空間に太陽光発電設備の発電設備を設置する場合は、当該支柱について農地転用許可が必要です。

発電が中心になってしまい営農がおろそかになり営農型太陽光発電設備の下部の農地の利用に支障が生じていることがあることから、農業生産と発電を両立するという営農型太陽光発電のあるべき姿とする一時転用の許可基準等が農地法施行規則に定められました(令和6年4月1日施行)。

太陽光発電設備の設置者と営農者が異なる場合には民法第269条の2第1項の地上権等を設定する場合には、農地法第3条第1項の許可が必要です。

農地転用の種類について

全面転用と一時転用

全面転用は農地としての利用を完全にやめて、別の用途に転用することです。一時転用は農地としての利用を一時的に中断、別の用途に転用することです。

太陽光発電の場合は、多くの場合一時転用になります。

農業振興地域

農業振興地域は農業を維持するために農地の用途が規制されている地域のことです。農地が農業振興地域内にあると農地転用が禁止されている場合があります。

所有している農地について、農地の種類や各管理団体などを調べる必要があります。調べるときは、各市町村の農業委員会や農政室で確認します。

農業振興地域は、市町村が策定する農業振興地域整備計画によって相当期間(概ね10年以上)、総合的に農業振興を図るとされた地域になります。

指定は国の定める農業振興地域整備基本指針に基づいて都道府県知事がおこない、農用地などとして利用する土地を農用地区域として設定し農業の発展に必要な措置がおこなわれることになっています。

この農業振興地域(農振)内の農地を農振内農地、それ以外が農振外農地となります。

参考記事:農業振興地域制度 および 農地転用許可制度

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農地区分と許可の基準

農用地区域内農地

農用地区域内農地は、都道府県知事に指定された農業振興地域整備計画の中で農業のために利用しなければならない規制が厳しい農地です。農地転用は原則禁止とされています。

農業振興地域内における集団的に存在する農用地や、土地改良事業の施行にかかる区域内の土地などの生産性の高い農地など、農業上の利用を確保すべき土地として指定された土地のことです。

原則不許可ですが次のいずれかに当てはまる場合は、例外的に許可となります。

  • 農業用施設の附帯施設として一体的に設置される場合
    (売電目的でなく、発電能力が農業用施設の瞬発的な最大電力使用量を超えないものに限定)
  • 営農型発電説備として設置する場合
    (ただし、一時転用許可に限る)

この農振内農地の農用地区域内の農地を青地地域、区域外が青地地域となり、この青地農地は厳しく利用が制限され、原則的に農地転用は不許可です。

甲種農地

甲種農地は、市街化区域(市街化を促進する区域)以外で営農するのに良好な条件の農地です。農用地区域と同じく農地転用は禁止されています。

市街化調整区域内にある農業公共投資(投資後8年以内)の対象となった農地などです。

市街化調整区域内の土地改良事業等の対象となった農地(工事完了年度の翌年度から起算して8年以内)など良好な営農条件を備えている農地で原則不許可です。

甲種農地で許可可能なケース

農業用施設の附帯施設として一体的に設置される場合で、売電目的でなく発電能力が農業用施設の瞬間的な最大電力使用量を超えないものに限定される場合

隣接する土地と一体として設置する場合であって、当該農地を供することが必要と認められる場合
(全体面積のうち甲種農地の割合が5分の1以内)

第1種農地

10ha以上の一団の農地で農業公共投資の対象となった農地などです。

「10ha以上の集団農地」「農業公共投資対象農地」「生産力の高い農地」で農用地区域と同様に農地転用は禁止されています。

農業に関するもの(直売所・農業用倉庫など)の場合は、例外により可能な場合もあります。

一時転用許可限定で営農型発電設備として設置する場合

原則不許可ですが次のいずれかに当てはまる場合は例外的に許可

  • 農業用施設の附帯施設として一体的に設置される場合
    (売電目的でなく、発電能力が農業用施設の瞬発的な最大電力使用量を超えないものに限定)
  • 隣接する土地と一体として設置する場合であって、当該農地を供することが必要と認められる場合
    (甲種農地にあっては全体面積に占める割合が1/5以内、第1種農地にあっては全体面積に占める割合が1/3以内の場合)
  • 営農型発電設備として設置する場合
    (一時転用許可限定)

農地に支柱を立てて太陽光パネルを設置して営農を継続しながら上部空間で太陽光発電を行う方式がソーラーシェアリングです。

農業用施設の附帯施設として一体的に設置される場合、売電目的でなく、発電能力が農業用施設の瞬間的な最大電力使用量を超えないものに限られている場合です。

隣接する土地と一体として設置する場合であって、当該農地を供することが必要と認められる場合(全体面積のうち第1種農地の割合が3分の1以内)

農地転用許可なく太陽光パネルを設置した場合は、農地法違反として違反の是正に向けた行政指導を受けて、それでも是正されない場合は、原状回復命令を受ける場合があるほか、農地法の罰則を受ける場合があります。

農地に支柱を立てて、営農を継続しながら上部空間に太陽光発電設備を設置する場合、一定の要件を満たせば、第1種農地であっても、一時転用による許可を受けることができます。

第2種農地

市街化が見込まれる農地または生産性の低い小集団の農地です。

「農業公共投資の対象ではない小集団かつ生産性が高くない農地」や「市街地として発展する可能性がある区域内の農地」です。

活用目的により代替地がない場合に限って農地転用ができます。

代替性が検討されて周辺の他の土地に設置することができない場合は許可されます。

第3種農地

市街地の区域または市街化の著しい区域内にある農地です。

第3種農地は都市的整備がされている、もしくは市街地にある農地で、原則、農地転用ができます。

一般基準によって許可できないと判断される場合を除き、農地転用は原則として許可されることになっています。

市街地の区域又は市街化の傾向が著しい区域にある農地

原則許可されます。

生産緑地

指定解除すれば転用できます。

生産緑地は、都市計画法によって計画的に保全していくべきとされた市街化区域内にある農地です。

生産緑地は農地転用ができますが、手続きの前に「生産緑地の指定解除」が必要です。

耕作放棄地

耕作放棄地であっても再生利用が可能な農地は、農地法の規制の対象となります。

登記簿地目や課税地目が山林など農地以外の地目であっても現況が農地である場合は、農地法の適用を受ける場合があります。

農地の法面または畦畔に設置

農地の法面または畦畔は、作付けを行う田面、または畑面の機能の維持・管理に不可欠であるため、本地と一体的に農地として扱っていますので、法面などに太陽光発電設備を設置する場合も、許可が必要となります。

法面などに太陽光発電設備を設置する場合については、上記のほか、第1種農地などであっても、一定の要件を満たせば一時転用の許可を受けることができます。

参考記事:農地転用 で産廃の積替え保管施設や処理場にする場合の課題と解決方法

太陽光パネル の設置が可能な農地

これまで述べた通り、太陽光パネルの設置のための農地転用が許可され得るのは、原則として第3種農地または第2種農地に限定されます。

農業地区域内農地(農振農用地)、甲種農地、第1種農地では許可されることはありません。

市街化調整区域での太陽光パネルの設置

市街化調整区域では、建築物の建築を目的とする土地の区画形質の変更(開発行為)が禁止されているため、建築物の建築のために行う農地転用は、許可されません。

太陽光パネルについては、建築基準法上の建築物に該当しない扱いがされているため、開発許可を受けることは不要になります。

市街化調整区域においても、農地区分が第3種農地または第2種農地であれば、開発許可は不要となり、農地転用の許可を受けることはできます。

太陽光パネル 設置のための農地転用手続き

太陽光パネルを設置する営農型太陽光発電は、発電事業を行う間、太陽光パネルの下部の農地で適切に営農を継続する必要があり、設備の設置は、農地法に基づく一時転用許可が必要です。

営農型太陽光発電は、一時転用許可を受けて、農地に簡易な構造でかつ容易に撤去できる支柱を立てて、上部空間に太陽光を電気に変換する設備を設置し、営農を継続しながら発電を行うことです。

作物の販売収入に加え、発電電力の自家利用などによって農業経営の更なる改善が期待できます。

農地は日当たりがよく平らな土地が多いので、太陽光パネルを設置するには適した土地です。

市街化区域内の農地を転用する場合には、許可申請は不要となり、農業委員会への届出だけが手続きとなります。

市街化区域以外の区域にある場合、農地に太陽光パネルを設置するためには農地転用の許可を受ける必要があります。許可申請手続きは、自治体独自の条例や要綱が設けられている場合があるので農業委員会に確認しておきます。

太陽光パネル を設置できる地目

太陽光パネルはどのような地目にも建てられるわけではなく、原野・山林・宅地・雑種地の4種類となっています。

原野

人の背丈ほどの低い木や雑草などが生育し、人の手が加わっていない土地です。

山林

人の手を加えない状態で竹や木が生育する土地です。

宅地

都市計画法の用途地域にある土地はすべて宅地になります。

雑種地

23種類ある地目のどれにも当てはまらない土地です。資材置き場や駐車場などが雑種地に該当します。

農地転用の手続き

農業委員会への申請は土地がある地域の農業委員会に転用許可の申請となります。

関係機関への協議としては、農業委員会、市町村や都道府県など、関係機関と協議が行われます。

許可の決定は、協議の結果に基づき農業委員会が転用を許可するか否かを決定します。

管理団体

農地転用をする場合、ため池や水路、里道を管理する団体から同意を得る必要があるために管理団体を確認します。

土地改良区

土地改良区は、行政の代わりに土地改良事業を実施している農業者の組織で、都道府県知事の認可団体です。土地改良区内の農地(受益地)の農家は、土地改良区組合員になります。

水利組合

農地に必要な農業用水など用排水路を地域で管理する団体で地域住民による任意団体になります。

自治会など

町内会などがあります。

農地転用するにはこれら各管理団体の同意が必要です。

農地転用の手続き

農地転用には農地所有者自身による農地転用(農地法4条許可)と第三者への権利移転を伴う農地転用(農地法5条許可)の2つがあります。

農地転用の手続きは、農地の所在地にあたる市町村の農業委員会が窓口になります。

必要書類を農業委員会に持参して提出します。書類の提出期限は、自治体ごとに決められています。

審査は、農業委員会を経由して都道府県知事などでおこなわれます。審査が終了したら、農地転用許可が、農業委員会を経由して申請者に通知されます。

農地転用の審査期間は約3カ月程度です。

農地転用が許可されたら、申請者は農業委員会の窓口で許可書を受け取ります。

市街化区域内農地または生産緑地の農地転用の場合は、農業委員会に必要書類を届出すれば農地転用ができます。

農地が生産緑地の場合は、農地転用手続きの前に「生産緑地の指定解除」が必要です。

「生産緑地の指定解除」とは都市計画の生産緑地地区に指定されている農地(生産緑地)を指定から解除する手続きです。指定解除をしてからでないと農地転用はできません。

参考記事:農地転用の許可手続 および 農地転用の取消手続き

太陽光パネル 設置のメリット・デメリット

太陽光パネル 設置のメリット

耕作放棄地になってしまうと農地に戻すのに何年もかかります。太陽光発電の設置は、耕作放棄地になった農地を活用することができます。

農地の中には傾斜地もあります。傾斜地の農地は平地に比べて農機具も使えず管理しにくいので耕作できない場合があります。

太陽光発電は、傾斜地の土地でも設置が可能なため、このような農地を活用できます。

太陽光パネル 設置のデメリット

農地の種類によって農地転用の条件が違っています。

農地転用の手続きは複雑で手間がかかります。

農地転用の手続き費用や、太陽光発電システムの設置費用など費用がかかる。

固定資産税が上がります。太陽光発電をするには農地から雑種地への地目変更をします。雑種地へ地目変更をおこなった場合、固定資産税が上がる場合があります。

非課税だった土地が課税される場合もあります。

パネルが汚れていると生産性がさがるためパネル清掃が必要です。雑草刈りや水路、ため池の清掃などが必要です。

ワット数が50kw以上になる場合、「保安規程の届け出」と「電気主任技術者の選任」が必要になります。

太陽光パネルなどの廃棄処分が必要になります。太陽光パネルの耐用年数は約20年といわれています。その後は廃棄処分しなければなりません。費用がかかります。

農地に 太陽光パネル を設置するときにかかる費用

農地に太陽光パネルを設置するときにかかる費用として、下記の費用があげられます。

  • 太陽光発電設備費用
  • 土地造成費用
  • 農地転用などにかかる費用
  • 関係団体の脱退金費用上記で紹介した土地改良区や水利組合等への脱退金
  • 電力会社との接続費用
  • 事業計画認定費用
  • 発電側課金
  • 太陽光発電設備廃棄費用
  • 太陽光発電設備の保険
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ソーラーシェアリング

農地を転用せずに、農業と太陽光発電を両立させる「ソーラーシェアリング」という方法もあります。

ソーラーシェアリングでは、農作物の栽培を続けながら、その上に太陽光パネルを設置します。

農業での収益と太陽光発電での売電収益の2つの収益が得られ、安定した収益につながります。

ソーラーシェアリングの手続き

農地の一時転用許可書を管轄する自治体に提出します。提出する書類は、設備の設計図や営農計画書、関連データや事例などです。

営農計画書では、長期に渡って運用される太陽光発電の計画性や営農の内容が適切であるかが審査されます。

ソーラーシェアリングに必要な農地面積や農作物の種類、農作業の経験、日射量の根拠などです。収穫見込みなどの細かい内容もあるので、綿密な計画が必要になります。

農業と太陽光発電から2つの収益が得られる点です。

太陽光パネル の農地転用のデメリットと対処方法

農作物によっては収穫量が減少する場合があります。

太陽光パネルを設置すると太陽光が減るので、収穫量が減少してしまう可能性があります。

日陰であっても育てることができるシイタケなどの菌類のきのこを農作物として育てることで、太陽光発電システムによる発電と農作物の収穫量を確保できるソーラーシェアリングが可能です。

太陽光パネル
太陽光パネル

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