農地の所有者以外の者が、新たに権利の設定や移転を受け農地を農地以外のものにする、 農地転用 する場合は、農地法の5条が関係します。
一般に売る場合は、農地法5条で規定されている知事の許可を受けなければなりません。許可を受けない権利の設定や移転は、その効力は無効となってしまいます。
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農地法
農地法とは
農地法は、農地を保護して農業生産を促進して安定した食料を供給することを目的とした法律です。
農地の所有や利用権の設定、農地を農地以外の用途に転用する場合の制限、利用関係の調整、遊休農地に関する措置などを定めています。
農地を農地のまま売ることは農地法による規制がありますが、農地以外にして売ることも規制されています。
農地の売却や賃借、農地以外に利用することは、農地法によって定められています。
農地法は、農地の売買や賃借、農地以外への転用を規定する法律であり、農地は日本国内の食料自給率にも影響がありますので法律で規制されています。
農地が適切に利用されるように農家や農業参入者以外には自由に売却できないように法律で規制されています。
農地を宅地に転用( 農地転用 )
農地を農地として売却する場合、今の日本においては、需要が少ないために売れなかったり、安くなってしまう場合があります。
農地を宅地に転用すれば、買主に農家などの条件はなくなります。農地のまま売却するよりも売却しやすくなります。
ただし、農地を農地として売るよりは手続きがむずかしくなっていますので、行政書士などの専門家に依頼する場合が多くなっています。
宅地転用するには農地転用許可を受けて、地目変更手続きしなければなりません。
農地転用とは、地目を農地から宅地などに変更することです。農業委員会に申請をして、都道府県知事、または指定市町村に許可を受けます。
申請をしてから農地転用の許可が出るまでは、一般的に1ヶ月~2ヶ月程度かかります。
農地法の5条許可
事業者などが農地を購入し宅地に転用して、分譲する場合や第三者に農地を売却して、駐車場にするなど、農地を転用して売買などで権利が移動をする場合は農地転用の許可(農地法の第5条許可)として都道府県知事、または農林水産大臣の許可を受けなければなりません。
農地を農地以外のものにするため又は採草放牧地を採草放牧地以外のものにするため、これらの土地について第3条第1項本文に掲げる権利を設定し、又は移転する場合には、当事者が都道府県知事等の許可を受けなければならない。
農地法第5条
農地又は採草放牧地について所有権を移転し、又は地上権、永小作権、質権、使用貸借による権利、賃借権若しくはその他の使用及び収益を目的とする権利を設定し、若しくは移転する場合には、政令で定めるところにより、当事者が農業委員会の許可を受けなければならない。
農地法第3条
市街化区域の農地転用は許可ではなく、農業委員会への届出となっています。
農地を一時的に資材置場や、作業者の仮宿舎などとして利用する場合も農地転用の許可が必要です。
5条許可の場合は売主・貸主(土地所有者)と、買主・借主(転用事業者)が転用の申請をします。
農業委員会とは
農業委員会は、農地法に基づく権利移動の許可、農地転用案件への意見など、農地法などの法令に基づく事務、農地などの利用の最適化の推進(担い手への農地の集積や集約化、遊休農地の発生防止や解消、新規参入の促進)について事務をする行政委員会として、市町村に設置されています。
農地法第5条許可の基準
農地法第5条の許可を受けるには、許可基準を満たす必要があります。
許可基準は各市町村の農業委員会によっても異なりますが、一般的な許可基準は次のとおりとなります。
農地を営農条件及び市街地化から次の5種類に区分して優良な農地での転用を制限しています。農業生産への影響の少ない第3種農地等へ転用が奨励されています。
農用地区域内農地
市町村の農業振興地域整備計画により、農業を推進することが必要と定められた地域
→原則不許可
甲種農地
市街化調整区域内にある農業公共投資の対象となった農地(事業完了後8年以内)、高性能農業機械による営農に適した集団農地
→原則不許可
市街化調整区域は市街化の抑制が図られる地域です。
第1種農地
10ha以上の規模の一団の農地、土地改良事業等の対象となった農地等良好な営農条件を備えている農地
→原則不許可
第2種農地
鉄道の駅が500m以内にある等市街地化が見込まれる農地又は生産性の低い小集団の農地
→原則許可
第3種農地
鉄道の駅が300m以内にある等の市街地の区域又は市街地化の傾向が著しい区域にある農地
→原則許可
農用地区域内農地、甲種農地、第1種農地に該当する場合は原則許可がおりません。
農用地区域内農地を転用するには、農用地除外申請をして農用地区域から除外されなければならなりません。
一般基準、立地基準以外の基準
転用目的どおりに利用されることの確認、転用事業の必要性や他の法令の許認可などの見込み、資金計画の妥当性等が審査されます。
周辺農地に対して土砂の流出や農業用排水の機能障害などを与えないかも審査されます。
一時転用であれば、事業完了後に申請地が農地として利用可能な状態に原状復帰できるかなどが審査されます。
許可権者
転用する農地面積が4ha以下の場合は都道府県知事の許可、面積が4haを超えるような場合は、農林水産大臣の許可が必要となります。
2haを超えて4ha以下の農地を転用する場合は都道府県知事の許可ですが、都道府県知事が許可しようとする場合には、予め農林水産大臣に協議することとなっています。
申請受付から許可が下りるまでの期間
自治体により異なりますが、締切は月1回、標準処理期間は締切後約6週間~になります。許可権者が都道府県知事なのか農林水産大臣でも違ってきます。
農地転用 の罰則
許可なく農地を耕作以外の目的に使用、または転用許可に係る事業計画どおりに転用していない場合には農地法違反となり、工事の中止や原状回復が命ぜられることがあります。
従わない場合には、罰則として3年以下の懲役または300万円以下(法人は1億円以下)の罰金が科せられる場合があります。
農地を宅地分譲する場合の 農地転用 要件
2019年4月改正で宅地分譲の農地転用が可能に
かつては、宅地としての分譲は農地転用をすることができませんでした。転用後に建物が建築されるかどうかわからないためです。土地が遊休地となってしまうことを防止するためです。
住宅目的の農地転用は、転用事業者が、宅地を造成して住宅を建築した上で土地建物を売却する場合、建売分譲住宅に限って、転用ができることになっていました。
2019年4月に宅地分譲の扱いが改正されまして、農地を宅地分譲する場合の農地転用が認められるようになりました。
農地転用許可制度においては、住宅の用に供される土地の造成のみを目的とする農地転用は、当該土地を最終的に住宅の用に供することが確実と認められないことから、農地法施行規則において、原則として認めないこととされているところである。しかし、近年、住宅について、そのデザイン、家族構成を踏まえた間取り等のニーズが多様化し、建築条件付売買との間に当該土地に建設する住宅について一定期間内に建築請負契約が成立することを条件に当該土地を売買することが増加しているところである。
このような状況を踏まえ、今般、建築条件付売買予定地に係る農地転用許可関係事務取扱要領を定めたので、今後は次の各通知によるほか 同要領に御留意の上農地転用許可制度の適正な運用をお願いする。農林水産省通達 平成31年3月29日30農振第4002号
次の要件を満たすことができれば、建築条件付土地売買で宅地のみの分譲が農地転用できます。
(1)転用事業者と土地購入者が建築条件付土地売買契約を締結し、契約後一定期間内(3ヶ月以内程度)に転用事業者、または転用事業者が指定する建築業者と土地購入者が建築請負契約を締結する。
これができない場合は次のア、イになります。
(ア)一定期間内に請負契約を締結せず、または締結できなかった場合に、建築条件付き土地売買契約を解除すること
(イ)全区画を販売することできなかった場合は、転用事業者がそれらを建売分譲として販売すること
(2)建築条件付土地の引き渡しは、住宅が建築されたことの確認後、または宅地造成と建築基準法第6条の建築確認が行われた後に行うこと
建築の予定がないのに農地を転用すると、農地が失われてしまいます。
例外として宅地分譲(更地分譲)での転用が認められる特例措置があります、2019年の農林水産省の通達で「建築条件付売買予定地」にするための農地転用が、一定の要件を満たせば、土地の造成のみを目的とするものに該当しないとみなされ、許可されるようになりました。
建売分譲であっても、一定の要件を満たした場合に「建築条件付売買予定地」への農地転用は、宅地の造成だけの農地転用とならずに、許可を受けられます。
建売分譲での住宅販売と 農地転用 手続き
建売分譲は、転用事業者のハウスメーカーなどが、土地の造成と住宅建築を行い、その土地と住宅をいっしょに販売します。
農地転用は、土地所有者とハウスメーカーなどとの共同申請となり農地法5条申請となります。
農地転用許可申請では、申請書類に建築図面、金融機関の残高証明などの資金証明書も添付します。
農地転用 は行政書士へ
農地を宅地に転用し売却するための手続きを解説いたしました。
農地を農地以外に転用する場合、農地法5条に基づき都道府県知事や農林水産大臣の許可が必要です。農地法は農地を保護し、安定した食料供給を目的としています。農地を宅地に転用することで売却が容易になりますが、手続きは複雑で専門家の助けが必要です。また、2019年以降、一定の要件を満たす場合に限り、建築条件付の土地売買契約を締結することで、宅地分譲も許可されるようになりました。
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