旅館業 の許可申請も行政書士が代行します。旅館業許可申請の専門家として申請手続きを解説します。
最新の旅館業法をかんたんに整理するとともに、旅館業許可の申請手続きを整理いたします。
旅館業許可 – 旅館業 法の規定から
旅館業法は、2018年6月に大幅な改正が施行されています。それまで、AirbnbなどでCtoCで自宅などを宿泊施設として提供していたところに広く規制の網をかけました。民泊の法制化の流れに伴い、旧来の旅館業も規制緩和がなされました。
旅館業法の2019年の大きな改正点
旅館・ホテル営業の最低客室数の規制撤廃
改正前は、旅館で最低5部屋、ホテル業で最低10部屋の設置が必要でしたが、最低客室数が撤廃。
客室1部屋から営業可能となり、マンションの1室でも、旅館・ホテル営業の許可を取得できるようになりました。
玄関帳場・フロントを未設置にできる
改正前は、旅館・ホテル営業の玄関帳場・フロントの設備基準として「受付台の長さが1.8m以上」といった細かなルールがありました。一定の条件を満たす場合は、フロントの設置義務もなくなりました。旅館業法上ではフロントを設置しなくても良い条件は下記の通りです。自治体によって異なることもあります。
- 事故発生などの緊急時に迅速な対応がとれる態勢が整備されている
(宿泊者の求めに約10分程度で職員が駆け付けられる態勢を想定) - ビデオカメラなどによる鮮明な画像で宿泊者の本人確認や出入りの状況の確認が常時可能
旅館業 の定義
「宿泊料を受けて人を宿泊させる営業」
生活の本拠を置くような場合、例えばアパートや間借り部屋などは貸室業・貸家業であって旅館業には含まれないといわれます。
宿泊料を徴収しない場合は旅館業法の適用は受けません。
なお、宿泊料は名目のいかんを問わず実質的に寝具や部屋の使用料とみなされるものは含まれる。例えば、休憩料はもちろん、寝具賃貸料、寝具等のクリーニング代、光熱水道費、室内清掃費も宿泊料とみなされます。
参考記事:民泊について
旅館業許可 申請手続き
旅館業 許可申請の流れ
旅館業申請の流れは下記の通りで、保健所だけでなく、消防署や市役所の建築審査課との事前相談が必要です。ここからは、主に、東京都大田区のケースでご紹介します。
- 保健所 事前相談
- 建築審査担当 消防署 事前相談
既存建物を使用する場合は、 既存建物の旅館業への用途変更について ご参照 - 近隣住民への周知 (営業時間中に営業従事者が常駐しない場合)
- 許可申請
- 実地検査(保健所)
- 保健所長から消防署長に確認
- 許可(許可書交付)
- 営業開始
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既存建物の 旅館業 への用途変更について
既存建物の旅館業への用途変更について
旅館に変更する部分が 200 ㎡を超えるものは用途変更の建築確認申請が必要になります。
旅館に変更する部分が 200 ㎡以下の場合は、建築基準法関係規定等に適合しているか建築審査担当に確認が必要になります。事前相談が必要です。
【必要書類】
・既存建物の検査済証
・既存建物の確認申請図書(案内図、配置図、各階平面図、立面図(2 面以上)、断面図、電気設備図、給排水設備図、空気調和換気設備図、求積図等)
・営業施設の平面図、電気設備図等
許可要件 – 旅館業許可
主な許可要件
- 一客室の床面積は、7㎡以上(寝台を置く客室にあっては、9㎡以上)
- 入浴設備、便所・洗面設備がある
- 適当な換気、採光、照明の設備を有する
- 寝具の収納設備がある
- (施設の窓から小中学校の校舎内部が見通せる場合)窓等に校舎内部が見通せない設備を設置する
参考記事:消防法の手続きをかんたん解説
前面道路への接道
東京都など一部地域では、前面道路への接道が求められます。
既存物件であっても旅館業の建物の敷地は、最低でも4m以上道路に接しなければなりません。私道ではダメで、旅館業の建物の敷地は、建築基準法上の道路への接道が必要です。
特殊建築物の敷地は、その用途に供する部分の床面積の合計に応じて、次の表に掲げる長さ以上道路に接しなければならない。
東京都建築安全条例 第10条の3
特殊建築物の用途に供する部分の床面積の合計 長さ 500m2以下のもの 4m 500m2を超え、1,000m2以下のもの 6m 1,000m2を超え、2,000m2以下のもの 8m 2,000m2を超えるもの 10m
前面道路に接道していない建物となると、路地状敷地の建物となります。いわゆる旗竿地。
路地状敷地の建物についても、都条例では制限があります。旅館業の建物は、路地状部分のみによつて道路に接する敷地に建築してはなりません。
例外として、路地状部分の幅員が10m以上で、かつ、敷地面積が1,000m2未満であれば、認められます。まあ、なかなか路地状部分の幅員で10mもあることはないでしょうけれども。
特殊建築物は、路地状部分のみによつて道路に接する敷地に建築してはならない。ただし、次に掲げる建築物については、この限りでない。
東京都建築安全条例 第10条
一 路地状部分の幅員が10m以上で、かつ、敷地面積が1,000m2未満である建築物
旅館業許可 申請書記載事項
- 施設の名称
- 施設の所在地・電話番号
- 営業の種別
- 管理者の氏名
主な添付書類
- 構造設備の概要
- 旅館業の施設を中心とした半径300m以内の見取図
- 建物の配置図、正面図及び側面図
- 旅館業の施設の各階平面図
- 電気設備図
- (客室にガス設備を設ける場合)配管図
- 換気設備図又は空気調和設備図
- 給排水設備図
- (法人)定款及び登記事項証明書
- (営業時間中に営業従事者が常駐しない場合)近隣住民への周知に使用した書面及び当該周知の方法を記載した書面
- (営業時間中に営業従事者が常駐しない場合)苦情及び問合せに適切に対応するための緊急連絡先及び体制
- (所有物件の場合)不動産登記事項証明書
- (賃借物件の場合)賃貸借契約書
申請手数料
旅館・ホテル営業30,600円
簡易宿所営業16,500円
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変更と廃止
変更届
施設の構造・店舗の名称等に変更があった場合は、変更後10日以内に変更届を提出する必要があります。
廃止届
施設を廃止した場合は、廃止した日から10日以内に廃止届を提出してください。
営業の承継
営業者が個人の場合で、営業者が死亡し、その相続人が地位を承継する場合、被相続人死亡後60日以内に申請し承認を受ける必要があります。
必要書類
・営業承継承認申請書(相続)
・相続人全員の同意書(相続人が2人以上の場合)
・戸籍の全部事項証明書の他、相続人全員が確認できる文書
・手数料9,700円
営業者が法人の場合で法人の合併または分割を行う場合、合併又は分割の登記前に承認を受けなければなりません。
必要書類
・営業承継承認申請書(合併)
・営業承継承認申請書(分割)
・申告書
・定款
・登記事項証明書(登記後に提出)
・手数料9,700円
旅行業登録 申請
旅館業について解説してまいりましたが、旅行業の登録も検討される方もいらっしゃるでしょう。
旅行業を営むためには、適切な登録が必要です。旅行業登録は、消費者保護、業界の健全な発展、トラブルの防止、観光産業の発展など、多くの側面で重要な役割を果たします。登録を適切に行うことで、安心して事業をスタートすることができます。
旅行業登録の手続きは複雑で、多くの書類や法的要件を満たす必要があります。行政書士に依頼することで、専門知識と経験を活かし、スムーズかつ確実に手続きを進めることができます。時間と労力を節約し、安心して事業を開始するためにも、ぜひ行政書士への依頼を検討してください。
参考記事:旅行業登録 完全ガイド:行政書士による申請手続きの徹底解説とメリット
旅館業 動画解説
旅館業 専門家としてのメディア掲載
行政書士岡高志は、 旅館業 が盛んな東京都大田区で区議会議員を務めてきたこともあり、 旅館業専門家 として各種メディアでも発信しております。ご参照ください。