ドローンの飛行許可申請の実際について、今回の記事では説明してまいります。これまでは、許可が必要なケースについてドローン規制の基本にて説明しました。
ドローン規制の基本
まず、重量と場所の要件がありまして、総重量が100g以上、かつ、以下のいずれかの空域の場合、許可が必要です。
A) 空港等の周辺の空域
B) 緊急用務空域
C) 地表又は水面から150m以上の高さの空域
D) 人口集中地区の上空
さらに、飛行方法の要件がありまして、以下の方法で飛行を行う場合、許可(承認)が必要です。
1) 夜間での飛行
2) 目視外での飛行
3) 人又は物件と距離を確保できない飛行
4) 催し場所上空での飛行
5) 危険物の輸送
6) 物件の投下
飛行許可申請の分類について
国土交通省への飛行許可申請について具体的にお示ししてまいります。
ここで知っておくべきなのが、ドローンの飛行許可申請には、「個別申請」と「包括申請」の2種類があり、ケースバイケースでどちらにするかを検討する必要がある点です。
本記事では、特に包括申請の特徴と利点について、個別申請との比較を交えながら解説します。
個別申請と包括申請の違い
下表に、個別申請と包括申請の違いをまとめました。
個別申請では飛行の都度、期間・日時や飛行場所・経路を指定して申請する必要があります。飛行の目的には制限がありません。
一方、包括申請では、まとめて1回、1年以内の一定期間、複数の飛行場所・経路の申請をすることが可能です。なお包括申請は業務目的に限る点に注意が必要です。
申請回数 | 期間 | 経路 | 目的 | |
個別申請 | 飛行都度 | 特定の期間・ 日時 | 特定の場所・ 経路 | 制限なし |
包括申請 | まとめて1回 | 一定期間 | 広範囲の指定が可能 | 業務目的に限る |
※包括申請は、さらに期間包括申請、飛行経路包括申請に分類することもできます。
・期間包括申請:一定期間内に反復して、継続的に飛行を行う場合
・飛行経路包括申請:同一期間内に異なる複数の場所で 飛行を行う場合
上記の比較表で分かるように、個別申請はドローンを飛行させる都度、許可申請を行う必要があり、承認後は飛行スケジュールや場所・経路の変更ができないため、煩雑かつ自由度が低い申請方法です。
一方、包括申請は一度許可を取れば一定期間、異なる場所で繰り返し飛行させることができ、急なスケジュールや場所の変更にも対応できるため、より自由度の高い申請方法と言えます。
個別申請、包括申請、どちらがよい?
それでは、個別申請と包括申請、どちらを選べばよいのでしょうか。
これについては、包括申請のメリットの大きさから、まず包括申請を検討するのが望ましいです。
なぜなら包括申請の大きなメリットとして、
・飛行都度の申請が不要
・飛行範囲を「日本全国」として申告可能
があるからです。
ただし、飛行経路を特定しないといけない、すなわち包括申請だけではカバーできないケースがありますので、注意が必要です。
飛行経路を特定しないといけないケース(1)
では、飛行経路を特定しないといけないケースにはどのようなものがあるのでしょうか。
まず、飛行の経路を特定する必要がある飛行は、以下の7つのケースです。
⇒ 空港等周辺における飛行
⇒ 地表または水面から150m以上の高さの空域における飛行
⇒ 人又は家屋の密集している地域(DID)の上空における夜間飛行
⇒ 夜間における目視外飛行
⇒ 補助者を配置しない目視外飛行
⇒ 趣味目的での飛行
⇒ 研究開発目的での飛行
飛行経路を特定しないといけないケース(2)
また、飛行の経路及び日時を特定する必要がある飛行は、以下の2つのケースです。
⇒ 人又は家屋の密集している地域(DID)の上空で夜間における目視外飛行
⇒ 催し場所の上空における飛行
その他の注意点
その他、注意しなければいけない点についても触れておきましょう。
◇包括申請ができるのは、業務目的の場合のみ
包括申請は業務目的の場合のみに認められており、趣味などの場合は不可となります。ここで、「業務」の定義は国交省のサイトなどでも明示されていないため、個別に判断する必要があります(業務かどうかの判断の際に法人か個人か、有償か無償か、の別は問われず、個別・総合的に判断されます)。
◇操縦者は10時間以上の飛行実績が必要
飛行実績が10時間未満の場合、『業務飛行』の申請ができないため、必然的に包括申請はできないことになります。
◇夜間飛行、目視外飛行、物件投下を伴う飛行の場合、操縦者が当該飛行の技能認証(または同等の訓練)を受けていること
これは包括申請に限ったことではありませんが、飛行方法により、操縦者が技能認証または同等の訓練を受けていることが必要です。
まとめ
・包括申請には、まとめて1回の申請で済む、一定期間・広範囲で飛行ができる、などのメリットがあります。
・そのため、業務目的で、包括申請可能な場所・飛行形態ならまず包括申請を検討すべきです。最大期間、最大エリアの「1年間、日本全国」で申請するのがお勧めです。
・包括申請ができない場合は、個別申請を検討しましょう。
ドローン飛行許可取得を行政書士に依頼するメリット
ドローン飛行申請には、個別申請と包括申請があり、ケースにより判断が必要なことや制約があることはご理解いただけたでしょうか。ドローン飛行許可取得には多くの確認事項や複雑な手続きが伴います。これをスムーズに進めるために、行政書士に依頼することには多くのメリットがあります。
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文責: あおば総研(行政書士)