申請ALL. com管理者の行政書士岡高志は、東京都中小企業振興公社の登録専門家をつとめていまして広く中小企業者の経営相談も承っております。そして、東京都中小企業振興公社が提供する補助金情報もタイムリーに把握しております。今回は、「事業環境変化に対応した経営基盤強化事業(一般コース)」をご案内します。
物価高・人件費上昇・需要変化といった課題に直面する中小企業を支援するために創設された補助金です。本補助金では、既存事業の深化や発展を目的とした設備導入やシステム投資に対して、最大800万円の助成が受けられます。この記事では、補助の対象となる事業や経費の詳細、申請の注意点を行政書士の視点でわかりやすく解説します。チャットボットによる診断も可能ですので、ぜひご活用ください。

経営基盤強化事業 補助金 とは
東京都中小企業振興公社が新たに実施する「事業環境変化に対応した経営基盤強化事業(一般コース)補助金」は、物価高・人件費の上昇・需要構造の変化など、激動する経営環境に対応するため、都内中小企業の経営基盤を強化することを目的とした補助制度です。
本補助金では、単なる新規事業ではなく、既存事業の「深化」や「発展」を通じて、中長期的な収益力向上につながる取り組みを重点的に支援します。自社の強みや資源を活かした“地に足のついた投資計画”であることが求められます。
補助の概要
- 補助上限額:最大800万円(千円未満切捨て)
- 補助率:原則2/3、賃金引上げ要件達成で最大4/5
- 補助対象期間:交付決定日から1年間
- 申請受付期間:令和7年5月2日(木)~5月14日(火)16:00まで(書類必着)
- 審査方法:書類審査+面接審査(令和7年7月上旬予定)
申請にはGビズIDプライムアカウントが必要であり、交付決定を受けると、補助対象経費を1年以内に実行・完了し、その後に助成金が支払われる「精算払い方式」が採用されます。
続く章では、本補助金の対象となる具体的な取り組み内容を詳しく見ていきます。
経営基盤強化事業 対象となる取り組みとは
本補助金で支援されるのは、東京都内で既に事業を営む中小企業が、自社の経営課題に対応し、既存事業の「深化」または「発展」を通じて経営基盤を強化しようとする取り組みです。単なる新規事業の創出ではなく、既存事業の延長線上にある具体的な取り組みであることが条件となります。
「深化」:既存事業の質的向上
「深化」とは、現在行っている事業の内容・生産性・効率・品質などを一段と高める取り組みを指します。募集要項では以下のような事例が示されています。
- 高性能な機械の導入による生産性の向上
- 省エネ設備の導入による電力コスト削減と環境配慮型経営への転換
- ITツールやシステムの導入による業務の自動化・効率化(例:受発注管理システム)
- 品質管理体制の強化(例:検査機器の導入、品質認証取得)
- 顧客ニーズに合わせた仕様変更対応のための工程見直し
こうした取り組みでは、明確な改善目標(例:歩留まり率の向上、生産時間の短縮等)を設定し、それが経営基盤強化につながることを申請書で説明する必要があります。
「発展」:既存事業の応用・拡張
「発展」は、既存の経営資源やノウハウを活用しながら、新しい製品・サービス・提供方法を開発するような取り組みです。以下のような事例が示されています。
- 既存商品の技術を転用した新製品開発(例:金属加工ノウハウを応用したアウトドア製品)
- 顧客ニーズに合わせた新パッケージ・小ロット展開
- オンライン販売チャネルの新設や定額制(サブスクリプション)サービスの導入
- 従来の法人顧客向けサービスを個人向けにアレンジした新サービスの開始
- 来店型サービスの宅配・訪問型への移行や併用
「発展」では、既存事業との技術的・人的・設備的なつながりを示すとともに、新たな顧客層へのアプローチや売上構成の変化が期待できることがポイントとなります。
経営基盤強化事業 対象外となる取組の注意点
募集要項では、以下のような取り組みは補助対象外であると明記されています。
- 既存商品・サービスの広告宣伝のみ(販促だけで売上増は補助対象にならない)
- 義務的な対応(例:消防法等による改修、法令対応のみ)
- 全く新たな分野での創業的な取り組み(既存事業との関連性が薄い場合)
この補助金は、「既存事業の強化を通じて持続的な経営体制を築くこと」が目的であり、「何でも新しいことをすればよい」わけではありません。

経営基盤強化事業 助成対象経費
「事業環境変化に対応した経営基盤強化事業」補助金では、事業計画に基づき実施される「深化」「発展」の取り組みにかかる経費のうち、一定の範囲内で助成が受けられます。助成対象となる経費は多岐にわたりますが、それぞれ明確な要件・条件が定められており、適切な計画と見積もりが不可欠です。
以下に、募集要項で示されている主な対象経費と、注意すべきポイントを整理します。
機械装置・設備購入費
- 生産機械、加工装置、測定機器など
- 省力化、省エネ、生産性向上を目的とした導入が中心
- 購入・設置・運搬費を含む
- 中古品は原則対象外(一部例外あり)
※審査では、導入機器と取り組み内容の因果関係、必要性が問われます。
システム構築費・クラウドサービス利用料
- 在庫管理、受発注、顧客管理、帳票作成などの業務改善システム
- デジタル活用による効率化が図られていることが必要
- ソフトウェア購入・開発、サブスク型利用料(期間中の分のみ)
原材料・副資材費
- 試作品製作に必要な材料、部品、包装資材など
- 購入にあたり相見積もりが必要な場合あり
- 通常の営業活動に使用する消耗品は対象外
外注費・委託費
- 商品開発、デザイン、プロトタイプ制作、試験検査等
- 外注先との契約・見積・成果報告の提出が必須
- 企画・分析・設計・専門家指導も対象になる場合あり
販売促進費
- 新商品・新サービスの広告宣伝(Web・パンフ・動画等)
- 展示会出展費用、ECモール初期登録・制作費など
- ただし、「既存商品」の販促のみを目的とした経費は対象外
- 広告媒体費用は助成対象額の50%までと上限あり
不動産賃借料
- 事業所・倉庫・工場等の追加賃借にかかる費用
- 補助対象期間中の賃料のみ
- 既存賃貸契約の延長分などは対象外
特許出願・認証取得・専門家指導費
- 製品に関する特許出願・意匠登録、ISO・HACCP等の取得費
- 専門家の外部指導(経営・商品開発等)も助成対象となる場合あり
対象外経費の例(注意点)
- 自社社員の人件費、汎用的備品、消耗品、交際費
- 社用車の購入、既存設備の修理・維持費
- 事務所移転や建物の大規模改修
助成金は「精算払い」のため、まずは自社で立て替えが必要です。また、支払い証拠(領収書、契約書)や進捗報告の提出が厳格に求められるため、経費管理・実行体制の整備も採択の鍵を握ります。

賃金引上げ要件と補助率の加算
「事業環境変化に対応した経営基盤強化事業」補助金では、賃金引上げの取り組みを行う事業者に対し、補助率の引き上げが認められる特例措置があります。これは、東京都が中小企業の経営支援とともに、従業員の処遇改善を推進する方針の一環です。
対象となる事業者と補助率
事業者区分 | 標準補助率 | 賃上げ要件達成時の補助率 |
---|---|---|
中小企業者 | 2/3以内 | 3/4以内 |
小規模企業者 | 2/3以内 | 4/5以内 |
賃金引上げ要件の内容
補助事業期間(交付決定日から1年間)中に、以下の2つを同時に達成することが条件となります。
- 給与支給総額を2%以上引き上げること(前年同期間比)
- 事業所内最低賃金を地域最低賃金より30円以上高く設定すること
申請時に「賃上げ計画」を提出し、交付決定後に実績報告書によって実際の達成状況を確認されます。
未達成時のリスクと留意点
この特例はあくまで「成果連動型」であり、要件を満たせなかった場合には、補助率が通常の2/3に戻され、差額分を返還する必要があります。また、計画の実行可能性が審査にも影響するため、過大な目標設定は避けるべきです。
実現性の高い人件費計画と、経営基盤強化の一貫としての賃上げが、申請の質と採択率の向上に直結します。
採択されるためのポイント
「事業環境変化に対応した経営基盤強化事業」補助金は、事業環境の変化に対応し、持続可能な経営を目指す都内中小企業を支援する制度ですが、申請件数が多く、審査は決して甘くありません。採択を勝ち取るには、事業内容だけでなく、「申請書の質」や「課題の明確化」、「経費の妥当性」が問われます。
事業の目的と整合性を重視
- 補助金の目的である「既存事業の深化・発展」に合致しているか
- 単なる設備投資や広告宣伝に留まらず、経営課題の解決につながる取組みであるか
- 売上拡大・コスト削減・業務効率化など、数値目標を伴った計画であるか
審査で評価される視点
- 既存事業との関係性の明確さ(事業の延長上であるか)
- 課題分析と対策の妥当性(なぜその投資が必要か)
- 投資効果の具体性と実現可能性
- 補助対象経費の妥当性と適切な見積もり
- 申請書類の正確性・整合性
書類審査に加え、面接審査(プレゼン)も予定されており、口頭でも自社の経営課題と解決策を論理的に説明できるかが重要です。
行政書士のサポートも有効
補助金の要件や経費区分は細かく、不備による減額・不採択も珍しくありません。補助金に強い行政書士と連携することで、申請の精度・完成度を高めることが可能です。
申請サポートとチャットボットの活用
補助金申請には、要件の理解、実現可能な事業計画の策定、正確な見積書類の準備、さらに実施後の報告義務まで、専門的かつ実務的な知識が求められます。不備があれば、いかに事業内容が良くても不採択や減額のリスクが高まります。
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