晴れの日に傘を貸す、それが融資です。困ってからでは遅いので、一番借りやすい創業融資を受けておくことをおすすめします。 新創業融資 では、起業家の信用に基づいて「無担保・無保証人、低金利」で融資を受けることができます。
日本政策金融公庫は積極的な融資を通じて起業家の皆様のビジネスをサポートすることを目的とした金融機関といえます。起業を成功させていくために魅力的な融資制度を活用していきましょう。
日本政策金融公庫 新創業融資制度 の概要
日本政策金融公庫の国民生活事業では、創業・スタートアップを支援するため、無担保・無保証人でご利用いただける 新創業融資制度 があります。
この制度は、新たに事業を始める方または事業開始後税務申告を2期終えていない方を対象としてます。
新創業融資制度 の概要
対象者 | 新たに事業を始める方または事業開始後税務申告を2期終えていない方 新たに事業を始める方、または事業開始後税務申告を1期終えていない方は、創業時において創業資金総額の10分の1以上の自己資金を確認できる方 |
資金使途 | 新たに事業を始めるため、または事業開始後に必要とする設備資金および運転資金 |
融資限度額 | 3,000万円(うち運転資金1,500万円) |
利率(年) | 2024年2月時点の基準利率 2.40~3.60%。これを上限に各種の利率低減措置あり |
担保・保証人 | 原則不要 ※原則、無担保無保証人の融資制度であり、代表者個人には責任が及ばない |
参考:日本政策金融公庫「新創業融資制度」
この制度をご利用いただく場合は、併用する他制度(新規開業資金など)の定めにかかわらず、3,000万円(うち運転資金1,500万円)となります。また、お使いみち、ご返済期間、担保の有無などによって異なる利率が適用されます。
日本政策金融公庫の 融資
日本政策金融公庫は、民間金融機関が避けがちな小規模企業への融資を補完するという使命を帯びています。公的である日本政策金融公庫は積極的な融資を通じて起業家の皆様のビジネスをサポートすることを目的とした金融機関といえます。
日本政策金融公庫とは?
2008年に設立された政府系金融機関です。①国民生活金融公庫と②中小企業金融公庫と③農林事業金融公庫の3つが統合されてできた株式会社で、「日本公庫」の略称で呼ばれることもあります。
組織形態としては株式会社ですが、政府が全額保有しており、株式会社日本政策金融公庫法に基づき運営されているため、「政府系金融機関」と呼ばれ公的金融機関とされています。
日本政策金融公庫には3つの事業内容があります。
①国民生活事業・・国民生活金融公庫が行っていた業務。小さめの店舗や会社への融資や、個人への教育ローンの提供などがあります。
②中小企業事業・・中小企業金融公庫が行っていた業務。日本国内にある中小企業に対して、資金調達の支援や、信用保険制度の運用をしています。国民生活事業との違いは、中小企業を対象としている点です。
③農林水産事業・・農林事業金融公庫の業務を引き継いだものです。農業や漁業を営んでいる人を対象とした融資をしています。
創業時に借りるメリット
まずは自己資金でスタートして、困ったら融資を受けよう、借金は抱えたくないし・・・と考える方が多いですが、困ってからでは借りられないのが融資です。そうならないためにも、一番借りやすい創業融資を受けておくことをおすすめします。新創業融資では、起業家の信用に基づいて融資を行うことができます。
創業時には、赤字でも黒字でも追加資金が必要になることが多いので、事前に資金を手元においておくことでスピーディーに対応が可能になります。結果的に資金を使う必要がなかったとしても、「無担保・無保証人、低金利」の創業融資で融資実績を作ることができれば、その後の民間からの借り入れでも事業展開がしやすくなります。
日本政策金融公庫は、民間金融機関が避けがちな小規模企業への融資を補完するという使命を帯びています。特に、開業する人を対象とした創業融資は、民間の金融機関では扱いにくい領域です。なぜなら起業は成功するかどうか不確かであり、そのためリスクが高いためですが、公的である日本政策金融公庫は積極的な融資を通じて起業家の皆様のビジネスをサポートすることを目的とした金融機関といえます。
日本政策金融公庫から創業融資を受けるメリットは、以下のようになります。
- 無担保・無保証人で融資が受けられる
- 利率が低く固定
- 長期返済が可能
- 申し込みから融資支払いまで早い
- 創業前で実績がなくても融資が受けられる
- 民間金融機関からの融資を受けやすくなる
起業を検討中の方へ!ビジネスをスタートする際に融資を受けられるのは、日本政策金融公庫(日本公庫)がもっとも一般的です。民間金融機関が敬遠しがちな創業融資を行い、ベンチャー支援することが目的のため積極的に相談に乗っていただけます。
融資 手続きの流れ
ここからは、日本金融公庫での融資の手続きの流れを紹介します。
1.窓口にて相談
まず最初は、お近くの日本金融公庫の支店の窓口にて、融資の相談をすることから始まります。この時点では、融資の申込書や開業計画書などの書類を持ち帰るのみになります。
2.書類を作成します
続いて、持ち帰った申込書や開業計画書などの書類の作成です。利用する制度によっては、都道府県知事からの推薦書が必要な場合もあるため、それについての申し込みもすることになります。
3.融資の申込み
書類が完成しましたら、日本金融公庫に融資の申込みをします。
申込方法は、お近くの支店に直接書類を持っていくか、郵送、またはホームページからの3種類があります。
4.支店での面談
融資の申込みから1週間から2週間ほど経った頃に、お近くの支店にて担当者との面談が行われます。工場や飲食店を経営している場合には現地への視察もあるようです。
5.融資決定
面談から1週間から2週間後あたりに、融資決定の判断がくだされます。
6.融資の契約
融資が決定された場合、融資契約書が送られてきます。必要事項を記載した後に、日本金融公庫の窓口にて指定の手続きを行います。
7.融資額の入金
融資されたお金は、申請者の指定した金融機関の口座へと入金されます。
融資 に必要な書類
日本政策金融公庫の融資申し込みには、融資の審査のために使われる様々な書類を、事前に用意する必要があります。
個人で用意する書類
「個人」のみが日本政策金融公庫からの融資申し込みのために準備する書類には、次のようなものがあります。
・所得税や源泉所得税、事業税や消費税の領収書
・売上帳や手形帳などの帳簿類(または領収書や請求書)
法人で用意する書類
「法人」のみが日本政策金融公庫から融資を受ける際に、事前に準備する書類には、次のようなものがあります。
- 登記簿謄本(法人のもの)
- 直近の試算表(※決算から6ヶ月以上の経過の場合)
- 法人税や源泉所得税、消費税や社会保険料の領収書
- 総勘定元帳
個人・法人ともに用意する書類
「個人」「法人」が日本政策金融公庫から融資を受ける際に、事前に準備する書類には、次のようなものがあります。
- 借入申込書
- 直近2年分の確定申告書および決算書
- 所得税や源泉所得税、事業税や消費税の領収書
- 金融機関の預金通帳(直近6ヶ月のもの)
- 返済予定表(借入金がある場合)
- 固定資産課税証明書
- 賃貸契約書(※事業所が賃貸の場合)
- 家賃や地代の領収書(※事業所が賃貸の場合・直近6ヶ月のもの)
- 当座照合表もしくは小切手や手形の控え(直近6ヶ月のもの)
- 営業許可証もしくは資格や免許を証明する書類
- 建築確認通知書もしくは工事請負契約書
- 運転免許証などの写真付き身分証明書
- 受注明細または資金繰り表
- 見積書(※設備資金融資申し込みの場合)
- 図面もしくはカタログ(※設備資金融資申し込みの場合)
- 不動産登記簿謄本(※不動産担保を提供の場合)
- 公図(※不動産担保を提供の場合)
- 固定資産評価証明書(※不動産担保を提供の場合)
- 企業概要書(※日本政策金融公庫との初取引の場合)
新規独立開業時に用意する書類
個人・法人ともに、新規独立開業時に日本政策金融公庫に融資を申し込む場合には、決算書や申告書が存在しませんので、次のような書類を用意することになります。
- 創業計画書(事業計画書)
- 源泉徴収票もしくは給与明細書(※前年度の所得を証明するため)
- 受注契約書
- 創業に関わる資金の領収書
- 支払明細書(住宅ローンなどの借入金がある場合)
融資決定後の流れ
日本政策金融公庫に融資の申し込みの後、無事審査に通過し、融資が決まりますと、日本政策金融公庫から契約書類の一式が、申込時に指定した住所に送られてきます。
融資決定後、契約書類とともに日本政策金融公庫に提出する書類には次のようなものがあります。
- 借用証書
- 収入印紙(借用証書に貼ります)
- 印鑑証明書(直近の3ヶ月以内)
- 預金口座振替利用届
- 送金先口座の預金通帳
- 包括同意書
- 団体信用生命保険の申込用紙
書類が用意できましたら、日本政策金融公庫の支店に直接届けるか、郵送をします。郵送の場合は配達記録を利用すると、より確実に届くことにつながります。
不動産担保設定の流れ
融資の際に、不動産の担保設定をする場合には、法務局にて「根抵当権設定登記」を行うことになります。
1.借主のもとに書類が届く
日本政策金融公庫から、不動産担保設定の手続きに使われる書類が、借主の指定した住所に届きます。
2.登記申請(法務局)
登記申請に使われる書類を用意してから、法務局にて手続きをします。登記申請に使われる書類には、次のようなものがあります。
- 根抵当権設定契約証書(日本政策金融公庫から送付されたもの)
- 委任状(日本政策金融公庫から送付されたもの)
- 担保に設定する不動産の登記識別情報もしくは登記済証
- 不動産の所有者の印鑑証明書(3ヶ月以内)
3.登記完了
担保に設定する不動産の登記が完了しましたら、次の書類を日本政策金融公庫に提出します。
- 借用証書
- 収入印紙(借用証書に貼ります)
- 印鑑証明書(直近の3ヶ月以内)
- 預金口座振替利用届
- 送金先口座の預金通帳
- 包括同意書
- 団体信用生命保険の申込用紙
- 根抵当権設定契約証書(※登記完了後のもの)
- 担保に設定する不動産の登記識別情報もしくは登記済証(※登記完了後のもの)
- 登記事項証明書(※登記完了後のもの)
団体信用生命保険
団体信用生命保険とは、借入をした本人が事故や病気などで、生活に支障が出るレベルの障害を負ったり、死亡してしまった場合に支払われる保険金によって、借入金の残額を弁済する生命保険です。
団体信用生命保険には加入のための条件が設けられています。
- 加入申し込み時点の健康状態が良好なこと
- 加入は借入の申し込みの時だけ認められる
- 申し込みの時点で66歳未満であること(75歳の誕生月までが保険期間)
- 事業計画書(創業計画書)
事業計画書とは、創業動機・目的や必要な資金と調達方法、事業の見通しなどを記載する計画書です。創業・起業時など、融資や出資などの協力を得るために必要となることが多く、ビジネスプランをわかりやすく示すために大切な書類です。
日本政策金融公庫から新規開業資金の融資を受ける際には、事業計画書(創業計画書)を作成することが必要となります。
参考:日本政策金融公庫の創業計画書 テンプレート
事業計画書は、日本政策金融公庫の審査時に「きちんと利益が出て返済をしてくれるのかどうか?」ということをチェックするために使われます。日本政策金融公庫には定型のフォーマットもありますが、「これまでのご経験や事業内容の詳細が分かる計画書など、参考となる資料がございましたら、併せてご提出ください。」とあるように、効果的に説得するためのオリジナルを仕上げる必要があります。
事業計画書(創業計画書)に記載する内容は、一般的に次のようなものがあります。
- 創業の動機や目的
- 事業の経験
- 事業のセールスポイント
- 取り扱う商品もしくはサービス
- 売上や収支の見込み
- 資金の調達
- 融資金の返済計画
- 創業後の展望
収益見込みであったり、今後どのように事業を運営していくのか、という事業内容や企業の戦略を説明するのが肝心です。
事業計画書に記載された内容は、そのまま稟議書への添付資料となり、融資の審査を決定するための重要な役割を担います。
事業計画書(創業計画書)の3つの目的
- 組織の戦略を長期的に実行するためのプランを明確にすること
- 金融機関からの融資を確保すること
- 事業計画を他者と共有すること
さらに、長期的な経営計画としても使用するため、
- 事業計画は事業の収益を増加させ、
- 製品やサービスを拡大し新しい従業員を雇用し、
- 将来の競争に備える方法についての指針を提供する
これは、事業の成長と資源利用を戦略的に最適化する方法についての指針を提供するため、事業運営にとって非常に重要です。
また、財務計画には、損益計算書、貸借対照表、キャッシュフロー計算書などを含める必要があります。これらの計算書の目的は、事業の財務的健全性の詳細な概要と、将来の予測を提供することです。これらの情報は事業の財務目標を達成する能力を評価し、銀行、投資家、その他の潜在的な資金提供者から資金を確保するために大いに使用されます。
一般に行政書士は法律に詳しいだけで、数字には明るくないと思われがちです。岡高志行政書士事務所 代表 岡高志は、銀行で融資営業、証券会社や投資会社で事業再生投資に従事しました。仕事で財務分析をしてきたことに加えて、積極的な事業再生計画も描いてきましたので、一見のお客様の事業に対しても相応な事業計画書を作成できることが強みです。銀行の担当者として、融資審査のポイントも理解しています。
融資獲得の鍵を握る事業計画書(創業計画書)の作成にも精通しつつ、行政書士として申請手続きの要諦もおさえております。
新創業融資 行政書士 に 資金調達 を依頼ください
補助金申請代行を行政書士に依頼するのは有意義だけど、資金調達 は行政書士に対応できるの? そう思われるかもしれません。
創業時の融資・借入の申請に際しては、創業計画や経営計画の策定が必須です。行政書士に相談すれば、この創業計画や経営計画の策定の支援・アドバイスを受けることができます。
参考記事:補助金申請代行 / 資金調達
融資額の交渉をはじめ、金融機関への同行・同席、融資条件の交渉等の、間に立つ行為は貸金業法違反になり得る行為になるため行いません。しかし、創業計画や経営計画を策定して融資が認められることが最も重要になりますので、融資の最終面接に行かれる前は、ご自身で計画を説明できるよう、私どもが支援いたします。
行政書士は会社設立の場面で最初にお付き合いいただくことが多々あります。新しい会社の事業計画を伺いつつ、活用可能な創業支援融資を提案することがあります。
参考記事:会社設立 ~ 株式会社設立
創業時に融資は借りられないと考える方も多いと思われますが、新規起業を促進する国の政策があり、実は創業支援融資は充実しております。大多数の事業者は、創業時の苦労として 資金調達 を挙げています。是非とも無担保・無保証人で利用できる創業支援融資を活用しましょう。
自治体が低利の融資をあっせんしてくれる制度もあります。私の事務所がある東京都大田区は町工場が多く立地しているので、製造業支援のための融資制度があります。このような他の資金調達手段の情報等もお伝えして、お客様のビジネスの発展に貢献してまいります。