建設業を営もうとする者は、軽微な工事を除き、全て許可の対象となり、 鋼構造物工事 ももちろん、建設業の種類(業種)ごとに、国土交通大臣または都道府県知事の許可を受けなければなりません。
鋼構造物工事 とは
鋼構造物工事 を行う業種を 鋼構造物工事業
鉄骨工事、橋梁工事、鉄塔工事、石油、ガス等の貯蔵用タンク設置工事、屋外広告工事、閘門、水門等の門扉設置工事など
鋼構造物工事業とは、
鋼材を骨組みとするビルや橋を製作し、現地に据え付ける仕事です。
日本の鉄骨建築技術や橋桁の製作・架設の技術は、世界屈指と評価されており海外への技術援助などにも大いに貢献しています。
建設業許可事務ガイドラインから詳細解説
『とび・土工・コンクリート工事』における「鉄骨組立工事」と『鋼構造物工事』における「鉄骨工事」との区分の考え方は、
鉄骨の製作、加工から組立てまでを一貫して請け負うのが『鋼構造物工事』における「鉄骨工事」であり、
既に加工された鉄骨を現場で組立てることのみを請け負うのが『とび・土工・コンクリート工事』における「鉄骨組立工事」である。
ビルの外壁に固定された避難階段を設置する工事は『消防施設工事』ではなく、
建築物の躯体の一部の工事として『建築一式工事』又は『鋼構造物工事』に該当する。
『とび・土工・コンクリート工事』における「屋外広告物設置工事」と『鋼構造物工事』における「屋外広告工事」との区分の考え方は、
現場で屋外広告物の製作、加工から設置までを一貫して請け負うのが『鋼構造物工事』における「屋外広告工事」であり、
それ以外の工事が『とび・土工・コンクリート工事』における「屋外広告物設置工事」である。
鋼構造物工事業業種 専任技術者の学歴要件に該当する学科
土木工学
建築学
機械工学
鋼構造物工事業業種 専任技術者の資格要件に該当する資格
技能検定
鉄工・製罐
技術士試験
◎建設「鋼構造及びコンクリート」、総合技術監理(建設「鋼構造及びコンクリート」)
建築士試験
◎一級建築士
技術検定
◎一級建築施工管理技士
二級建築施工管理技士(躯体)
◎一級土木施工管理技士
二級土木施工管理技士(土木)
◎があるのは特定建設業の要件にもなる資格です
特定建設業 許可に係る 専任技術者要件
特定建設業 許可に係る 専任技術者要件は、上述の◎の資格が求められます。
◎の資格がない場合、一般的には、一般建設業の専任技術者要件に加えて、指導監督的実務経験 が必要です。
しかしながら、鋼構造物工事業は指定建設業のため、◎の資格のみが特定建設業 許可に係る 専任技術者要件となります。
特定建設業 許可に際しての 指導監督的実務経験
特定建設業 許可に際しての、 指導監督的実務経験 とは、
許可を受けようとする建設業に関して、発注者から直接請け負い、その請負代金の額が4,500万円以上であるものについて2年以上 建設工事の設計、施工の全般にわたって工事現場主任や現場監督者のような資格で工事の技術面を総合的に指導監督した経験をいいます。
指定建設業の許可 を受けようとする場合は、この要件に該当しても許可は取得できません。
*次の7業種が 指定建設業 として定められています。
土木工事業 、 建築工事業 、 電気工事業 、 管工事業 、 鋼構造物工事業 、 舗装工事業 、 造園工事業
鋼構造物工事 経営管理者の要件
建設業許可にあたって、専任技術者要件とともに、主な要件として経営管理者要件が充足される必要があります。かつては、業種ごとの経営経験が求められましたが、現在では、業種に関わらず、建設業での経営経験で足りることとなりました。
【経営管理者要件】経営業務の管理を適正に行うに足りる能力があることとは?
常勤役員等のうち一人が経営業務の管理責任者であること、もしくは、建設業に関する経営体制を有していることが必要です。
常勤役員等のうち一人が経営業務の管理責任者であることとは?
- 建設業に関し5年以上経営業務の管理責任者としての経験を有する者
- 建設業に関し5年以上経営業務の管理責任者に準ずる地位にある者(執行役員など)として経営業務を管理した経験を有する者
- 建設業に関し6年以上経営業務の管理責任者に準ずる地位にある者(2. ではない者) として経営業務の管理責任者を補助する業務に従事した経験を有する者
※従前の許可業種ごとの経験年数の規定がなくなりました。
建設業に関する経営体制を有していることとは?
aおよびbをともに設置し建設業に関する経営体制を有していること
a 常勤役員等のうち一人が次のいずれかに該当する者
建設業に関し2年以上役員等としての経験を有し、この期間と合わせて(建設業以外の会社も含めて)5年以上役員等又は役員等に次ぐ職制上の地位(組織図で直下にある管理職)にある者としての経験を有する者
建設業に関し2年以上役員等としての経験を有し、この期間と合わせて (建設業以外の会社も含めて) 5年以上役員等としての経験を有する者
b aを直接に補佐する者で、財務管理・労務管理・業務運営の業務経験 (それぞれについて、建設業に関して5年以上、申請会社での業務経験を有する者。常勤役員等と兼ねることはできません。)を有する者
参考記事:建設業許可
鋼構造物工事業業種 完成工事高ベストテン
業種のイメージをわかりやすくするために、工事高の多い会社を紹介します。
第1位は、宮地エンジニアリング 236億円
IHIグループが3社ベストテンにつらねますので、実質的な最大手というべきでしょうか。
建通新聞社が2020年6月時点で調査した経営事項審査結果で
都内に本店が所在する建設業許可業者の業種別完成工事高の上位10社です。
鋼構造物工事業 業界団体
業種にかかる業界団体はこちら
業界団体を通じた情報収集や提言も欠かせません。
建設業許可申請 は 行政書士へ
鋼構造物工事を行う際、一定以上の規模を超えると建設業許可を受ける必要があります。
建設業許可とは、工事を請け負う際に必要となる許可のことです。国土交通大臣または都道府県知事に対して、許可申請をすることとなります。
建設業許可の抜け道 というわけでもありませんが、建設業許可がなくてもできる建設工事はあります。
建設業法3条但書にて、「政令で定める軽微な建設工事のみを請け負うことを営業とする者は、この限りでない。」として建設業許可の不要な建設工事が規定されます。
建設業許可が不要な軽微な工事 とは、
建築一式工事以外の建設工事1件の請負代金が500万円(消費税込み)未満の工事
建築一式工事で、1件の請負代金が1,500万円 (消費税込み)未満の工事、もしくは、請負代金の額にかかわらず、木造住宅で延べ面積が150m2未満の工事
材料を発注者が提供しても、材料費見合いも含めて契約金額をとらえますので、注意が必要です。個人事業主であっても変わりありません。
鋼構造物工事 1件あたりの請負代金が500万円未満の場合は、建設業許可を取得しなくても工事を行えます。
参考記事:建設業許可